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八、太宰府天満宮
(二)
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そう言うと、照代はなにか物思いに沈むように黙った。そして、しばらく、じっと窓の外の雪を見ていた。宮本も見ていた。二人の間には雪の降る音が聞こえてくるような沈黙が流れた。
朝食を取ると、照代は宮本を残して部屋に戻り、荷物を持って降りてきた。そして、フロントでチェックアウトを済ますとホテルの外に出た。宮本はリュック一つで来たので、部屋には荷物はなかった。
ホテルの外に出ると、二人は西鉄の天神駅に向かった。駅に着くと大きめのコインロッカーにバッグ以外の荷物を納め、照代はプラットホームに向かった。
天満宮に行くには、天神駅から二日市駅まで行って、太宰府線に乗り換えるのだ。片道二十分くらいだろうか。
西鉄天神駅のホームは地上二階にあるので、階段を上って、プラットホームに向かった。休日の午前中なので、家族連れや若干の学生達で、休日特有ののんびりした空気が流れていた。みな、春の季節はずれの雪で寒い大気に息を白くさせて凍えていた。
二人は花畑行きの急行に乗り込み、車内が空いていたので、席に座って発車までの数分を待っていた。照代が口を開いた。
「彼の実家にね、挨拶に行った日、挨拶に行く前に太宰府天満宮に参拝したのよ。彼の実家が太宰府にあったから、近くの天満宮にも参拝しておこうと思ってね。だから、ちょっと、複雑な気分なのよね。」
宮本は、照代の顔を見た。「じゃ、なんで、行くの?」と思ったが口には出さなかった。
「あの日は、天満宮に参拝してから、彼の実家に寄って、一晩泊まってから、翌日、タクシーで福岡空港に戻ろうとしたのよね。」
「あれ?福岡に住んでたんじゃなかったっけ?」
「そのときは、東京に戻ってたの。」
「福岡での仕事はどうしたの?」
「一応、契約期間が終わったから、一旦、東京に戻ったのよ。」
「戻ってから、婚約になったわけだ。」
「まあ、向こうから、電話があって、そういう話があってね、まあ、つまり、そのとき、プロポーズされたわけなんだけど。私の方も、そろそろ、いいかみたいな感じだったから。ただ、彼は福岡に来てほしいと言ってたから、そこがちょっとひっかかってたんだけど、せっかくのプロポーズだし、もうチャンスないかもしれないし、福岡でもいいかってことになって。この話は、昨日もしたっけ?」
宮本は昨日の記憶が曖昧だっだので、いい加減に返事をした。照代は続けた。
朝食を取ると、照代は宮本を残して部屋に戻り、荷物を持って降りてきた。そして、フロントでチェックアウトを済ますとホテルの外に出た。宮本はリュック一つで来たので、部屋には荷物はなかった。
ホテルの外に出ると、二人は西鉄の天神駅に向かった。駅に着くと大きめのコインロッカーにバッグ以外の荷物を納め、照代はプラットホームに向かった。
天満宮に行くには、天神駅から二日市駅まで行って、太宰府線に乗り換えるのだ。片道二十分くらいだろうか。
西鉄天神駅のホームは地上二階にあるので、階段を上って、プラットホームに向かった。休日の午前中なので、家族連れや若干の学生達で、休日特有ののんびりした空気が流れていた。みな、春の季節はずれの雪で寒い大気に息を白くさせて凍えていた。
二人は花畑行きの急行に乗り込み、車内が空いていたので、席に座って発車までの数分を待っていた。照代が口を開いた。
「彼の実家にね、挨拶に行った日、挨拶に行く前に太宰府天満宮に参拝したのよ。彼の実家が太宰府にあったから、近くの天満宮にも参拝しておこうと思ってね。だから、ちょっと、複雑な気分なのよね。」
宮本は、照代の顔を見た。「じゃ、なんで、行くの?」と思ったが口には出さなかった。
「あの日は、天満宮に参拝してから、彼の実家に寄って、一晩泊まってから、翌日、タクシーで福岡空港に戻ろうとしたのよね。」
「あれ?福岡に住んでたんじゃなかったっけ?」
「そのときは、東京に戻ってたの。」
「福岡での仕事はどうしたの?」
「一応、契約期間が終わったから、一旦、東京に戻ったのよ。」
「戻ってから、婚約になったわけだ。」
「まあ、向こうから、電話があって、そういう話があってね、まあ、つまり、そのとき、プロポーズされたわけなんだけど。私の方も、そろそろ、いいかみたいな感じだったから。ただ、彼は福岡に来てほしいと言ってたから、そこがちょっとひっかかってたんだけど、せっかくのプロポーズだし、もうチャンスないかもしれないし、福岡でもいいかってことになって。この話は、昨日もしたっけ?」
宮本は昨日の記憶が曖昧だっだので、いい加減に返事をした。照代は続けた。
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