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一つ屋根の下
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衝撃の顔合わせから、新しい生活が始まるまでは、本当にあっという間だった。
俺と母さんは高山家の一軒家に引っ越すことになり、俺は先輩と壁一つ挟んだ隣の部屋で寝泊まりすることになったのだ。
「夕陽く~ん、荷解き終わった? 僕が手伝うことあるかな?」
俺の部屋のドアを開け、ひょっこりと顔を覗かせる先輩。ああ、なんて愛おしい。
俺が引っ越してきてからというもの、先輩はひどくご機嫌だった。
これが先輩の家でのテンションなのかとも思ったが、本人曰く「ずっと弟が欲しかったから夕陽君が来てくれて嬉しいのだ」とのことらしい。
「あとは本棚の片付けだけなんで、大丈夫ですよ。先輩に手伝ってもらうの申し訳ないし」
俺がダンボールから参考書を取り出しながら答えるのに、遥先輩は俺の学習机の椅子に腰掛け、やや拗ねたように頬杖をつく。
ああ、可愛い。学校で見せる優等生の顔も好きだったけど、家でリラックスした状態で見せる表情も好きだ。
つまるところ先輩が大好きで堪らないのだ。
「夕陽君、もう家族になったんだから敬語はナシだよ。先輩、じゃなくてお兄ちゃんって呼んで欲しいな?」
先輩の言に、心臓がドクンと音を立てて、俺はついぐっと言葉を詰まらせた。
「う……ご、ごめんなさ……じゃなくて、ごめん。今までずっと敬語だったから、慣れなくて」
ーー何より、先輩を“兄”として呼ぶのに、どうしても抵抗があった。
先輩のことを恋愛的な気持ちで好きなのに、兄と弟という関係性を示す呼称で彼を呼ぶのは。
眉を下げて困った顔をする俺に、先輩はハッと顔を曇らせ、慌てて椅子から立ち上がる。
「あぁっと、ごめん、強引すぎたよね。僕も無理強いする気はないんだ。夕陽君のペースでちょっとずつ慣れていけばいいよ」
無神経だったよね、本当にごめんねとしょんぼりしながら言う先輩に、俺は胸の奥がズキンと痛んだ。
先輩は何も悪くない。新しく増えた家族として仲良くなろうとしてくれているだけなのだ。
(あんまりギクシャクし続けたら、母さんに心配される……母さんが責任を感じて、この結婚が間違いだったみたいに思わせてしまうのは嫌だ)
塾の時間だから行くね、と言って部屋から出ていく先輩。俺は、一人残された部屋でうずくまり、頭を抱えるのだった。
俺と母さんは高山家の一軒家に引っ越すことになり、俺は先輩と壁一つ挟んだ隣の部屋で寝泊まりすることになったのだ。
「夕陽く~ん、荷解き終わった? 僕が手伝うことあるかな?」
俺の部屋のドアを開け、ひょっこりと顔を覗かせる先輩。ああ、なんて愛おしい。
俺が引っ越してきてからというもの、先輩はひどくご機嫌だった。
これが先輩の家でのテンションなのかとも思ったが、本人曰く「ずっと弟が欲しかったから夕陽君が来てくれて嬉しいのだ」とのことらしい。
「あとは本棚の片付けだけなんで、大丈夫ですよ。先輩に手伝ってもらうの申し訳ないし」
俺がダンボールから参考書を取り出しながら答えるのに、遥先輩は俺の学習机の椅子に腰掛け、やや拗ねたように頬杖をつく。
ああ、可愛い。学校で見せる優等生の顔も好きだったけど、家でリラックスした状態で見せる表情も好きだ。
つまるところ先輩が大好きで堪らないのだ。
「夕陽君、もう家族になったんだから敬語はナシだよ。先輩、じゃなくてお兄ちゃんって呼んで欲しいな?」
先輩の言に、心臓がドクンと音を立てて、俺はついぐっと言葉を詰まらせた。
「う……ご、ごめんなさ……じゃなくて、ごめん。今までずっと敬語だったから、慣れなくて」
ーー何より、先輩を“兄”として呼ぶのに、どうしても抵抗があった。
先輩のことを恋愛的な気持ちで好きなのに、兄と弟という関係性を示す呼称で彼を呼ぶのは。
眉を下げて困った顔をする俺に、先輩はハッと顔を曇らせ、慌てて椅子から立ち上がる。
「あぁっと、ごめん、強引すぎたよね。僕も無理強いする気はないんだ。夕陽君のペースでちょっとずつ慣れていけばいいよ」
無神経だったよね、本当にごめんねとしょんぼりしながら言う先輩に、俺は胸の奥がズキンと痛んだ。
先輩は何も悪くない。新しく増えた家族として仲良くなろうとしてくれているだけなのだ。
(あんまりギクシャクし続けたら、母さんに心配される……母さんが責任を感じて、この結婚が間違いだったみたいに思わせてしまうのは嫌だ)
塾の時間だから行くね、と言って部屋から出ていく先輩。俺は、一人残された部屋でうずくまり、頭を抱えるのだった。
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