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44章
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「な、なんで…」
結子が慌てている
「さっき…」
「まぁ…部屋には私と結子しかいなかったからね」
とても苦しい言い訳をする
こんな強引な運び方をしてしまったことに罪悪感がじわじわと広がる
「結子、あんたのしたかった事は間違いとは言わないけど、ここまで来たらちゃんと話した方がいいと思うの」
結子の目のふちに涙が溜まっている
この子だってかなり苦しんだはずだろう
死の恐怖だけではなく、大切な人を傷つけて同時に自らも傷ついて
私にはきっと想像も出来ないに違いない
高校生の時からずっと可愛い後輩で、本当の妹のような存在だった
私が照史と別れた時も、大切にしていた犬のニーナが旅立ってしまった時もそばにいてくれた
「結子、ここまでよく頑張ったわね」
頭をそっと撫でる
こんなに華奢な体で頑張ってきたのだ
私にも少しでいいからなにか出来たらいいのに
神様がいるのなら、この子を幸せにして欲しい
英司くんを残して病室を出る
外には照史が壁にもたれかかって立っていた
「あーでもしないと、結子ちゃん絶対本当の事言わなかったよな」
本当にこの男は
気づかなくてもいいことほど気づくのだ
「凛花、この近くにさ美味しいケーキ屋あるみたいなんだよ」
「私は甘いものは嫌いよ」
照史が笑う
本当は甘いものは好きなのだけれど
私は中学2年の頃まではかなりぽっちゃりした体型だった
ダイエットに成功して今の体型になってからも甘いものはあまり食べないようにしていた
「いや、男一人だと食べに行きづらいんだよな」
照史が頭をかく
照史はたまにものすごく甘いものが食べたくなるらしく、付き合っていた時はその度にパンケーキやらパフェやらの美味しい店をどこかから見つけてきては私についてこいと言う
「英司くんと結子の話、長くなると思うから今回だけね」
「奢ります」
照史は私の頭をぽんと軽くなでると
「ありがと」
と小さい声で言って先に歩き始めた
人の気も知らないで
体型維持している理由も、今本当は泣きそうなのも照史には気づかれたくない
こっそり目尻を拭うと私は照史の後を追いかけた
結子が慌てている
「さっき…」
「まぁ…部屋には私と結子しかいなかったからね」
とても苦しい言い訳をする
こんな強引な運び方をしてしまったことに罪悪感がじわじわと広がる
「結子、あんたのしたかった事は間違いとは言わないけど、ここまで来たらちゃんと話した方がいいと思うの」
結子の目のふちに涙が溜まっている
この子だってかなり苦しんだはずだろう
死の恐怖だけではなく、大切な人を傷つけて同時に自らも傷ついて
私にはきっと想像も出来ないに違いない
高校生の時からずっと可愛い後輩で、本当の妹のような存在だった
私が照史と別れた時も、大切にしていた犬のニーナが旅立ってしまった時もそばにいてくれた
「結子、ここまでよく頑張ったわね」
頭をそっと撫でる
こんなに華奢な体で頑張ってきたのだ
私にも少しでいいからなにか出来たらいいのに
神様がいるのなら、この子を幸せにして欲しい
英司くんを残して病室を出る
外には照史が壁にもたれかかって立っていた
「あーでもしないと、結子ちゃん絶対本当の事言わなかったよな」
本当にこの男は
気づかなくてもいいことほど気づくのだ
「凛花、この近くにさ美味しいケーキ屋あるみたいなんだよ」
「私は甘いものは嫌いよ」
照史が笑う
本当は甘いものは好きなのだけれど
私は中学2年の頃まではかなりぽっちゃりした体型だった
ダイエットに成功して今の体型になってからも甘いものはあまり食べないようにしていた
「いや、男一人だと食べに行きづらいんだよな」
照史が頭をかく
照史はたまにものすごく甘いものが食べたくなるらしく、付き合っていた時はその度にパンケーキやらパフェやらの美味しい店をどこかから見つけてきては私についてこいと言う
「英司くんと結子の話、長くなると思うから今回だけね」
「奢ります」
照史は私の頭をぽんと軽くなでると
「ありがと」
と小さい声で言って先に歩き始めた
人の気も知らないで
体型維持している理由も、今本当は泣きそうなのも照史には気づかれたくない
こっそり目尻を拭うと私は照史の後を追いかけた
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