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🌹『翠玉のケエス:芽吹』🌹 本編 💎 The STAR:U 💎
Drop.023『 The STAR:U〈Ⅱ〉』【2】
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雷は、その――随分とご機嫌に歩く後ろ姿を見やりながら苦笑し、今一度、己への溜め息を静かにつくと、トランクを閉め、法雨の後に続いた。
その間――、眼前でゆったりと振れ続けるしなやかな尾に理性を試されながら、雷が何度も自制の念を唱えていた事など、この時の法雨は知る由もなかった。
💎
「――いかがです? ――お口に合いますかしら?」
念に念を重ねながら法雨の後に続き、妙に緊張した面持ちで法雨の家へと足を踏み入れた雷ではあったが――、それからしばらくして、テーブルに勢揃いした法雨の手料理を頂き始めてからは、その硬い緊張を徐々に解いていった。
そんな雷に法雨が問うと、彼は、穏やかに笑んで応じる。
「はい。とても美味しいです。――それと、こちらの瓊本酒とも凄く合いますね」
法雨は、その雷の言葉に、嬉しそうに笑む。
「まぁ、それは良かった。――お酒にも合うようにと思って作ったので、そう言って頂けると、とても嬉しいですわ」
そして、自身もキンと冷えたグラスに口をつけると、法雨は、その――清涼水のように透き通った味わいを上品に愉しんだ。
そんな法雨は、しばしの雑談の後、ふと気になった事を、雷に尋ねてみる事にした。
「――あ、そうです。雷さん。――実はアタシ、雷さんのお仕事の事で、少し気になっていた事があったのですけど……。――お尋きしてみても、よろしいですか? ――もちろん、答えたくない事でしたら、そのように仰って頂ければと思うのですが」
雷はそれに、穏やかに微笑んで応じる。
「えぇ。大丈夫ですよ。――どんな事でしょうか」
法雨は、そんな雷にひとつ礼を添えると、続けた。
「――えっと、――雷さんは、探偵になられる前、警察機関にいらしたとの事でしたけれど……、――アタシ、警察を辞められてまで探偵になられた理由が、どうしても気になってしまって……。――その、本当に不躾な質問で、恐縮なのですが……」
そして、問いながら法雨が恐縮すると、雷は変わらぬ穏やかさで応じた。
「あぁ。ははは。なるほど。――その事でしたか。――そうですね。――先に言ってしまうと、そんな大層な理由はないのですよ。――なので、壮大な物語でなくてもよろしければ、お話ししますよ」
法雨は、その返答にしばし子供の様に目を煌めかせると、言った。
「本当ですか? ――雷さんさえよろしければ、ぜひお伺いしたいです」
そんな法雨の様子に愛らしさを感じたのか、雷は、
「ははは。分かりました」
と、楽しげに笑うと、ひとつ酒を頂いた後、紡ぎ出した。
「――俺は、目の前に困っている人が居るならば、すぐに手を貸したい性分なのです。――もちろん、この世の何処かで起こっているかもしれない犯罪を捜査する事も、既に生じてしまった事件の真相を突き止め、犯人を捜し出す事も、非常に大事です。――ですが、それらの任に従事している最中だからと、――目の前で困っている人に一秒たりとも手を貸せない環境は、俺には耐えられなかった」
そう語る雷は、そこでしばし物悲しげに笑むと、水滴を煌めかせている小ぶりなグラスを見つめては続けた。
その間――、眼前でゆったりと振れ続けるしなやかな尾に理性を試されながら、雷が何度も自制の念を唱えていた事など、この時の法雨は知る由もなかった。
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「――いかがです? ――お口に合いますかしら?」
念に念を重ねながら法雨の後に続き、妙に緊張した面持ちで法雨の家へと足を踏み入れた雷ではあったが――、それからしばらくして、テーブルに勢揃いした法雨の手料理を頂き始めてからは、その硬い緊張を徐々に解いていった。
そんな雷に法雨が問うと、彼は、穏やかに笑んで応じる。
「はい。とても美味しいです。――それと、こちらの瓊本酒とも凄く合いますね」
法雨は、その雷の言葉に、嬉しそうに笑む。
「まぁ、それは良かった。――お酒にも合うようにと思って作ったので、そう言って頂けると、とても嬉しいですわ」
そして、自身もキンと冷えたグラスに口をつけると、法雨は、その――清涼水のように透き通った味わいを上品に愉しんだ。
そんな法雨は、しばしの雑談の後、ふと気になった事を、雷に尋ねてみる事にした。
「――あ、そうです。雷さん。――実はアタシ、雷さんのお仕事の事で、少し気になっていた事があったのですけど……。――お尋きしてみても、よろしいですか? ――もちろん、答えたくない事でしたら、そのように仰って頂ければと思うのですが」
雷はそれに、穏やかに微笑んで応じる。
「えぇ。大丈夫ですよ。――どんな事でしょうか」
法雨は、そんな雷にひとつ礼を添えると、続けた。
「――えっと、――雷さんは、探偵になられる前、警察機関にいらしたとの事でしたけれど……、――アタシ、警察を辞められてまで探偵になられた理由が、どうしても気になってしまって……。――その、本当に不躾な質問で、恐縮なのですが……」
そして、問いながら法雨が恐縮すると、雷は変わらぬ穏やかさで応じた。
「あぁ。ははは。なるほど。――その事でしたか。――そうですね。――先に言ってしまうと、そんな大層な理由はないのですよ。――なので、壮大な物語でなくてもよろしければ、お話ししますよ」
法雨は、その返答にしばし子供の様に目を煌めかせると、言った。
「本当ですか? ――雷さんさえよろしければ、ぜひお伺いしたいです」
そんな法雨の様子に愛らしさを感じたのか、雷は、
「ははは。分かりました」
と、楽しげに笑うと、ひとつ酒を頂いた後、紡ぎ出した。
「――俺は、目の前に困っている人が居るならば、すぐに手を貸したい性分なのです。――もちろん、この世の何処かで起こっているかもしれない犯罪を捜査する事も、既に生じてしまった事件の真相を突き止め、犯人を捜し出す事も、非常に大事です。――ですが、それらの任に従事している最中だからと、――目の前で困っている人に一秒たりとも手を貸せない環境は、俺には耐えられなかった」
そう語る雷は、そこでしばし物悲しげに笑むと、水滴を煌めかせている小ぶりなグラスを見つめては続けた。
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