霊能者のお仕事

津嶋朋靖(つしまともやす)

文字の大きさ
140 / 314
冥婚

タンハー

しおりを挟む
 魔神タンハーと言われて、ハーちゃんはひどく慌てた。

「ぎょええ! 大女! なぜ、わらわの名を知っている!?」

 どうやら、魔神タンハーというのが本当の名前らしいな。

「さあ、なんで私があんたの名前を知っているのでしょうね? ついでに言うと、あんたのたくらみも分かったわよ」
「わらわは、何も企んでなどおらんぞ」
「とぼけたって無駄よ。あんたは最初から、荻原君を黄泉よみに連れて行く気なんかなかった。ただ、露ちゃんに期待を持たせてから、非道ひどい失恋をさせようとしていたのよ」

 非道い失恋!?

 それで荻原君に、あのノートを読ませようとしていたのか。しかし、なんのためにそんな事を?

「タンハー。あんたの目的は、露ちゃんに失恋の苦痛を与えて悪霊化する事ね。そして悪霊化した露ちゃんを、生きている人々に取りかせて、あんたのかてである執着心を増大させたかった。そうなのでしょう?」

 執着心が糧?

 まさか! タンハーって……

「おまえ、マーラの娘だったのか?」

 僕に言われて、タンハーは歯ぎしりする。

 やはりそうなのか? 

 かつて釈迦しゃかが悟りを開く禅定ぜんじょうに入った時に、マーラという魔神が瞑想を妨げるために現れたという。

 マーラは第六天 (他化自在天)に住まう煩悩ぼんのうの化身。

 だから、マーラにとっては、釈迦が悟りを開く事は自身の破滅につながる。そこで手始めに釈迦のもとに美しく技に長けた三人の娘達を送り込み、涅槃ニルヴァーナを妨害しようとしたと言われている。

 その三人娘の名前がそれぞれラーガ (快楽)、アラティ (嫌悪)、そしてタンハー (執着)。

「ばれてしまっては仕方ないのう。有名神は、つらいぞよ」

 本物のようだな。しかし……

「有名なわりには、おまえ弱いな」
「有名だから強いというわけではないぞよ。というか、おまえの相棒が乱暴すぎるわ! 普通こんな可愛い幼女を、ポカポカ叩くか!」

 まあ、それはそれで問題だが……

「それにしても、大女よ。どうやってわらわの正体を見破った?」
「別に見破ったわけじゃないわ。教えてもらったのよ」
「教えてもらった? 誰に……? う! ひょっとして……」
「おうよ! ひょっとして俺様にさ」

 そう言って荻原家の玄関から出てきたのは、トゲトゲ頭に黒革ジャンバーをまとったパンクロッカー風の男。

 身長は、樒より頭一つ分高い。

 誰だろう?
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。 カレンと晴人はその後、どうなる?

百合系サキュバスにモテてしまっていると言う話

釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。 文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。 そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。 工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。 むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。 “特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。 工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。 兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。 工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。 スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。 二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。 零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。 かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。 ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。 この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。

『続・聖パラダイス病院』

菊池昭仁
現代文学
『聖パラダイス病院』の続編です。こんな病院なら入院生活も悪くはありません。

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

野球部の女の子

S.H.L
青春
中学に入り野球部に入ることを決意した美咲、それと同時に坊主になった。

とある男の包〇治療体験記

moz34
エッセイ・ノンフィクション
手術の体験記

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...