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🌹『翠玉のケエス:芽吹』🌹 本編 💎 The STAR:U 💎
Drop.023『 The STAR:U〈Ⅱ〉』【3】
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「――例えば、目の前で大切なブローチを失くして困っている女の子が居たならば、その宝物を一緒に探してやりたい。――例えば、大きな音に驚いた愛犬が、飼い主の手を離れてしまい、公園内のどこかへ逃げ込んでしまったのなら、一緒に探して、その愛犬を飼い主の元に帰してやりたいのです。――ですから、――その眼前の“小さな大事”に対し、“今は構っていられない”としなければならない事が、俺にとっては苦痛でした。――だから、集団で動く環境が合う者たちが集団で出来る事をする中、俺は、自分に合った、個人でしかできない事をしようと、――そう思うに至ったのです」
「そう、だったのですね……。――では、それが、警察をお辞めになって、探偵になられた理由……」
「――そうです。――期待に応られる様な理由でなくて、恐縮ですが」
法雨は、そうして己について紡いだ雷が、ひとつ照れくさそうに苦笑すると、ゆっくりと首を振って言った。
「いえ、とんでもありませんわ。――とっても素敵な理由です。――それに、そうして雷さんが探偵になってくださったから、アタシも、京たちも、雷さんに救ってもらえたんです。――特に、京たちの事については、アタシの場合、ただあの子たちの欲求を受け入れて、許容してあげる事しか出来なかった。――ですから、あの子たちが闇に堕ちてゆくのを止められたのは、雷さんが手を貸してくださったからです」
法雨は、水滴で曇ったグラスを親指で撫で、楕円の窓を作ると、続けた。
「――もし、あの子たちがあのままアタシを“食べ”続けて、最終的にアタシに飽きてしまったら、今度はまた別の人に同じ事をと、その行いを繰り返す様になっていたかもしれない。――でも、あの時あそこに雷さんが来てくださったから、あの子たちは、“獣”から“人”に戻れたんです。――ですから、これだけの大勢をも救う未来まで作った理由ですから。――本当に、とってもとっても、素敵な理由ですわ」
雷は、そう言い微笑んだ法雨に、穏やかな笑顔と礼を返す。
「ありがとうございます。――そう言って頂けると、嬉しいです」
「ふふ。こちらこそ。――お教えくださって、ありがとうございました。――大満足です」
「ははは。――それなら良かったです」
そして、礼を贈り合った雷と法雨が、二人でまたしばし笑い合った後――、ひとつ、思う様にして間を置いた雷は、ふと、法雨の名を呼んだ――。
Next → Drop.024『 The STAR:U〈Ⅲ〉』
「そう、だったのですね……。――では、それが、警察をお辞めになって、探偵になられた理由……」
「――そうです。――期待に応られる様な理由でなくて、恐縮ですが」
法雨は、そうして己について紡いだ雷が、ひとつ照れくさそうに苦笑すると、ゆっくりと首を振って言った。
「いえ、とんでもありませんわ。――とっても素敵な理由です。――それに、そうして雷さんが探偵になってくださったから、アタシも、京たちも、雷さんに救ってもらえたんです。――特に、京たちの事については、アタシの場合、ただあの子たちの欲求を受け入れて、許容してあげる事しか出来なかった。――ですから、あの子たちが闇に堕ちてゆくのを止められたのは、雷さんが手を貸してくださったからです」
法雨は、水滴で曇ったグラスを親指で撫で、楕円の窓を作ると、続けた。
「――もし、あの子たちがあのままアタシを“食べ”続けて、最終的にアタシに飽きてしまったら、今度はまた別の人に同じ事をと、その行いを繰り返す様になっていたかもしれない。――でも、あの時あそこに雷さんが来てくださったから、あの子たちは、“獣”から“人”に戻れたんです。――ですから、これだけの大勢をも救う未来まで作った理由ですから。――本当に、とってもとっても、素敵な理由ですわ」
雷は、そう言い微笑んだ法雨に、穏やかな笑顔と礼を返す。
「ありがとうございます。――そう言って頂けると、嬉しいです」
「ふふ。こちらこそ。――お教えくださって、ありがとうございました。――大満足です」
「ははは。――それなら良かったです」
そして、礼を贈り合った雷と法雨が、二人でまたしばし笑い合った後――、ひとつ、思う様にして間を置いた雷は、ふと、法雨の名を呼んだ――。
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