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🌹『翠玉のケエス:芽吹』🌹 本編 💎 The HANGED MAN:U 💎
Drop.014『 The HANGED MAN:U〈Ⅱ〉』【3】
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(――あの雷さんが……、――あの、――この世のすべての物事に対して完璧そうで、さらに容姿端麗で、向かうトコロ敵なしって感じの――あの雷さんが……、初恋……。――しかも……)
しかも――、その――誰がどう見ても恋の病の結果であろう症状が生じている理由に一切の検討がつかず、この――恋も愛も大変未熟そうな助手に“これはなんなのか”――などと尋いてしまうほどに経験した事がなかったほどの、恋――。
(――そんな初恋を……、――あの雷さんが……)
法雨は、そんな雷を想いながら、京に問う。
「――じゃあ、それで……、――京は、雷さんに、ちゃんと言ってあげたの?」
「――え? ――言うって、何をっすか?」
「――だから……」
法雨は、首を傾げる京に、呆れながら言う。
「――“それ”は、――その人に恋してるんじゃないかって事。――“その事”を、――雷さんに教えてあげたの?」
すると、京はそれに大きく頷いた。
「――あ、はい! ――それは、もちろん!」
――それ!! 恋っすよ!! 雷さん!!
その京の言葉を受けた法雨は――、顎に手を当て、静かに考える雷に対し、恐らく“ジャジャーン”をしながらそう言ったであろう助手の様子を想像し、再び半目がちになった。
そして、そんな想像を脳内から払うと、法雨はまた問う。
「――じゃあ、雷さんは、それになんて?」
京は、思い出すようにしながら言う。
「――えっと、なんか~、――“そうか……、そうなのか……”――つって……、――なんでか、すげぇ困ってました」
「――え? ――“困ってた”? ――恥ずかしがってたとかじゃなくて?」
「――はい。そうなんすよ。――俺も不思議だったんすけど、――明らかに“困って”ましたね……。――戸惑ってるって感じもありましたけど……」
「――う~ん。――それは妙ねぇ」
(――自分が恋をしてるって言われて、――恥ずかしがるなら分かるけど……)
「――なんで“困る”のかしら……」
そうして、そこで考え込んだ法雨に、京は、自身の推測を述べる。
「――落とせなさそうな相手なんじゃないすか?」
法雨は、それには納得がいかない様子で言った。
「そうかしら……。――そういう時って、困るっていうより、単に考え込むとかの方が自然じゃない? ――例えば、どうやったら落とせるだろうか、とかね……。――それに、それなら“恋をしてるって分かった時点で困る”のは変でしょう? ――だから、――もしかしたらだけど、――“恋をしてるって分かった時点で困った”って事は、雷さん、――“恋をしちゃいけない相手”に、恋をしてしまったんじゃない……?」
すると、京は、そんな法雨を凝視するようにして言った。
「――………………、ね……、姐さん……」
「何?」
その様子を法雨が訝しむと、京は、身を乗り出すようにして続けた。
「――姐さん……。――もしかしなくとも、姐さんって、実は、――名探偵なんじゃないっすか……?」
それに、法雨は溜め息をつく。
「――おばかね。――このくらい誰でも思いつくわよ」
京は、その法雨に異を唱えるように口を尖らせた。
「――えぇえ~? ――俺は思いつかなかったっすよ~?」
「それは、アンタの発想力が乏しいのよ」
「――くっ……」
異を唱えたものの、結局は痛いところを突かれる事なった京は、喉の奥で啼くと、哀しみと共にぐっとカクテルを飲み干した。
法雨は、そんな京の事は横に置き、改めて雷を想うと、案じるようにして、悩ましい溜め息をついた。
Next → Drop.015『 The HANGED MAN:U〈Ⅲ〉』
しかも――、その――誰がどう見ても恋の病の結果であろう症状が生じている理由に一切の検討がつかず、この――恋も愛も大変未熟そうな助手に“これはなんなのか”――などと尋いてしまうほどに経験した事がなかったほどの、恋――。
(――そんな初恋を……、――あの雷さんが……)
法雨は、そんな雷を想いながら、京に問う。
「――じゃあ、それで……、――京は、雷さんに、ちゃんと言ってあげたの?」
「――え? ――言うって、何をっすか?」
「――だから……」
法雨は、首を傾げる京に、呆れながら言う。
「――“それ”は、――その人に恋してるんじゃないかって事。――“その事”を、――雷さんに教えてあげたの?」
すると、京はそれに大きく頷いた。
「――あ、はい! ――それは、もちろん!」
――それ!! 恋っすよ!! 雷さん!!
その京の言葉を受けた法雨は――、顎に手を当て、静かに考える雷に対し、恐らく“ジャジャーン”をしながらそう言ったであろう助手の様子を想像し、再び半目がちになった。
そして、そんな想像を脳内から払うと、法雨はまた問う。
「――じゃあ、雷さんは、それになんて?」
京は、思い出すようにしながら言う。
「――えっと、なんか~、――“そうか……、そうなのか……”――つって……、――なんでか、すげぇ困ってました」
「――え? ――“困ってた”? ――恥ずかしがってたとかじゃなくて?」
「――はい。そうなんすよ。――俺も不思議だったんすけど、――明らかに“困って”ましたね……。――戸惑ってるって感じもありましたけど……」
「――う~ん。――それは妙ねぇ」
(――自分が恋をしてるって言われて、――恥ずかしがるなら分かるけど……)
「――なんで“困る”のかしら……」
そうして、そこで考え込んだ法雨に、京は、自身の推測を述べる。
「――落とせなさそうな相手なんじゃないすか?」
法雨は、それには納得がいかない様子で言った。
「そうかしら……。――そういう時って、困るっていうより、単に考え込むとかの方が自然じゃない? ――例えば、どうやったら落とせるだろうか、とかね……。――それに、それなら“恋をしてるって分かった時点で困る”のは変でしょう? ――だから、――もしかしたらだけど、――“恋をしてるって分かった時点で困った”って事は、雷さん、――“恋をしちゃいけない相手”に、恋をしてしまったんじゃない……?」
すると、京は、そんな法雨を凝視するようにして言った。
「――………………、ね……、姐さん……」
「何?」
その様子を法雨が訝しむと、京は、身を乗り出すようにして続けた。
「――姐さん……。――もしかしなくとも、姐さんって、実は、――名探偵なんじゃないっすか……?」
それに、法雨は溜め息をつく。
「――おばかね。――このくらい誰でも思いつくわよ」
京は、その法雨に異を唱えるように口を尖らせた。
「――えぇえ~? ――俺は思いつかなかったっすよ~?」
「それは、アンタの発想力が乏しいのよ」
「――くっ……」
異を唱えたものの、結局は痛いところを突かれる事なった京は、喉の奥で啼くと、哀しみと共にぐっとカクテルを飲み干した。
法雨は、そんな京の事は横に置き、改めて雷を想うと、案じるようにして、悩ましい溜め息をついた。
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