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仁野くんがテントを出ていった直後、
西山がバッと入り口のファスナーを開けて入ってきた。
「……お前ら、テントの中でコソコソ何してたの?」
……この人の想像力、もはや俺の黒歴史ラノベよりやばいんだけど。
「え、聞いてない?仁野くん、虫に刺されてアレルギー出ちゃったんだよ」
――って説明しても、西山にはあんまり効かなかった。
「うん、知ってる。でもさ、それでテントの中で薬塗ってたってこと?」
「そうだけど……他に何があるのさ」
黙り込むくせに、なぜか出ていかない西山。
……なに?居座るつもり?なんか変。
「どうしたの?板垣くんとケンカでもした?」
視線を逸らして、西山が微妙な声で答える。
「別に……ケンカとかじゃないし」
私は使い終わった綿棒をゴミ袋に投げ入れながら言った。
「いや、あんたらしょっちゅう口ゲンカしてるじゃん。今回もどうせそれでしょ?だから俺のとこに逃げ込んできたんでしょ」
すると、西山の顔にめっちゃ暗い影。
「……今回は違う。たぶん、マジで終わったかもしれない」
「ないない、あんたら何千話も修羅場ってるくせに、今さら解散とかあるわけないって」
「何千話って……?」
――しまった。口が滑った。
「いや、なんでもない」
ありがたいことに、西山はそれ以上突っ込んでこなかった。
そして、急に真顔になって言った。
「なあ、聡太。男同士が……キスしちゃったら、どうすればいいと思う?」
瞳孔、ガン開き。
「キス……だと!?」
はやっ!何があった!
西山はうつむいて、ぽつり。
「……ほんとに、たまたまだったんだよ。俺、ちゃんと謝ったし……でも、板垣、それからずっと口きいてくれなくて」
「……もしかして、板垣くん、お前のこと好きなんじゃない?」
西山は首を振った。
「ありえないって。あいつ、普段から俺に反発してばっかりだよ?そんなヤツが俺を好きなわけないじゃん」
私は黙って見ていた。
すると西山の目が、だんだん不安そうに揺れてきて――
「……もしかして、本当に好きだったりして……?」
「だってさ、板垣って“おやすみ”って言うの、お前にしか言わないし。宿題も、お前にしか見せないし、あいつ成績優秀なのに。席取りするときも、いつも隣の席だけは空けてるじゃん。で、極めつけは……お前が甘えたら、即ニヤニヤしだすじゃん!」
西山は完全否定モード。
「俺、甘えたりなんかしてないし!」
「いや、先月の体育の後、飲み物買いに付き合えってしつこくしてたとき」
「……あっ……たしかに……。てか、なんでお前そんな細かく覚えてんの!?」
反応、鋭いな。
私は頭をかきながら、必死に理由をひねり出す。
「えーっと、俺、実は……超能力持ってんだ」
西山が怪訝な顔で、眉をひそめた。
「……超・俺のこと好き、って能力?」
「違ぇよ!? “超人的な観察力”のことだよ!」
もうダメだ……この世界おかしい。
顔を手で覆って上を向いたそのとき――
テントの入り口に、ひとつの黒い影が立っていた。
逆光の中で顔は見えないのに、なんか……めっちゃ怒ってない!?
ひゃ、やば。
「……板垣……?」
ああ、完全に……追いかけてきた恋人モード。
私はすかさず西山を押し出した。
「行け行け!早く!このままだと俺が命狙われる!」
そして両手を挙げて、無実アピール!
「俺、何もしてませんからー!!」
でもさ……思ったんだけど……
俺と板垣、並んでたら案外似合ってね?って思ったの、内緒にしとく。
西山がバッと入り口のファスナーを開けて入ってきた。
「……お前ら、テントの中でコソコソ何してたの?」
……この人の想像力、もはや俺の黒歴史ラノベよりやばいんだけど。
「え、聞いてない?仁野くん、虫に刺されてアレルギー出ちゃったんだよ」
――って説明しても、西山にはあんまり効かなかった。
「うん、知ってる。でもさ、それでテントの中で薬塗ってたってこと?」
「そうだけど……他に何があるのさ」
黙り込むくせに、なぜか出ていかない西山。
……なに?居座るつもり?なんか変。
「どうしたの?板垣くんとケンカでもした?」
視線を逸らして、西山が微妙な声で答える。
「別に……ケンカとかじゃないし」
私は使い終わった綿棒をゴミ袋に投げ入れながら言った。
「いや、あんたらしょっちゅう口ゲンカしてるじゃん。今回もどうせそれでしょ?だから俺のとこに逃げ込んできたんでしょ」
すると、西山の顔にめっちゃ暗い影。
「……今回は違う。たぶん、マジで終わったかもしれない」
「ないない、あんたら何千話も修羅場ってるくせに、今さら解散とかあるわけないって」
「何千話って……?」
――しまった。口が滑った。
「いや、なんでもない」
ありがたいことに、西山はそれ以上突っ込んでこなかった。
そして、急に真顔になって言った。
「なあ、聡太。男同士が……キスしちゃったら、どうすればいいと思う?」
瞳孔、ガン開き。
「キス……だと!?」
はやっ!何があった!
西山はうつむいて、ぽつり。
「……ほんとに、たまたまだったんだよ。俺、ちゃんと謝ったし……でも、板垣、それからずっと口きいてくれなくて」
「……もしかして、板垣くん、お前のこと好きなんじゃない?」
西山は首を振った。
「ありえないって。あいつ、普段から俺に反発してばっかりだよ?そんなヤツが俺を好きなわけないじゃん」
私は黙って見ていた。
すると西山の目が、だんだん不安そうに揺れてきて――
「……もしかして、本当に好きだったりして……?」
「だってさ、板垣って“おやすみ”って言うの、お前にしか言わないし。宿題も、お前にしか見せないし、あいつ成績優秀なのに。席取りするときも、いつも隣の席だけは空けてるじゃん。で、極めつけは……お前が甘えたら、即ニヤニヤしだすじゃん!」
西山は完全否定モード。
「俺、甘えたりなんかしてないし!」
「いや、先月の体育の後、飲み物買いに付き合えってしつこくしてたとき」
「……あっ……たしかに……。てか、なんでお前そんな細かく覚えてんの!?」
反応、鋭いな。
私は頭をかきながら、必死に理由をひねり出す。
「えーっと、俺、実は……超能力持ってんだ」
西山が怪訝な顔で、眉をひそめた。
「……超・俺のこと好き、って能力?」
「違ぇよ!? “超人的な観察力”のことだよ!」
もうダメだ……この世界おかしい。
顔を手で覆って上を向いたそのとき――
テントの入り口に、ひとつの黒い影が立っていた。
逆光の中で顔は見えないのに、なんか……めっちゃ怒ってない!?
ひゃ、やば。
「……板垣……?」
ああ、完全に……追いかけてきた恋人モード。
私はすかさず西山を押し出した。
「行け行け!早く!このままだと俺が命狙われる!」
そして両手を挙げて、無実アピール!
「俺、何もしてませんからー!!」
でもさ……思ったんだけど……
俺と板垣、並んでたら案外似合ってね?って思ったの、内緒にしとく。
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