157 / 315
事故物件
低俗番組
しおりを挟む
不意に僕の目の前を、サラリーマン姿の浮遊霊が過ぎった。
「どうやら、結界が解除されたようね」
千尋さんの視線が、浮遊霊の動きを追う。
見えているようだ。
浮遊霊は壁を抜けて出ていった。
「久しぶりに霊が見えたわ。私の能力は無くなっていなかったのね」
樒が部屋に戻ってくる。
「お待たせ。結界解除しました」
「ご苦労さん」
そう言って、千尋さんは僕の方を向く。
「私の能力に問題はなかったけど、肝心の自殺者の地縛霊がいないのは困るわ。かといって浮遊霊では、すぐにどっか行っちゃうから映しにくいし。君、適当な霊を呼び出してくれない」
「呼び出してどうするのです?」
「分かるでしょ」
「分かりません」
「は?」
この状況で、何を分かれっちゅうんじゃ? 霊を見たいと言うのは分かるけど、なぜそこまでこだわるのだろう?
「ああ! メイクをしていないから分からないのね。テレビの前では着け睫毛を着けて、濃いアイシャドウをしているけど、私は六道魔入よ。分かるでしょ?」
「御船千尋さんじゃないのですか?」
「御船千尋は本名で、六道魔入は芸名なの」
「はあ……そうなのですか」
よく分からないが、どうやら千尋さんは芸能関係の仕事をやっていて、本名以外に六道魔入という芸名があるらしいという事は分かった。
「もしかして……社さん。あなた六道魔入を知らないの?」
「はい。知りません」
「うそ!?」
なんかショックを受けているみたいだけど、知らない人は知らないし……
自分は有名人だから、他人は自分の名前を知っていて当然と思われても困るよなあ。
「六道さん。ショック受ける事ないわよ。優樹ってテレビ見ない子ちゃんだから」
ちゃんを着けるな!
「え? そうなの?」
「樒。僕がテレビを見ていないって決めつけないでくれないかな。僕だってテレビぐらい見るよ。ニュースとか天気予報とかドキュメンタリーとか大河ドラマとか」
一番多いのは深夜アニメだけど……
「スポーツとか興味ないからスポーツ番組は見ないし、バラエティなんて低俗番組は見ないから、そういう話題にはついていけないけど、僕だってテレビぐらい……うぐ!」
突然、樒は僕の口を手でふさいで、耳元で囁いた。
「バカ! ここでバラエティを、低俗だなんて言うな! 出ている人に悪いでしょ」
え? 出ている人?
「あ……あはは……」
千尋さんが力なく笑っている……なんで?
「あはは……言われちゃった……『低俗』って、言われちゃった……そうか。私の番組って、低俗だったんだ……あはは……」
あ! 非常にまずい!
「どうやら、結界が解除されたようね」
千尋さんの視線が、浮遊霊の動きを追う。
見えているようだ。
浮遊霊は壁を抜けて出ていった。
「久しぶりに霊が見えたわ。私の能力は無くなっていなかったのね」
樒が部屋に戻ってくる。
「お待たせ。結界解除しました」
「ご苦労さん」
そう言って、千尋さんは僕の方を向く。
「私の能力に問題はなかったけど、肝心の自殺者の地縛霊がいないのは困るわ。かといって浮遊霊では、すぐにどっか行っちゃうから映しにくいし。君、適当な霊を呼び出してくれない」
「呼び出してどうするのです?」
「分かるでしょ」
「分かりません」
「は?」
この状況で、何を分かれっちゅうんじゃ? 霊を見たいと言うのは分かるけど、なぜそこまでこだわるのだろう?
「ああ! メイクをしていないから分からないのね。テレビの前では着け睫毛を着けて、濃いアイシャドウをしているけど、私は六道魔入よ。分かるでしょ?」
「御船千尋さんじゃないのですか?」
「御船千尋は本名で、六道魔入は芸名なの」
「はあ……そうなのですか」
よく分からないが、どうやら千尋さんは芸能関係の仕事をやっていて、本名以外に六道魔入という芸名があるらしいという事は分かった。
「もしかして……社さん。あなた六道魔入を知らないの?」
「はい。知りません」
「うそ!?」
なんかショックを受けているみたいだけど、知らない人は知らないし……
自分は有名人だから、他人は自分の名前を知っていて当然と思われても困るよなあ。
「六道さん。ショック受ける事ないわよ。優樹ってテレビ見ない子ちゃんだから」
ちゃんを着けるな!
「え? そうなの?」
「樒。僕がテレビを見ていないって決めつけないでくれないかな。僕だってテレビぐらい見るよ。ニュースとか天気予報とかドキュメンタリーとか大河ドラマとか」
一番多いのは深夜アニメだけど……
「スポーツとか興味ないからスポーツ番組は見ないし、バラエティなんて低俗番組は見ないから、そういう話題にはついていけないけど、僕だってテレビぐらい……うぐ!」
突然、樒は僕の口を手でふさいで、耳元で囁いた。
「バカ! ここでバラエティを、低俗だなんて言うな! 出ている人に悪いでしょ」
え? 出ている人?
「あ……あはは……」
千尋さんが力なく笑っている……なんで?
「あはは……言われちゃった……『低俗』って、言われちゃった……そうか。私の番組って、低俗だったんだ……あはは……」
あ! 非常にまずい!
0
あなたにおすすめの小説
百合系サキュバスにモテてしまっていると言う話
釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。
文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。
そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。
工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。
むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。
“特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。
工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。
兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。
工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。
スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。
二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。
零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。
かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。
ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ママはヤンママ女子高生! ラン&ジュリー!!
オズ研究所《横須賀ストーリー紅白へ》
キャラ文芸
神崎ランの父親の再婚相手は幼馴染みで女子高生の高原ジュリーだった。
ジュリーは金髪美少女だが、地元では『ワイルドビーナス』の異名を取る有名なヤンキーだった。
学校ではジュリーは、ランを使いっ走りにしていた。
当然のようにアゴで使われたが、ジュリーは十八歳になったら結婚する事を告白した。
同級生のジュリーが結婚するなんて信じられない。
ランは密かにジュリーの事を憧れていたので、失恋した気分だ。
そう言えば、昨夜、ランの父親も再婚すると言っていた。
まさかとは思ったが、ランはジュリーに結婚相手を聞くと、ランの父親だと判明した。
その夜、改めて父親とジュリーのふたりは結婚すると報告された。
こうしてジュリーとの同居が決まった。
しかもジュリーの母親、エリカも現われ、ランの家は賑やかになった。
陰キャの俺が学園のアイドルがびしょびしょに濡れているのを見てしまった件
暁ノ鳥
キャラ文芸
陰キャの俺は見てしまった。雨の日、校舎裏で制服を濡らし恍惚とする学園アイドルの姿を。「見ちゃったのね」――その日から俺は彼女の“秘密の共犯者”に!? 特殊な性癖を持つ彼女の無茶な「実験」に振り回され、身も心も支配される日々の始まり。二人の禁断の関係の行方は?。二人の禁断の関係が今、始まる!
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる