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社交シーズンの到来
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ランズ王国に社交シーズンの到来である。
初めの舞台は、王宮で盛大に執り行われる夜会だ。
クラリスにとっては王太子妃となって初めての夜会であり、さらにこの日はシーズン初めということでデビュタントも兼ねている。
朝から慌ただしく準備に追われるクラリスの姿があった。
…面倒な季節が来たわね。
クラリスは元来、夜会が苦手である。
上辺だけの会話、相手の腹を探る視線、媚びと駆け引きの入り混じるこの場。
多くの令嬢にとっては、夜会は出会いの場でもある。
色とりどりのドレス、油絵のように厚塗りされたメイク、そしてそれぞれのお好みの香水。
単体では香しい香りも、数多く混ざり合えば鼻をつくほど複雑な匂いとなる。
憂鬱な気持ちを抱えながら、クラリスは鏡の前に座り、完璧な王太子妃として仕上げられていく自分を静かに眺めていた。
「妃殿下、お時間です」
迎えに来たのは、まさかのテオドールだった。
…?なんで?
クラリスの心を読むことに長けたテオドールは、静かに説明した。
「フィリップスは妹君がデビュタントを迎えますので、本日はそのエスコートでお休みとなります」
…なるほど。
「それはおめでたいわね」
クラリスはぎこちなく笑顔を作り、テオドールを見つめる。
いつもと変わらぬ冷静な彼に導かれ、二人は静かに歩き出した。
「テオドール、ごめんなさい」
驚いた顔でクラリスを見る彼に、クラリスはさらに言葉を重ねる。
「貴方をバカにしたのに、私を助けてくれたのね」
テオドールは少し戸惑いながらも静かに答える。
「仕事ですから」
「でも、あの状況なら貴方が助けなくても咎められることは無かったはずよ。私が勝手に路地に入ったのだから…。
私ね、テオドールに意地悪したの。王太子妃がスラム街の路地裏に入るなんて有り得ないでしょう?
貴方がいなくても平気、って思い上がってたのね。私のワガママで貴方を危険な目に合わせてしまった。本当にごめんなさい」
テオドールは小さく息を吐く。
「そんな過ぎたことはもうよろしいです。さぁ、貴方の初めて迎えるランズ王国での社交シーズンです。楽しんでください」
そう言うと、彼は静かにクラリスの手をフリードリヒに引き渡す。
「ありがとう」
クラリスは振り返りテオドールに再度頭を下げ、微笑んだ。
「なに?仲直りかな?」
安定のフリードリヒの言葉に、クラリスは小さくため息をつき、彼の腕に手を回した。
二人が席につくと、国王と王妃が中央の席に着き、それを合図するかのようにファンファーレが鳴り響く。
両開きの大扉が開かれ、デビューを迎える令嬢たちが、華やかなエスコートに導かれて入場してきた。
クラリスは、まだ毒牙にかけられていないピュアな令嬢たちに、心からのお祝いの笑顔を送る。
側近のフィリップスを見つけると、手を振って笑顔を返した。
出会って間もない存在ではあるが、クラリスにとってフィリップスはランズ王国での身内のようなものだ。
楽しそうに見守るクラリスは、まるでデビュタントを迎える少女のように、純白のオーラを纏っていた。
初めの舞台は、王宮で盛大に執り行われる夜会だ。
クラリスにとっては王太子妃となって初めての夜会であり、さらにこの日はシーズン初めということでデビュタントも兼ねている。
朝から慌ただしく準備に追われるクラリスの姿があった。
…面倒な季節が来たわね。
クラリスは元来、夜会が苦手である。
上辺だけの会話、相手の腹を探る視線、媚びと駆け引きの入り混じるこの場。
多くの令嬢にとっては、夜会は出会いの場でもある。
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「フィリップスは妹君がデビュタントを迎えますので、本日はそのエスコートでお休みとなります」
…なるほど。
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「テオドール、ごめんなさい」
驚いた顔でクラリスを見る彼に、クラリスはさらに言葉を重ねる。
「貴方をバカにしたのに、私を助けてくれたのね」
テオドールは少し戸惑いながらも静かに答える。
「仕事ですから」
「でも、あの状況なら貴方が助けなくても咎められることは無かったはずよ。私が勝手に路地に入ったのだから…。
私ね、テオドールに意地悪したの。王太子妃がスラム街の路地裏に入るなんて有り得ないでしょう?
貴方がいなくても平気、って思い上がってたのね。私のワガママで貴方を危険な目に合わせてしまった。本当にごめんなさい」
テオドールは小さく息を吐く。
「そんな過ぎたことはもうよろしいです。さぁ、貴方の初めて迎えるランズ王国での社交シーズンです。楽しんでください」
そう言うと、彼は静かにクラリスの手をフリードリヒに引き渡す。
「ありがとう」
クラリスは振り返りテオドールに再度頭を下げ、微笑んだ。
「なに?仲直りかな?」
安定のフリードリヒの言葉に、クラリスは小さくため息をつき、彼の腕に手を回した。
二人が席につくと、国王と王妃が中央の席に着き、それを合図するかのようにファンファーレが鳴り響く。
両開きの大扉が開かれ、デビューを迎える令嬢たちが、華やかなエスコートに導かれて入場してきた。
クラリスは、まだ毒牙にかけられていないピュアな令嬢たちに、心からのお祝いの笑顔を送る。
側近のフィリップスを見つけると、手を振って笑顔を返した。
出会って間もない存在ではあるが、クラリスにとってフィリップスはランズ王国での身内のようなものだ。
楽しそうに見守るクラリスは、まるでデビュタントを迎える少女のように、純白のオーラを纏っていた。
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