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第二章

46.レインの叫び

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館に戻り、食後にゆっくりと味わえなかったコーヒーを嗜む。
「処刑までの間、俺は焔に戻って、第一を手伝うわ」
帰りに見た焔の現状。
田畑は耕され、早くも作物は実を付け、収穫間近の物まであった。
それを焔の人々が収穫し、喜ぶ顔を見たいのだ。
「では、私もご一緒します、団長。私でも手伝える事はあると思いますから」
「ええ、兄様の言うとおりです。私も「レイは残って修行!」
レイの修行は時間がかかる。
いざレイの力が必要なときに使えないようじゃ、意味が無い。
「この後、お前の身体から一旦加護を抜く。早ければ数日で全て綺麗に抜けきるだろが、今のお前だと早くても2週間はかかるだろう」
「えっ?そんなに・・・・・・」
「ああ、だが、耐えれば『質』の良い加護を手に入れられる。ま、どんな加護かはまだわからないが」
「ただ、今よりも強い加護を得られるということですよね?」
「そうだ。一度、加護を身につけていたから拒絶されることなくすぐに馴染むだろう。ま、『レイフォード』だから絶対に凄い加護を授かると思うぞ」
「??私だからですか?」
「ああ、『お前だから』だ」
レイの膝をポンポンと優しく叩くと、レイの手が俺のを包む。
「温かい・・・・・・・スイ団長がそうおっしゃられるのでしたら、そうなのでしょう。頑張ります」
「ああ、だからアルはレイの加護をあてにするなよ?」
「ぐっ!!」
「身体を繋げるのもなしな。アルの力が流れ込んでしまったら、台無しだからな」
「「っ!!!!!スイ!!」」
顔を真っ赤にして俺に詰め寄る二人から逃げると、
「レイン、明日朝一で発つぞ。準備をしておけ」
「はっ!」
「俺も酒とか酒とか酒とか、用意しておくから」

「酒しかないじゃないですかっ!!!」

そんなレインの叫びを聞き流して、俺は自室に戻ると、まだ猫の親子が居座っていたのだ。
「今日は一緒に寝るか?」
「にゃ~~~~~」
と、何とも可愛らしい欠伸とともに声を聞かせてくれた。
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