放置された日記

斐川 帙

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二〇〇六年六月三十日(金) 三崎の動き

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 三崎の広平の動きがつかめてきた。今日、俺の館に広村さんが来て、報告してきた。やはり、合戦の準備をしているらしい。ここは期先を制して、三崎も攻めるのがいい。その為に、三浦一族と連携を取ろうと。好都合な事に、三浦庄司義次殿と三崎の広平は仲はよくない。明日、三浦に話しに行ってくると。俺は、(一応、主なので)彼の提案を許し、行かせる事にした。ただ、都の広義のことも気になるので、東国下向の動きはないか、調べてみてくれないかとも命じてみた。父の甥に比叡山で高僧になっている人物がいるので、そのつてで動向を調べてみると広村さんは答えた。まあ、都は遠いし、動向がつかめるまでは何週間もかかるのかなとは想定しているが。
 広村さんが館を辞したあと、俺は奥の部屋に入って、雪姫を呼んだ。部屋って言っても障子で仕切ってあるだけの場所なんだけど。
 で、雪姫としばらくおしゃべり。しゃべるって言っても、共通の話題なんてないから、こっちが聞いて向こうが答えるという感じ。時々、くだらない事、しゃべって、雪姫がきゃっきゃっ笑ってた。ほんと、この年代の女の子の笑顔は可愛いね。つい、みとれちゃったよ。俺、これから、「ゆきちゃん」て呼ぶ事にした。姫君ていうのは堅苦しいし、雪姫は変だし。彼女も特に気にもとめなかったみたいだし。
 少し、しゃべって、沈黙になったところで、俺はゆきちゃんの手を取ってみた。ゆきちゃん、びっくりして手を引っ込めた。まずかったなと反省。彼女、俺の妻とは言え、妻とは何かなんて全くわからないまま、結婚したんだろうな。もう、こういうことはやめとこうと決めたよ。変な空気になって、押し黙っちゃったし。しょうがないから、下女を呼んで、菓子を出させた。菓子って言っても干し柿だけどね。菓子を食べて、少し空気が和んだところで、疲れたので俺は目を閉じた。うとうとして目が覚めたら、今朝だったと。こう言うとき、夢の中だってことは便利だね。
 そういや、天養記のこと、言わなかったな。別にいいか。夢なんだし。
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