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48章
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英司が涙を拭ってくれる
少し震えている気がする
そういえば、仕事を辞めた後デートした時もらこんなふうにガラス細工を扱うように大切に触れてくれたことがあった
「だから…もう一度…俺と、デートしてくれませんか?」
全くこの男は
さっきからずっと涙を止めようとこちらは必死なのに、どうしてこうも泣かせようとしてくるのか
不器用なクセに
その言葉を言ったのは私の方だということなど忘れているくせに
「俺の…エゴだけど、氷野さん、には笑顔でいてほしいから…俺が、できるなら笑顔にしたい
記憶戻ってないくせに、何言ってるんだって思うと思うんですけど、でも…今の俺も…ひ、氷野さんと一緒にいたい、です…」
英司の耳がだんだん赤くなってきている
こんなに目を合わせて話してくるなんて珍しいと思っていた
事故にあった後初めてと言っていい
「あの…ダメ…ですか?」
「ダメ…じゃないです」
英司の手にそっと触れてみる
英司が目覚めてから初めて握った手
やっぱりちょっと痩せている
離したくなくて、離そうとして、離せなかった手
「デート…もう1回、行きたいです」
あなたはこの言葉をあなたが言ったことをきっと覚えていない
英司がはにかむのを見ながら思う
でもそんなことはもうどうでもよかった
私の記憶は私のものだし、ずっと大切にするつもりだ
あんなに手放そうとしていたことがバカみたいな気がしてきた
「あ、もちろん、氷野さんの無理のないように…その…」
「櫻野さん、そんなに心配しなくても私、大丈夫ですよ
あ、大丈夫じゃないかもしれないけど、いつも通りにしてください」
言ってしまってから慌てる
私に関する記憶の戻っていない英司にいつも通りって何を言ってるのよ
「あ、あのね、その、前にベンチで話した時みたいな感じっていうか、英司は気にしすぎないで
そんなにすぐに悪化とかそんな感じじゃないというか」
「そっちがいいです」
英司が微笑んだ
「え?」
「あの…言葉遣い、とか…呼び方、とか…」
「あ…」
顔が熱くなってきた
「あの…嫌じゃなかったら…」
英司が少しモジモジしている
英司が何かおねだりするときいつもこんな感じだった気がする
記憶とか関係なくこの人は櫻野英司なんだ
「俺も…名前…呼んでいいですか?」
声が出なくて私はただ頷いた
少し震えている気がする
そういえば、仕事を辞めた後デートした時もらこんなふうにガラス細工を扱うように大切に触れてくれたことがあった
「だから…もう一度…俺と、デートしてくれませんか?」
全くこの男は
さっきからずっと涙を止めようとこちらは必死なのに、どうしてこうも泣かせようとしてくるのか
不器用なクセに
その言葉を言ったのは私の方だということなど忘れているくせに
「俺の…エゴだけど、氷野さん、には笑顔でいてほしいから…俺が、できるなら笑顔にしたい
記憶戻ってないくせに、何言ってるんだって思うと思うんですけど、でも…今の俺も…ひ、氷野さんと一緒にいたい、です…」
英司の耳がだんだん赤くなってきている
こんなに目を合わせて話してくるなんて珍しいと思っていた
事故にあった後初めてと言っていい
「あの…ダメ…ですか?」
「ダメ…じゃないです」
英司の手にそっと触れてみる
英司が目覚めてから初めて握った手
やっぱりちょっと痩せている
離したくなくて、離そうとして、離せなかった手
「デート…もう1回、行きたいです」
あなたはこの言葉をあなたが言ったことをきっと覚えていない
英司がはにかむのを見ながら思う
でもそんなことはもうどうでもよかった
私の記憶は私のものだし、ずっと大切にするつもりだ
あんなに手放そうとしていたことがバカみたいな気がしてきた
「あ、もちろん、氷野さんの無理のないように…その…」
「櫻野さん、そんなに心配しなくても私、大丈夫ですよ
あ、大丈夫じゃないかもしれないけど、いつも通りにしてください」
言ってしまってから慌てる
私に関する記憶の戻っていない英司にいつも通りって何を言ってるのよ
「あ、あのね、その、前にベンチで話した時みたいな感じっていうか、英司は気にしすぎないで
そんなにすぐに悪化とかそんな感じじゃないというか」
「そっちがいいです」
英司が微笑んだ
「え?」
「あの…言葉遣い、とか…呼び方、とか…」
「あ…」
顔が熱くなってきた
「あの…嫌じゃなかったら…」
英司が少しモジモジしている
英司が何かおねだりするときいつもこんな感じだった気がする
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声が出なくて私はただ頷いた
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