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七、福岡
(三)
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宮本は照代ごしに狭い窓から外を眺めていた。離陸して、どんどん空の上の方に突き進んでいく飛行機を感じながら、窓から見える地上の光景がわずかな断片であるのがわかると、視線を外して、目をつぶった。照代は、ずっと窓の外を眺めているようだった。
羽田から福岡までは一時間半くらいの短いフライトだ。ちょっとうとうとすれば、気づいたらもう福岡上空だろう。休日だというのに、朝早く起きる羽目になった宮本は、休日モードになっている自分の体が睡眠を欲している事に気づいていた。飛行機は、一旦、離陸してしまうと、飲み物、食事など、することは限られているので、とりあえず、外の景色もよく見えない状況では、飲みたくもなくて、食事をとりたくもなければ、寝てしまうのが楽だ。
深い睡眠に、すっと落ちたかと思うと身震いして目が覚めた。時計を見ると、三十分くらい眠っていたようだ。照代はまだ外を眺めている。
「何か見える?」と聞くと、照代は、
「ううん、何も。雲だけ。」と外を眺めながら答えた。
宮本は、再び、目をつぶった。しかし、今度は睡魔がまったく襲ってこなかった。三十分の短い睡眠で、睡魔が退治されてしまったようだ。宮本は、手持ちぶさたになったので、客室乗務員を呼んで、コーヒーを頼んだ。
照代は飛行機が福岡市街地のど真ん中にある福岡空港に着陸するまで、ずっと外を眺めていて一言も言葉を発しなかった。宮本は時折照代を一瞥するものの、窓の外に視線を固定してぴくりともしない姿に、話しかける隙を見いだせず、ずっと沈黙せざるを得なかった。
福岡空港は市街地のど真ん中にある。
空港からは地下鉄で博多駅まで二駅という近さだ。今回宿泊するホテルは、天神にあったので、もう二駅くらい地下鉄に乗る事になる。宮本は照代の荷物を一手に引き受け、彼女のすたすたと歩いていくあとをうつむき加減でついていった。宮本にとっては初めての福岡だったので、まったく地理はわからず、どこに何があるのか、見当がつかなかった。だから、照代についていくしかなかった。
地下鉄で西鉄天神駅まで行くと、そこで降りて天神の地下街を抜けて地上に出た。それから、大きな通りを東に向かった。外は、三月だが、まだ、肌寒く、暗い鈍重な雲が空を覆っていたせいか、更に寒さが強調されていた。宮本は、空模様を眺め、雨が降るかもしれないと予感した。
羽田から福岡までは一時間半くらいの短いフライトだ。ちょっとうとうとすれば、気づいたらもう福岡上空だろう。休日だというのに、朝早く起きる羽目になった宮本は、休日モードになっている自分の体が睡眠を欲している事に気づいていた。飛行機は、一旦、離陸してしまうと、飲み物、食事など、することは限られているので、とりあえず、外の景色もよく見えない状況では、飲みたくもなくて、食事をとりたくもなければ、寝てしまうのが楽だ。
深い睡眠に、すっと落ちたかと思うと身震いして目が覚めた。時計を見ると、三十分くらい眠っていたようだ。照代はまだ外を眺めている。
「何か見える?」と聞くと、照代は、
「ううん、何も。雲だけ。」と外を眺めながら答えた。
宮本は、再び、目をつぶった。しかし、今度は睡魔がまったく襲ってこなかった。三十分の短い睡眠で、睡魔が退治されてしまったようだ。宮本は、手持ちぶさたになったので、客室乗務員を呼んで、コーヒーを頼んだ。
照代は飛行機が福岡市街地のど真ん中にある福岡空港に着陸するまで、ずっと外を眺めていて一言も言葉を発しなかった。宮本は時折照代を一瞥するものの、窓の外に視線を固定してぴくりともしない姿に、話しかける隙を見いだせず、ずっと沈黙せざるを得なかった。
福岡空港は市街地のど真ん中にある。
空港からは地下鉄で博多駅まで二駅という近さだ。今回宿泊するホテルは、天神にあったので、もう二駅くらい地下鉄に乗る事になる。宮本は照代の荷物を一手に引き受け、彼女のすたすたと歩いていくあとをうつむき加減でついていった。宮本にとっては初めての福岡だったので、まったく地理はわからず、どこに何があるのか、見当がつかなかった。だから、照代についていくしかなかった。
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