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夜会前夜の作戦会議
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『まだ内定の段階ですが、エリザベス王女と帝国第3皇子ハビエル様の婚約が後ろ盾のようでございます』
アンドラの報告を受けたヨハネスは、納得した様子でクラリスを見た。
『なるほどね。だからあんなに強気だったというわけか』
黙りこくるクラリスに代わり、テオドールが口を開く。
『相変わらず頭が空っぽか?大方、帝国は今にも勃発する争いを見越して我が国を取り込もうとしているというのに、その婚約者となる王女が足を引っ張るとはな』
現在、帝国と隣接する大王国2国が勢力を拡大するいわゆる三つ巴。ランズ王国を従属国にしたい帝国が、王子誕生の祝いにかこつけて来訪したのは明らかだ。
『これで明らかだよな。その三つ巴で帝国は劣勢だということを、自ら示しているようなものだ。大王国はこの期に及んでジタバタしていないのだから』
フリードリヒはニヤリと笑ったが、隣のクラリスは沈黙したまま。
そう、クラリスは怒っていた。珍しく、はっきりと怒りを顕にするクラリスに、テオドールも驚きを隠せない。
クラリスは敢えて挑発したのだ。後ろ盾をあぶり出すために。想定通りの帝国皇子の婚約者――同じ王女として生まれたエリザベス。国のためにあの寝ぼけたようなハビエルに嫁ぐのは仕方がない。しかしその先、地位だけを頼りにランズ王国に足を踏み入れ、アルフレッドに謝罪もせず振る舞う。
…舐めてもらっては困るわ
クラリスは頭を高速で回転させる。
『持たせたね~!』
ウィリアム可愛さに暇を見つけては、遥々ランズ王国までやってくるリントン王国王太子、ミハエル――クラリスの兄である。
こちらも慣れたもので、ミハエルが来ても特段驚くことはない。
ミハエルは重い空気を感じ取ると、テオドールを手招きし、声を落として尋ねる。
『何故に、私の妹はあんなにご立腹なのだ?』
テオドールは驚いた。
『何故分かるのですか?』
『分からない訳ないだろう?通常ならば、毎度ここへ来る度に許可証を出せと煩いではないか』
…一応許可証が要ることは分かってるか。
『お持ちなのですか?』
ミハエルは平然と答える。
『そんなもの持っている訳ないだろう?』
…そんな物ってね…あんた仮にも他国の王太子だぜ?
テオドールは仕方なく事の経緯を説明すると、ミハエルは頷き、ソファに腰を下ろして優雅に足を組んだ。
『それはもう仕方ないよ』
『仕方ないとは?』
テオドールが前のめりになると、ミハエルは笑った。
『爆発させる他ないだろ?でなきゃフリードリヒ殿が大変だ』
クラリスの横に並ぶフリードリヒは驚きの表情を浮かべる。
…なんで俺?
ミハエルは嬉しそうに言った。
『だって、溜め込みすぎたらいつか爆発するだろ?そりゃ確率的にフリードリヒ殿に直撃するのが高いんじゃないか?』
フリードリヒは瞬きを繰り返し、隣のクラリスを恐る恐る見る。するとクラリスはいきなり立ち上がり、姿勢を正した。
『殿下』
『はい』
フリードリヒに微笑みながら、クラリスは言う。
『最終日の夜会の衣装を変更したいのですが』
…?
『そ、そうか。別に構わないけど、今から新しく誂えるには時間が足りないよ?』
クラリスはニヤリと笑う。
『大丈夫ですわ。お兄様がいらっしゃるということは、袖を通していない衣装を沢山お持ちのはずですもの。見た所、殿下とお兄様ならサイズもほぼ同じでしょう。日頃の誂えたものより着心地では劣るかもしれませんが』
フリードリヒは考え込む。
『それは大丈夫だけど…』
ミハエルの様子をうかがうと、ミハエルは驚いた顔でクラリスを見る。
…おいおい、そんな勝手に
クラリスは笑顔で言った。
『毎度、自国のように出入りされているリントン王太子様ですから、家族も同然。家族の窮地、拒まれるはずありませんわ』
…窮地ってね
ミハエルはため息をつき、言う。
『分かったよ。どれでも好きなのを選べばいい』
フリードリヒはフィリップスに頷く。
『では、お言葉に甘えて、こちらで買い取りさせて頂きます。請求書だけお願いします』
ミハエルはクラリスに視線を向ける。
『ウィリアムの誕生の祝いもまだだったし、それについては構わないよ』
リントン王国王太子としての威厳を示すミハエルに、クラリスは応じる。
『お兄様、それとこれとは違いますわ。お祝いはしっかり頂きます。でも今回はお言葉に甘えさせて頂きます』
…いつからこんなにがめつくなったの?
