王太子妃クラリスと王子たちの絆【完】

mako

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王太子妃クラリスとフリードリヒの静かな夜

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先程までの緊迫感とは打って変わり、王宮の夜は穏やかであった。

テオドールは王太子宮の主のように中央のソファを陣取り、ゆったりと腰を下ろしている。

『にしても、今日の王妃は恐ろしかったなぁ』
『ってかフィリップス、お前はいつから王妃に飼いならされてんだ?』

フィリップスは安定の微笑みを浮かべ、軽やかに答えた。

『別に飼いならされてはいないよ?あれは取引さ』

クラリスは眉をひそめる。

『取引ってお前、本当見境がないな。知ってるんだぜ?あのリザって子にも手を出してたろ?』

フィリップスは笑い飛ばす。

『アハハハ、勘弁してくれよ。あんな子どもには興味ないって。ただ、刷り込みをしただけさ。変なこと言わないでくれるかな、なぁフリード』

フリードリヒは笑顔で頷く。

『刷り込みって何だよ』
『ここに住めなくなる不安を与えたんだ。そしたら必死になるだろ?国民の血税を偽王族のために無駄にはできないからね』

さらに補足するフィリップス。

『あの女、ここでどれだけ浪費したと思う?毎日毎日贅沢三昧さ。妃殿下の3倍は下らない』

『『3倍!』』

クラリスとテオドールの声が重なり、思わず笑いが漏れる。

しばらく下らない話で疲れを癒やすと、フリードリヒはクラリスの手を取り私室へ向かう。
テオドールとフィリップスも重い腰を上げ、静かに帰路についた。

『さぁ、今夜は早く休もう。疲れたね』

フリードリヒはクラリスの手を引き、ベッドに座らせる。おでこにそっとおやすみのキスを落とし、静かに横になる。

クラリスも目を閉じるが、心はまだ落ち着かない。

『殿下…もうおやすみになられました?』

フリードリヒは目を閉じたまま答える。

『うん?どうした?』

『…堕胎薬って、私が飲まされていたってことですよね…』

クラリスはか細く呟く。
フリードリヒは目を見開き、微かに震える小さな背中を抱きしめた。

『すまない。君に黙っているつもりはなかった。ただ、話すのが辛くて…こんな形で知ることになってしまい、申し訳ない』

クラリスは小さく寝返り、顔を上げる。

『赤ちゃんが…死んでしまったのですか?』

フリードリヒは首を振る。

『いや、妊娠しないようにする薬だそうだ』

『良かった…』

幼子のように安堵したクラリスの表情を、フリードリヒは胸に抱き込むように見つめた。

『…君が無事で、本当に良かった』

クラリスはその手の温もりに、少しずつ心を解きほぐされていく。その安堵の表情が不謹慎にもフリードリヒを熱くした。

『ヤバい…』

クラリスは驚いたように起き上がると

『どうされました?』

フリードリヒは苦笑いを浮かべ申し訳なさそうにクラリスの手を己の熱くなったものに導いた。

『どうしたらいい?』

クラリスは戸惑いながらも

『ど、どうしましょう…』

フリードリヒは器用にもそっとクラリスを組み敷くと苦笑いを浮かべた。

『我々には責務があるからね』

2人の甘い夜の始まりであった。





翌朝、クラリスはそっとお腹に手を当てる。

『早く会いたいな…私たちの赤ちゃん』

フリードリヒは眠そうに目を擦りつつも、優しく微笑む。

『私たちの子だろう?』

…幸せって、こういうことなのだろうか。

クラリスは眠気眼のフリードリヒにそっとキスを落とし、二人は静かに未来を想いながら、互いに寄り添ったまま朝を迎えた。

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