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恋に落ちた日
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俺が先輩のことを慕うようになったのは……そう、忘れもしない、桜舞い散る入学式の日のことだった。
慣れない電車通学、複雑に入り組んだ駅のホームで迷子になり、入学式に遅刻しそうになっていた俺を駅で救ってくれたのが、遥先輩だったのだ。
『ーー君、新入生でしょ? ここの乗り換え間違える子毎年数人出るんだよね。僕が案内するから、一緒においで』
そう言って優しく導いてくれた遥先輩の微笑みが、俺の胸を勢いよく射抜いた。
たったそれだけのことで?と思われるかもしれない。でも、切羽詰まって冷や汗が止まらず、頭の中が真っ白になっていたあの時の俺にとって、先輩は間違いなく救世主だった。
『……先輩は、部活とか委員会とか……どこに入ってるんですか』
『部活は合唱部、委員会は保健委員会に入ってるよ。興味ある? 夕陽君真面目でいい子そうだから、来てくれたら嬉しいな~なんて』
学校に向かうまでの道中、俺がそう尋ねると、先輩はのんびりとした声音でそう答えてくれた。
社交辞令だって、分かっていた。
でも俺は、先輩のそんな言葉にときめいてしまって、気がつけば入学式後のホームルームで保健委員会に立候補していた。
合唱部はかなり迷ったが、自分の壊滅的な音痴を晒して、先輩に幻滅されたら……と思うと耐えられなくて、結局断念した。
『夕陽君、今週の保健だよりの当番だよね。作り方わかる? 僕と一緒にやろうか』
先輩はとにかく面倒見が良くて、人望も厚く、俺含む新入生の保健委員を甲斐甲斐しく世話して導いてくれた。
こんなの、好きにならないはずがないだろう。
先輩は教員たちからの信頼も厚く、成績も優秀。なにしろ見た目もいいので、それはもう尋常じゃないほどモテた。
可愛い女子から毎日のようにアプローチをかけられる先輩を遠くから眺めては、俺は勝手に失恋したような気分になって、悶々とした日々を過ごしてきた。
男で、地味で、真面目だけが取り柄の俺では……「後輩」というポジションに収まっているのが、精一杯だった。
慣れない電車通学、複雑に入り組んだ駅のホームで迷子になり、入学式に遅刻しそうになっていた俺を駅で救ってくれたのが、遥先輩だったのだ。
『ーー君、新入生でしょ? ここの乗り換え間違える子毎年数人出るんだよね。僕が案内するから、一緒においで』
そう言って優しく導いてくれた遥先輩の微笑みが、俺の胸を勢いよく射抜いた。
たったそれだけのことで?と思われるかもしれない。でも、切羽詰まって冷や汗が止まらず、頭の中が真っ白になっていたあの時の俺にとって、先輩は間違いなく救世主だった。
『……先輩は、部活とか委員会とか……どこに入ってるんですか』
『部活は合唱部、委員会は保健委員会に入ってるよ。興味ある? 夕陽君真面目でいい子そうだから、来てくれたら嬉しいな~なんて』
学校に向かうまでの道中、俺がそう尋ねると、先輩はのんびりとした声音でそう答えてくれた。
社交辞令だって、分かっていた。
でも俺は、先輩のそんな言葉にときめいてしまって、気がつけば入学式後のホームルームで保健委員会に立候補していた。
合唱部はかなり迷ったが、自分の壊滅的な音痴を晒して、先輩に幻滅されたら……と思うと耐えられなくて、結局断念した。
『夕陽君、今週の保健だよりの当番だよね。作り方わかる? 僕と一緒にやろうか』
先輩はとにかく面倒見が良くて、人望も厚く、俺含む新入生の保健委員を甲斐甲斐しく世話して導いてくれた。
こんなの、好きにならないはずがないだろう。
先輩は教員たちからの信頼も厚く、成績も優秀。なにしろ見た目もいいので、それはもう尋常じゃないほどモテた。
可愛い女子から毎日のようにアプローチをかけられる先輩を遠くから眺めては、俺は勝手に失恋したような気分になって、悶々とした日々を過ごしてきた。
男で、地味で、真面目だけが取り柄の俺では……「後輩」というポジションに収まっているのが、精一杯だった。
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