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十、残り香
(三)
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「大分前のことでお忘れかもしれませんが、照代さんと有楽町の交番前で待ち合わせして、一緒に食事を取った事があるのですが、そのときの宮本です。」
相手は思い当たる節があるのか、口調が少し変わった。
「あのお、じゃあ、あのときの宮本さんですか・・・」
「はい、そうです。」
宮本は、やっと話が通じてほっとした。しかし、相手の方は、まだ、警戒心を解いていなかった。
「それで、失礼ですが、何のご用で。」
「早川さんの事について、お話を伺いたいと思って。」
相手は黙っていた。話したくなさそうな雰囲気が感じ取れた。
「最近ですね、早川さんと連絡をとる必要が生じまして、それで、いろいろと連絡先を当たってみたんですが、連絡が付かなくて。以前に、彼女が、連絡が付かないときは左知代さんに電話をかけてみてと言っていたのを思い出しまして、それで、不躾とは思いながら、突然のお電話をおかけしたということでして。電話ではご都合が悪いのであれば、もしですね、お時間があれば、直接、お話をお伺いするというのでもよろしいのですが。」
そう言った瞬間、これは電話を切られるかもと咄嗟に感じた。しかし、切られることはなく、暫時の沈黙の後、「メールではいけませんか?」と相手は提案してきた。声は心なしか沈んでいた。宮本は、話が聞ければ手段は何でも良かったので、メールでも構わなかった。左知代は、宮本の携帯電話のメールアドレスを聞いて、電話を切った。
左知代からのメールは翌日の夜に来た。しかし、そこには、照代の事は何も書いてなく、代わりに、明日の夜、都合が良ければ直接会って話したいと書いてあった。宮本としても、その方がいろいろと聞けて都合が良かったので、すぐに承諾の返事を返した。何回かのやりとりの後、明日の八時、池袋の東口で待ち合わせして、近くの喫茶店で話しましょうという事になった。
翌日、仕事を定時に終わらせて、急いで池袋に向かった宮本は、約束の時間を十分遅れて、待ち合わせの場所に現れた。左知代の顔をよく覚えていない宮本は待ち合わせの場所に着くと、左知代の携帯電話に電話をかけた。左知代は宮本のすぐ後ろに立っていた。二人は互いの存在に気づくと、すぐに自己紹介をかねて名刺の交換をした。ここで初めて宮本は左知代の名字が田中であることを知った。二度目にあった左知代は、記憶にあった左知代よりは背も低く、髪はロングで黒いコートを羽織って、地味な感じの女性だった。
左知代は、既に決めていたかのように駅の近くの地下にある喫茶店に宮本を連れて行った。席についてコーヒーを注文すると、左知代が先に口を開いた。
相手は思い当たる節があるのか、口調が少し変わった。
「あのお、じゃあ、あのときの宮本さんですか・・・」
「はい、そうです。」
宮本は、やっと話が通じてほっとした。しかし、相手の方は、まだ、警戒心を解いていなかった。
「それで、失礼ですが、何のご用で。」
「早川さんの事について、お話を伺いたいと思って。」
相手は黙っていた。話したくなさそうな雰囲気が感じ取れた。
「最近ですね、早川さんと連絡をとる必要が生じまして、それで、いろいろと連絡先を当たってみたんですが、連絡が付かなくて。以前に、彼女が、連絡が付かないときは左知代さんに電話をかけてみてと言っていたのを思い出しまして、それで、不躾とは思いながら、突然のお電話をおかけしたということでして。電話ではご都合が悪いのであれば、もしですね、お時間があれば、直接、お話をお伺いするというのでもよろしいのですが。」
そう言った瞬間、これは電話を切られるかもと咄嗟に感じた。しかし、切られることはなく、暫時の沈黙の後、「メールではいけませんか?」と相手は提案してきた。声は心なしか沈んでいた。宮本は、話が聞ければ手段は何でも良かったので、メールでも構わなかった。左知代は、宮本の携帯電話のメールアドレスを聞いて、電話を切った。
左知代からのメールは翌日の夜に来た。しかし、そこには、照代の事は何も書いてなく、代わりに、明日の夜、都合が良ければ直接会って話したいと書いてあった。宮本としても、その方がいろいろと聞けて都合が良かったので、すぐに承諾の返事を返した。何回かのやりとりの後、明日の八時、池袋の東口で待ち合わせして、近くの喫茶店で話しましょうという事になった。
翌日、仕事を定時に終わらせて、急いで池袋に向かった宮本は、約束の時間を十分遅れて、待ち合わせの場所に現れた。左知代の顔をよく覚えていない宮本は待ち合わせの場所に着くと、左知代の携帯電話に電話をかけた。左知代は宮本のすぐ後ろに立っていた。二人は互いの存在に気づくと、すぐに自己紹介をかねて名刺の交換をした。ここで初めて宮本は左知代の名字が田中であることを知った。二度目にあった左知代は、記憶にあった左知代よりは背も低く、髪はロングで黒いコートを羽織って、地味な感じの女性だった。
左知代は、既に決めていたかのように駅の近くの地下にある喫茶店に宮本を連れて行った。席についてコーヒーを注文すると、左知代が先に口を開いた。
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