運命に惑うケモミミBL♂ハイスペ愛情深🐺×恋歴難美人オネェ🐱『ロドンのキセキ🌹翠玉のケエス💎輝石ノ箱ヨリ⚙️芽吹』全31話

🍶醇壱🔹JUNICHI🍶

文字の大きさ
72 / 109
🌹『翠玉のケエス:芽吹』🌹 本編 💎 The STAR:U 💎

Drop.023『 The STAR:U〈Ⅱ〉』【1】

しおりを挟む
 
 
 
 法雨みのりの案内に従い駐車したあずまは、法雨と肩を並べながら車のトランクを開けた。
「――あ、こちらのバッグは、着替え用ですか?」
 その雷から、預けていた大荷物を受け取る中、トランクの隅に佇む大ぶりなバッグを示し法雨が問うと、雷は穏やかに応じた。
「ん? ――あぁ。そうです。――よく分かりましたね」
「車での遠征も度々おありと仰ってらしたので、――着替えも常備していらっしゃるのかなと思いまして」
「なるほど。――まさに、ご推察の通りです。――流石、一度お話ししただけの事でしたが、よく覚えてらっしゃいますね」
「ふふ。――店長なんてしておりますと、勝手に覚えてしまう事も多いもので」
 感心した様子の雷に、はにかみ笑むと、法雨はさらに続けた。
「――でも、着替えもお持ちなら、安心しました」
「――? ――“安心”? ――……雨の事ですか?」
 それに、はてと不思議そうにした雷が問うと、法雨は、随分と満足そうに笑んでは言った。
 
 
― Drop.023『 The STAR:U〈Ⅱ〉』―
 
 
「――実は、今。――うちには、美味しいお酒も、勢揃いしているんです。――ですから、――“着替えをお持ちなら安心だな”、と」
「――………………」
 法雨が、そう言いながら、今しがた閉められようとしていたトランクリッドにそっと触れ、留めるようにすると、雷は一度黙し、困惑した様子を見せながら、ぎこちなく言った。
「――その……、――“この通り”……なので……」
 そして、雷は、法雨と同じく車体に添えたままの左手でトランクリッドをわずかに揺らすと、“帰路にも車を使用する”旨を示すようにした。
 しかし、そんな雷にも笑顔を崩さぬままの法雨は、その繊細な指先でトランクリットをつんと持ち上げては言う。
「――えぇ。それはもう“この通り”、――しっかりと存じ上げておりますわ。――でも、“今晩中にお帰りにならなければ”、問題のない事ではありません? ――奇遇にも、“着替えまでお持ち”ですし」
「――………………ですが……」
 そんな法雨に雷は躊躇うが、その彼の心を知ってか知らずか、法雨は言った。
「――もう、――そんなに緊張なさらないでくださいな。――大丈夫ですよ。――お客様には、“おひとりで”安心して寝泊まり頂ける専用のお部屋がちゃんとありますから。――“捕って喰ったり”なんてしませんわ」
 そうして、悪戯っぽく笑んだ法雨に言われた雷は、それから随分と長い沈黙を挟みはしたものの――、その間、延々と法雨に見つめられていたためか、結局は白旗を振ると、
「――分かりました……。――では、“大いに”お言葉に甘えて、――“コレを連れて”、お邪魔しますね……」
 と、己への溜め息を交じえながら言うと、本日の出番はないはずであった“連れ”を、トランクから連れ出した。
 すると法雨は、そんな雷に満足げに笑み、
「ふふ。――嬉しいですわ。――それでは、参りましょ」
 と言うなり、雷にくるりと背を向けると、日中の滝行によりボサついた尾を上機嫌に揺らしながら、エレベーターに向かって歩き出した。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

キサラギムツキ
BL
長い間アプローチし続け恋人同士になれたのはよかったが…………… 攻め視点から最後受け視点。 残酷な描写があります。気になる方はお気をつけください。

天啓によると殿下の婚約者ではなくなります

ふゆきまゆ
BL
この国に生きる者は必ず受けなければいけない「天啓の儀」。それはその者が未来で最も大きく人生が動く時を見せる。 フィルニース国の貴族令息、アレンシカ・リリーベルは天啓の儀で未来を見た。きっと殿下との結婚式が映されると信じて。しかし悲しくも映ったのは殿下から婚約破棄される未来だった。腕の中に別の人を抱きながら。自分には冷たい殿下がそんなに愛している人ならば、自分は穏便に身を引いて二人を祝福しましょう。そうして一年後、学園に入学後に出会った友人になった将来の殿下の想い人をそれとなく応援しようと思ったら…。 ●婚約破棄ものですが主人公に悪役令息、転生転移、回帰の要素はありません。 性表現は一切出てきません。

【完結】オーロラ魔法士と第3王子

N2O
BL
全16話 ※2022.2.18 完結しました。ありがとうございました。 ※2023.11.18 文章を整えました。 辺境伯爵家次男のリーシュ・ギデオン(16)が、突然第3王子のラファド・ミファエル(18)の専属魔法士に任命された。 「なんで、僕?」 一人狼第3王子×黒髪美人魔法士 設定はふんわりです。 小説を書くのは初めてなので、何卒ご容赦ください。 嫌な人が出てこない、ふわふわハッピーエンドを書きたくて始めました。 感想聞かせていただけると大変嬉しいです。 表紙絵 ⇨ キラクニ 様 X(@kirakunibl)

もう一度、その腕に

結衣可
BL
もう一度、その腕に

はじまりの朝

さくら乃
BL
子どもの頃は仲が良かった幼なじみ。 ある出来事をきっかけに離れてしまう。 中学は別の学校へ、そして、高校で再会するが、あの頃の彼とはいろいろ違いすぎて……。 これから始まる恋物語の、それは、“はじまりの朝”。 ✳『番外編〜はじまりの裏側で』  『はじまりの朝』はナナ目線。しかし、その裏側では他キャラもいろいろ思っているはず。そんな彼ら目線のエピソード。

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

放課後教室

Kokonuca.
BL
ある放課後の教室で彼に起こった凶事からすべて始まる

雪を溶かすように

春野ひつじ
BL
人間と獣人の争いが終わった。 和平の条件で人間の国へ人質としていった獣人国の第八王子、薫(ゆき)。そして、薫を助けた人間国の第一王子、悠(はる)。二人の距離は次第に近づいていくが、実は薫が人間国に行くことになったのには理由があった……。 溺愛・甘々です。 *物語の進み方がゆっくりです。エブリスタにも掲載しています

処理中です...