ミハエルは顔をしかめ、テオドールを見る。テオドールは苦笑するしかなかった。
…知らねえよ。あんたの妹だもんね
クラリスは早速、衣装選定に取り掛かるべく、急いで執務室を後にした。
アンドラの報告を受けたヨハネスは、納得した様子でクラリスを見た。
『なるほどね。だからあんなに強気だったというわけか』
黙りこくるクラリスに代わり、テオドールが口を開く。
『相変わらず頭が空っぽか?大方、帝国は今にも勃発する争いを見越して我が国を取り込もうとしているというのに、その婚約者となる王女が足を引っ張るとはな』
現在、帝国と隣接する大王国2国が勢力を拡大するいわゆる三つ巴。ランズ王国を従属国にしたい帝国が、王子誕生の祝いにかこつけて来訪したのは明らかだ。
『これで明らかだよな。その三つ巴で帝国は劣勢だということを、自ら示しているようなものだ。大王国はこの期に及んでジタバタしていないのだから』
フリードリヒはニヤリと笑ったが、隣のクラリスは沈黙したまま。
そう、クラリスは怒っていた。珍しく、はっきりと怒りを顕にするクラリスに、テオドールも驚きを隠せない。
クラリスは敢えて挑発したのだ。後ろ盾をあぶり出すために。想定通りの帝国皇子の婚約者――同じ王女として生まれたエリザベス。国のためにあの寝ぼけたようなハビエルに嫁ぐのは仕方がない。しかしその先、地位だけを頼りにランズ王国に足を踏み入れ、アルフレッドに謝罪もせず振る舞う。
…舐めてもらっては困るわ
クラリスは頭を高速で回転させる。
『持たせたね~!』
ウィリアム可愛さに暇を見つけては、遥々ランズ王国までやってくるリントン王国王太子、ミハエル――クラリスの兄である。
こちらも慣れたもので、ミハエルが来ても特段驚くことはない。
ミハエルは重い空気を感じ取ると、テオドールを手招きし、声を落として尋ねる。
『何故に、私の妹はあんなにご立腹なのだ?』
テオドールは驚いた。
『何故分かるのですか?』
『分からない訳ないだろう?通常ならば、毎度ここへ来る度に許可証を出せと煩いではないか』
…一応許可証が要ることは分かってるか。
『お持ちなのですか?』
ミハエルは平然と答える。
『そんなもの持っている訳ないだろう?』
…そんな物ってね…あんた仮にも他国の王太子だぜ?
テオドールは仕方なく事の経緯を説明すると、ミハエルは頷き、ソファに腰を下ろして優雅に足を組んだ。
『それはもう仕方ないよ』
『仕方ないとは?』
テオドールが前のめりになると、ミハエルは笑った。
『爆発させる他ないだろ?でなきゃフリードリヒ殿が大変だ』
クラリスの横に並ぶフリードリヒは驚きの表情を浮かべる。
…なんで俺?
ミハエルは嬉しそうに言った。
『だって、溜め込みすぎたらいつか爆発するだろ?そりゃ確率的にフリードリヒ殿に直撃するのが高いんじゃないか?』
フリードリヒは瞬きを繰り返し、隣のクラリスを恐る恐る見る。するとクラリスはいきなり立ち上がり、姿勢を正した。
『殿下』
『はい』
フリードリヒに微笑みながら、クラリスは言う。
『最終日の夜会の衣装を変更したいのですが』
…?
『そ、そうか。別に構わないけど、今から新しく誂えるには時間が足りないよ?』
クラリスはニヤリと笑う。
『大丈夫ですわ。お兄様がいらっしゃるということは、袖を通していない衣装を沢山お持ちのはずですもの。見た所、殿下とお兄様ならサイズもほぼ同じでしょう。日頃の誂えたものより着心地では劣るかもしれませんが』
フリードリヒは考え込む。
『それは大丈夫だけど…』
ミハエルの様子をうかがうと、ミハエルは驚いた顔でクラリスを見る。
…おいおい、そんな勝手に
クラリスは笑顔で言った。
『毎度、自国のように出入りされているリントン王太子様ですから、家族も同然。家族の窮地、拒まれるはずありませんわ』
…窮地ってね
ミハエルはため息をつき、言う。
『分かったよ。どれでも好きなのを選べばいい』
フリードリヒはフィリップスに頷く。
『では、お言葉に甘えて、こちらで買い取りさせて頂きます。請求書だけお願いします』
ミハエルはクラリスに視線を向ける。
『ウィリアムの誕生の祝いもまだだったし、それについては構わないよ』
リントン王国王太子としての威厳を示すミハエルに、クラリスは応じる。
『お兄様、それとこれとは違いますわ。お祝いはしっかり頂きます。でも今回はお言葉に甘えさせて頂きます』
…いつからこんなにがめつくなったの?
ミハエルは顔をしかめ、テオドールを見る。テオドールは苦笑するしかなかった。
…知らねえよ。あんたの妹だもんね
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