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🌹『翠玉のケエス:芽吹』🌹 本編 💎 WHEEL of FORTUNE:U 💎
Drop.002『 WHEEL of FORTUNE:U〈Ⅰ〉』【3】
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「いいの。――気にしないで」
「――ですが」
「気にしないでいいの。――アタシは大丈夫だから。――ホラ。どこもケガしてないでしょ」
「――………………」
男の言葉を強く遮るようにそう言った法雨が、すっと両手を広げるようにすると、それを一瞥した男は、今一度オオカミたちが逃げて行った窓を見やり、しばし考えた後、諦めた様子で溜め息まじりに言った。
「……なぜ、彼らを庇うんです」
男は、そう言いながら、床に放られていた法雨の衣服を丁寧に拾い上げると、軽く埃を払うようにしてから法雨に手渡し、続けた。
「貴方は、自ら望んでこんな事をしていたわけではないでしょう」
手渡された衣服を受け取りながら、法雨はそれにきっぱりと言う。
「いいえ。自ら望んでの事よ。――たまにはこういう事も刺激的でいいかなって思ったから、暇つぶしに遊んであげてただけよ」
「――嘘はいけません」
男は、また溜め息交じりに言った。
そんな男に、法雨はしばしむっとした様子で言い返す。
「――嘘じゃないわ。――どうしてそう思うの?」
「顔を見れば分かります」
男は、真っ直ぐに法雨を見て言った。
「――人が咄嗟に何かを取り繕う時、目や表情は、如実に真実を語るものです」
「――………………」
法雨は、男の視線に耐えきれず、逃げるようにして視線を逸らす。
そして、そのまま観念した様子で言った。
「――まぁ……、望んでは、いなかったわね……」
それが、法雨の本心であった。
法雨はその日、――否、――その日もまた、彼らにその身を分け与えていた。
彼らの欲求を満たしてやるために――。
ただ、望んではいなかったとは云え、苦痛であったかと云えば、そういうわけでもなかった。
法雨は、どちらかと云えば、性的な交わりは好きな方だ。
それゆえ、その日の行いも、彼らに無理やりさせられていた、という感覚はなかった。
だが、法雨が自ら望んで始めた交わりというわけではない、というのもまた、事実であった。
つまりは、――望まぬ行為だったが、特に抵抗しなかっただけ、なのだ。
「……我慢をして、そのように強く振舞っていらっしゃるわけでない事は分かりました。――ですが、それでも貴方は被害者に変わりありません。――ですから、せめて被害届だけでも出すべきです。――それに、このような事をされたのは、今回が初めてではないのではありませんか?」
「――それは……」
恐らく、法雨と彼らの真実にすでに辿り着いているのであろう男の言葉に、法雨は戸惑う。
法雨の反応を静かに認めると、男はさらに紡ぐ。
「――そうであるならば、やはり、これ以上このような事を続けさせてはいけません。――もし、警察への届け出をしない理由が、彼らからの報復を恐れてという事であれば――」
「違うわ」
一度は黙した法雨であったが、そこで再び男の言葉を遮ると、法雨は続けた。
「――報復されるとか、そういう理由で届出をしないわけじゃない……」
その法雨の言葉に黙すと、硬い表情の男は、ゆっくりと法雨を見た。
Next → Drop.003『 WHEEL of FORTUNE:U〈Ⅱ〉』
「――ですが」
「気にしないでいいの。――アタシは大丈夫だから。――ホラ。どこもケガしてないでしょ」
「――………………」
男の言葉を強く遮るようにそう言った法雨が、すっと両手を広げるようにすると、それを一瞥した男は、今一度オオカミたちが逃げて行った窓を見やり、しばし考えた後、諦めた様子で溜め息まじりに言った。
「……なぜ、彼らを庇うんです」
男は、そう言いながら、床に放られていた法雨の衣服を丁寧に拾い上げると、軽く埃を払うようにしてから法雨に手渡し、続けた。
「貴方は、自ら望んでこんな事をしていたわけではないでしょう」
手渡された衣服を受け取りながら、法雨はそれにきっぱりと言う。
「いいえ。自ら望んでの事よ。――たまにはこういう事も刺激的でいいかなって思ったから、暇つぶしに遊んであげてただけよ」
「――嘘はいけません」
男は、また溜め息交じりに言った。
そんな男に、法雨はしばしむっとした様子で言い返す。
「――嘘じゃないわ。――どうしてそう思うの?」
「顔を見れば分かります」
男は、真っ直ぐに法雨を見て言った。
「――人が咄嗟に何かを取り繕う時、目や表情は、如実に真実を語るものです」
「――………………」
法雨は、男の視線に耐えきれず、逃げるようにして視線を逸らす。
そして、そのまま観念した様子で言った。
「――まぁ……、望んでは、いなかったわね……」
それが、法雨の本心であった。
法雨はその日、――否、――その日もまた、彼らにその身を分け与えていた。
彼らの欲求を満たしてやるために――。
ただ、望んではいなかったとは云え、苦痛であったかと云えば、そういうわけでもなかった。
法雨は、どちらかと云えば、性的な交わりは好きな方だ。
それゆえ、その日の行いも、彼らに無理やりさせられていた、という感覚はなかった。
だが、法雨が自ら望んで始めた交わりというわけではない、というのもまた、事実であった。
つまりは、――望まぬ行為だったが、特に抵抗しなかっただけ、なのだ。
「……我慢をして、そのように強く振舞っていらっしゃるわけでない事は分かりました。――ですが、それでも貴方は被害者に変わりありません。――ですから、せめて被害届だけでも出すべきです。――それに、このような事をされたのは、今回が初めてではないのではありませんか?」
「――それは……」
恐らく、法雨と彼らの真実にすでに辿り着いているのであろう男の言葉に、法雨は戸惑う。
法雨の反応を静かに認めると、男はさらに紡ぐ。
「――そうであるならば、やはり、これ以上このような事を続けさせてはいけません。――もし、警察への届け出をしない理由が、彼らからの報復を恐れてという事であれば――」
「違うわ」
一度は黙した法雨であったが、そこで再び男の言葉を遮ると、法雨は続けた。
「――報復されるとか、そういう理由で届出をしないわけじゃない……」
その法雨の言葉に黙すと、硬い表情の男は、ゆっくりと法雨を見た。
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