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事故物件
ヤラセ?
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霊を呼び出すことには、同意はしたけど……
「だけど千尋さんが取材したかったのは、事故物件にいる地縛霊ですよね?」
「そうよ。それがなにか?」
「いいのですか? 地縛霊がいなかったからって、関係のない霊を呼び出して取材するなんて」
「しょうがないでしょ! 締め切りが迫っているのだから。今から別の事故物件探している余裕はないのよ!」
「でも、これってヤラセじゃないのですか?」
「あのねえ。ヤラセというのはねえ、霊なんていないのに特撮とかCGとか使って誤魔化すことよ。本物の霊が映っているなら、ヤラセではないわ」
「そういうものかなあ?」
「そういうものなのよ。いいから、早く霊を呼び出して! 時間がないのだから」
「でも、これって視聴者への裏切りでは?」
「いいのよ! どうせ私の番組なんて、低俗番組だから!」
うわ! 自分で言っちゃうんだ。
しょうがない。しかし、誰を呼び出そうか?
最近、僕が関わった霊だと……
琴浦美子さん。マンションに残して来た猫が心配で成仏できなかった優しいお姉さん。
ダメだ! あんな優しい人を見せ物なんかにできないよ。
僕が槿さんとエラに捕まったときに、世話になった幽霊お姉さん。
来世で、僕の娘に転生したいと言っていたよなあ。
実際に転生した後で、娘が番組の録画を見て『パパ! どうしてあたしを晒し物にしたの!』という事になるのは嫌だな。
水上先生。ダメだよ、あの人を見せ物になんかしたら、奥さんや娘さんが悲しむ。超研の先輩たちも怒るだろうな。
霊子ちゃん。学校に縛られている地縛霊だから、ここまで呼び出せない。
飯島露さんは、もう転生しているはずだから、呼び出せないし……
「社さん。早く呼び出してくれない。まさか、今更呼び出せないなんて言わないわよね」
そもそも、霊は軽々しく呼び出していいものじゃないんだぞ。
いっその事、祟りでもありそうな危険な霊でも呼び出してやろうか。
一度痛い目に遭えば懲りるかもしれないし……
いやいや、それはダメだろう。
いや待てよ。
祟りとまで行かないけど、この人に説教してくれそうな霊がいるじゃないか。
あの霊を呼び出して、説教してもらおう。
「御船千尋さん。先に言っておきます」
「なあに?」
「霊の召還は、危険が伴う事があります。それでも呼び出しますか?」
「あのねえ、そのぐらい分かっているわよ。私だって、霊能者の端くれよ」
「分かりました。では、どうなっても僕は責任を取りません」
そして僕は、降霊術に取り掛かった。
「だけど千尋さんが取材したかったのは、事故物件にいる地縛霊ですよね?」
「そうよ。それがなにか?」
「いいのですか? 地縛霊がいなかったからって、関係のない霊を呼び出して取材するなんて」
「しょうがないでしょ! 締め切りが迫っているのだから。今から別の事故物件探している余裕はないのよ!」
「でも、これってヤラセじゃないのですか?」
「あのねえ。ヤラセというのはねえ、霊なんていないのに特撮とかCGとか使って誤魔化すことよ。本物の霊が映っているなら、ヤラセではないわ」
「そういうものかなあ?」
「そういうものなのよ。いいから、早く霊を呼び出して! 時間がないのだから」
「でも、これって視聴者への裏切りでは?」
「いいのよ! どうせ私の番組なんて、低俗番組だから!」
うわ! 自分で言っちゃうんだ。
しょうがない。しかし、誰を呼び出そうか?
最近、僕が関わった霊だと……
琴浦美子さん。マンションに残して来た猫が心配で成仏できなかった優しいお姉さん。
ダメだ! あんな優しい人を見せ物なんかにできないよ。
僕が槿さんとエラに捕まったときに、世話になった幽霊お姉さん。
来世で、僕の娘に転生したいと言っていたよなあ。
実際に転生した後で、娘が番組の録画を見て『パパ! どうしてあたしを晒し物にしたの!』という事になるのは嫌だな。
水上先生。ダメだよ、あの人を見せ物になんかしたら、奥さんや娘さんが悲しむ。超研の先輩たちも怒るだろうな。
霊子ちゃん。学校に縛られている地縛霊だから、ここまで呼び出せない。
飯島露さんは、もう転生しているはずだから、呼び出せないし……
「社さん。早く呼び出してくれない。まさか、今更呼び出せないなんて言わないわよね」
そもそも、霊は軽々しく呼び出していいものじゃないんだぞ。
いっその事、祟りでもありそうな危険な霊でも呼び出してやろうか。
一度痛い目に遭えば懲りるかもしれないし……
いやいや、それはダメだろう。
いや待てよ。
祟りとまで行かないけど、この人に説教してくれそうな霊がいるじゃないか。
あの霊を呼び出して、説教してもらおう。
「御船千尋さん。先に言っておきます」
「なあに?」
「霊の召還は、危険が伴う事があります。それでも呼び出しますか?」
「あのねえ、そのぐらい分かっているわよ。私だって、霊能者の端くれよ」
「分かりました。では、どうなっても僕は責任を取りません」
そして僕は、降霊術に取り掛かった。
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