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二〇〇六年七月十日(月) 初出勤
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今日は嫌々の初出勤だったが、初日という事もあって、自己紹介と仕事の説明と、そして、早速、経理の事務をちょこっと。まあ、今は、中途半端な時期なので、特に忙しくもなく、つまり、決算とか月末とかでないという意味なのだが、経理としては、それほど、することがないので、定時に帰った。オフィスは、駅前の貸しビルの一室で、社員全員で二十人くらいの小さな所帯、ネットオークションのシステム開発をしているとかで、ネットオークションそのものを運営しているのではないようだ。ネットオークションのシステムを含めた環境構築を手伝うというのが事業らしい。だから、システム開発だけでなく、運営のノウハウに関するコンサルタント業もやっているらしい。コンサルをして、同時に自社開発したシステムを販売して、トータルで儲けるという商売らしい。社長と専務は、かって外資系の同じ会社でネットオークションの運営・営業をしていたらしい。その経験を生かして、この会社を設立したとか。
しかし、経理の俺にとっては、事業の種類なんてのは、あまり関係ない。経理の仕事なんて、どの会社でも似たようなもので、まあ、多少、業種の違いによって扱う勘定科目の種類が違ってたりするが、やることの基本は同じ。ただ、新しい会社だと、独自のシステムを構築していなかったりするから、そうすると市販の経理ソフトで済ますわけで、その点、データの管理とか不安はあるが、まあ、慣れだろう。
経理の社員は、今までは一人だったそうで、俺が入ってきた事で、大分、喜んでいた。喜ばれても、自分としては困るんだけどね。本心は働きたくないわけだから。あと、女性も一人、派遣で雇う予定だと言っていた。
昨晩の夢では、出陣の日が決まった。早ければ早いほど、いいということで、早川の準備の都合もあってあさっての暁という事になった。三刻(六時間)くらいで三崎に到着するから、巳の刻(午前九時から十一時までの二時間)くらいに三崎に着くだろうと言っていた。相手も卯の刻くらいには気づくだろうが、それからでは兵を集めても間に合わないだろうから、我々は易々と三崎の館を包囲できるだろうと。
そういや、今日は珍しく雪姫が出てきた。しおらしく菓子を盛った高坏などを持ってきたが、話す話題もないので、終始、無言のまま。気詰まりなので、俺は、部屋を出て庭に降り立った。長秀丸が現れて、傍らに控えるので、俺は、長秀丸を伴って、館を出て、馬で近くの野へ。そこで、しばらく、休んだ。長秀丸を呼んで、しばらく、雑談。彼は、もともと、公領で耕作をしていた下人の息子だが、私出挙(領主が農民に稲を借すこと)の利稲(貸された稲の利子分の稲)が返せなくなって土地を没収された。ところが、武芸に才のあった彼は、従者として取り立てられて望地の若君の元に仕えるようになったと言っていた。幸い、望地の若君は、賢明な方なので、私の扱いも悪くないし、婿殿の配下に移されたのも、私としては、名誉な事であると。だから、婿殿のことは、命に替えても守るし、合戦の際には先陣をぜひ任せてほしいと。
長秀丸の話を聞いているうちに、何か、こう、感激といっては大袈裟かも知れないが、心動かされるものがあったのは事実だ。主従関係というのも悪くないなと思えた。従者にも従者の事情というのもあるだろうが、それは置いておいても、自分のために命を張ると言われて悪い気がするわけない。この男は大切に扱わないと行けないと思ったのも事実だ。こういう経験は、現代では、そうそう体験できないだろうな。現代で「命に替えても守る」なんて言われても、それは口だけのことだというのは分かり切ったことだが、この時代では、本当に命を張る状況が普通にあるわけなのだから。
この時代も悪くないかもしれないと感じた。
しかし、経理の俺にとっては、事業の種類なんてのは、あまり関係ない。経理の仕事なんて、どの会社でも似たようなもので、まあ、多少、業種の違いによって扱う勘定科目の種類が違ってたりするが、やることの基本は同じ。ただ、新しい会社だと、独自のシステムを構築していなかったりするから、そうすると市販の経理ソフトで済ますわけで、その点、データの管理とか不安はあるが、まあ、慣れだろう。
経理の社員は、今までは一人だったそうで、俺が入ってきた事で、大分、喜んでいた。喜ばれても、自分としては困るんだけどね。本心は働きたくないわけだから。あと、女性も一人、派遣で雇う予定だと言っていた。
昨晩の夢では、出陣の日が決まった。早ければ早いほど、いいということで、早川の準備の都合もあってあさっての暁という事になった。三刻(六時間)くらいで三崎に到着するから、巳の刻(午前九時から十一時までの二時間)くらいに三崎に着くだろうと言っていた。相手も卯の刻くらいには気づくだろうが、それからでは兵を集めても間に合わないだろうから、我々は易々と三崎の館を包囲できるだろうと。
そういや、今日は珍しく雪姫が出てきた。しおらしく菓子を盛った高坏などを持ってきたが、話す話題もないので、終始、無言のまま。気詰まりなので、俺は、部屋を出て庭に降り立った。長秀丸が現れて、傍らに控えるので、俺は、長秀丸を伴って、館を出て、馬で近くの野へ。そこで、しばらく、休んだ。長秀丸を呼んで、しばらく、雑談。彼は、もともと、公領で耕作をしていた下人の息子だが、私出挙(領主が農民に稲を借すこと)の利稲(貸された稲の利子分の稲)が返せなくなって土地を没収された。ところが、武芸に才のあった彼は、従者として取り立てられて望地の若君の元に仕えるようになったと言っていた。幸い、望地の若君は、賢明な方なので、私の扱いも悪くないし、婿殿の配下に移されたのも、私としては、名誉な事であると。だから、婿殿のことは、命に替えても守るし、合戦の際には先陣をぜひ任せてほしいと。
長秀丸の話を聞いているうちに、何か、こう、感激といっては大袈裟かも知れないが、心動かされるものがあったのは事実だ。主従関係というのも悪くないなと思えた。従者にも従者の事情というのもあるだろうが、それは置いておいても、自分のために命を張ると言われて悪い気がするわけない。この男は大切に扱わないと行けないと思ったのも事実だ。こういう経験は、現代では、そうそう体験できないだろうな。現代で「命に替えても守る」なんて言われても、それは口だけのことだというのは分かり切ったことだが、この時代では、本当に命を張る状況が普通にあるわけなのだから。
この時代も悪くないかもしれないと感じた。
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