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16章
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ベンチに英司と並んで座るのはいつぶりだろうか
初めて英司と一緒に出掛けた時も帰り道ベンチに腰掛けた
歩く時車道側をさりげなく歩いてくれたり、ドアを開けて先に入れてくれたり、下手をすると気づかないかもしれないほど細かな優しさが嬉しかった
「よかったらもっと写真、見せてもらえませんか?」
「…え?」
「あ、ごめんなさい、図々しいですよね」
「そんなことは…」
英司はスマホの写真を見せてくれた
どれもこれも綺麗で全然見飽きなかった
「氷野さん、は写真が好きなんですか?」
「写真、というか綺麗なものが全般好きです
あ、すごく大雑把ですね」
英司がクスリと笑う
写真展が閉館した後だったからそもそも日がほぼ暮れかけていて、すぐに暗くなってしまった
「さっき」
「え?」
「さっき、デートじゃないって言ってましたよね?」
「え、あ、…その…」
英司がちょっとおろおろしている
何だか、撮っている写真と今話している英司のギャップが愛おしく感じてしまう
暗いからあんまりよく見えないけど赤くなっていたりするのかな
もっと話してみたいと思った
「私はデートみたいだなってすごく楽しかったです」
「…俺も、楽しかった、です」
「だから、もう一度私とデートしませんか?」
「え?」
「今度は本当にデート!」
自分からデートに誘ったのは初めてだった
勢い任せに言ってしまったけど、すごく恥ずかしくて早口にまくし立ててしまう
「だって!ほら、楽しかったから、―」
「はい」
今まで聞いた中で1番はっきりした声で英司が答えた
「あの、デート、もう1回…行きたい、です」
あの時は英司と距離が縮まったってすごく嬉しかった
座っている位置はあの時と同じなのに、もう距離を縮めることはないのだと
それを決めたのは他でもない自分だとちょっとだけ
そう、ほんのちょっとだけ泣きたくなる
「えっと、氷野さん、ですかね?」
初めて話したくらいの頃は
英司に言うことなど永遠にないだろう言葉を心の中でひっそりと呟いた
初めて英司と一緒に出掛けた時も帰り道ベンチに腰掛けた
歩く時車道側をさりげなく歩いてくれたり、ドアを開けて先に入れてくれたり、下手をすると気づかないかもしれないほど細かな優しさが嬉しかった
「よかったらもっと写真、見せてもらえませんか?」
「…え?」
「あ、ごめんなさい、図々しいですよね」
「そんなことは…」
英司はスマホの写真を見せてくれた
どれもこれも綺麗で全然見飽きなかった
「氷野さん、は写真が好きなんですか?」
「写真、というか綺麗なものが全般好きです
あ、すごく大雑把ですね」
英司がクスリと笑う
写真展が閉館した後だったからそもそも日がほぼ暮れかけていて、すぐに暗くなってしまった
「さっき」
「え?」
「さっき、デートじゃないって言ってましたよね?」
「え、あ、…その…」
英司がちょっとおろおろしている
何だか、撮っている写真と今話している英司のギャップが愛おしく感じてしまう
暗いからあんまりよく見えないけど赤くなっていたりするのかな
もっと話してみたいと思った
「私はデートみたいだなってすごく楽しかったです」
「…俺も、楽しかった、です」
「だから、もう一度私とデートしませんか?」
「え?」
「今度は本当にデート!」
自分からデートに誘ったのは初めてだった
勢い任せに言ってしまったけど、すごく恥ずかしくて早口にまくし立ててしまう
「だって!ほら、楽しかったから、―」
「はい」
今まで聞いた中で1番はっきりした声で英司が答えた
「あの、デート、もう1回…行きたい、です」
あの時は英司と距離が縮まったってすごく嬉しかった
座っている位置はあの時と同じなのに、もう距離を縮めることはないのだと
それを決めたのは他でもない自分だとちょっとだけ
そう、ほんのちょっとだけ泣きたくなる
「えっと、氷野さん、ですかね?」
初めて話したくらいの頃は
英司に言うことなど永遠にないだろう言葉を心の中でひっそりと呟いた
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