放置された日記

斐川 帙

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二〇〇六年七月一日(土) 三浦との連携

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 夢と現実と、どっちが現実なのかわからなくなってきた。俺は、もう、自分が渋谷の婿殿であることの方が、より現実感を感じるようになってしまった。この時代の方が面白いし。
 三浦庄司義次のところに広村さんが行ってきたらしい。交渉の結果は、向こうは合戦に協力する事にはすごい乗り気なのだが、ただ、気になるのは、乗り気である理由に、合戦に勝ったついでに三崎荘の一部を三浦荘に組み込んでしまおうというねらいもあるのではないかと。だから、迂闊に三浦殿に参陣頂くのは危険かも知れない。
 広村さんの話ももっともなので、俺は、考え込んでしまった。恐らく、広平と戦になるなら、近隣の三浦一族の協力を事前に得ておくのは絶対的に有利に運べる。むしろ、こちらだけで単独に動く方が危険かも知れない。三浦一族と鎌倉殿は主従のような関係にあるらしいし。
 で、俺は、広村さんにこう提案してみた。逆に、こちらから、勝利の暁には三崎荘の一部を譲ると餌を与えて大いに働かせたらどうかと。三浦を通じて鎌倉殿とのつながりも深まるかも知れないし。
 広村さんは俺の提案に考え込んでいたが、殿の御意ですからということで、従った。明朝にも三浦のもとに殿のご意志を伝えに行くと。で、気になった事を思い出したので、聞いてみた。つまり、荘園領主の事だ。確か、以前、広重さんは、三崎荘は関白忠通家に寄進していると言っていた。関白家に無断で荘園の一部を他人に譲るのは大丈夫かと。しかし、広村さんは、所定の年貢と雑役ぞうやくを納めてさえいれば問題はないでしょうと。国衙との間では、もめるかも知れないが、それは三浦殿と国衙の間の問題なので、当家は関係ないから、心配することはないでしょうと。
 そんなものなのかと思ったが、この時代の事は広村さんの方が詳しいのだから、信じるしかない。
 広村さんがいなくなってから、雪姫を呼んでみた。雪姫は、気のせいか、俺を避けている感じで、微妙な距離を持って接している気がした。やっぱり、まずかったなと、また、反省。とはいえ、夢の中なんだし、この子は俺の妻なんだから、多少、無理矢理でもやっちゃってみようかとも思ったけど、ひどいことを考えるなあと我ながら、反省。この子の前では反省ばっかしだ。
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