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冥婚

霊的相談

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 霊能者協会から突然のメールが届いたのは、JR八王子駅の駅ビルセレオで、ホワイトデーのお返しを物色していたときの事。

『緊急で霊的相談の依頼があるのだけど、受けられるかしら? 時間は午後一時、場所は、今君がいる八王子セレオのスタバだけど』

 なぜ、僕の居場所が扶養ふようさんに分かるんだ?

「どうしたの? やしろ君」

 両手いっぱいに紙袋を持った渡辺君が、怪訝な顔をしていた。
 
 渡辺君の買ったお返し、僕の十倍はありそうだな。

 渡辺君は顔も良いし、性格もいいし、なにより背が高い……うらやましい……から女子にもてるのだろうね。

 一応、僕もバレンタインデーにチョコはもらったけど、すべて義理チョコか友チョコ。くれたのはしきみとミクちゃん。それに数人のクラスメートと超常現象研究会の先輩たち、そして氷室ひむろ先生。

 あ! 一つだけ本気マジチョコがあった。

 ネズ子が持ってきたヒョーからのチョコ。

 これだけは受け取りたくなかったけど、受け取らないと呪われそうだし……お返しもしないとヤバいかな?

 しかし、二度と僕の前には現れないと言っていたのに……

 僕は渡辺君の方を向いた、

「バイト先からメールだよ。今から仕事できないかと」
「大変だね」

 受けたくないけど、今日の買い物でかなり出費がかさんだ。受けないと今月ヤバいかな。

「渡辺君。悪いけど、僕は先に帰るよ」

 そして僕は、スタバに向かった。



   ☆     ☆     ☆     ☆     ☆     ☆

樒「今回のプロローグ三話は結構怖かったわね。まるでホラーみたい」
優樹「みたいじゃなくて、元は別のサイトで公開した短編ホラー『一緒にいこう』だよ。その続きをこっちでやるんだって」
樒「なんで、私たちのところで続きやるのかしら?」
優樹「なんでも『一緒にいこう』をあれ以上書くとギャグになりそうだから、こっちへ続きを回して来たんだって」
樒「こっちへ回されても迷惑だわ。ところで優樹。ホワイトデーのお返し買っていたけど、ホワイトデーは三倍返しって知っているわよね?」
優樹「知っているよ。だから、今月ヤバいかなって言っているんじゃないか」
樒「よろしい」
優樹「どうせ、樒のくれたのは義理チョコだろ」
樒「違うわよ。あれは義理チョコなんかじゃないわ」
優樹「じゃあ友チョコ?」
樒「違うわ」
優樹「え? じゃ……じゃあ」
樒「あんたに上げたのは、下僕チョコよ」
優樹「はあ? なんだよ? それ」
樒「頑張って私の良い下僕になりなさい」
優樹「あのなあ……」
ミク「あれ? 樒ちゃん。あたしとチョコを買いに行ったときは、優樹君に上げるチョコを『友以上本気マジ未満チョコ』って言ってなかった?」
樒「ばらしちゃダメ!」


 こいつらにかかったら、どんなホラーもコメディになってしまう。
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