絶世の悪女と呼ばれる公爵令嬢【完】

mako

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決着の時4

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翌日、バルトス王国から国王と王太子が揃ってリア王国王宮で頭を垂れていた。

国王と王太子が同時に国を空ける事は本来あってはならない。が、しかし国の存続が掛かっている。


捕らえられているマリアは助け舟に安堵したのか辺りをぐるりと見渡していた。



『この度は誠に…』



国王の言葉を遮るように


『それ2度目だよ。貴方は我が国で同じ様に頭を垂れた。私は父が頭を下げる所を見た事がない。だからそれはとても深いものだと思っていたけど、貴方の頭はずいぶんと軽いんですね?』


ヨハネスの言葉に国王は唇を噛み締めた。その父の姿を見たマリアは苦しそうに


『不敬だわ。王族に向って!』


『ヨハネス殿下もまた王族だけどね?』


ジルベルトは辟易としながらマリアを制した。


『単刀直入に言う。王族印の模倣はどの国でも極刑だ。バルトスでは?』



『…極刑です。』


マリアの兄であるサイモンが答えた。


『バルトス王、こんな事が知れ渡れば、バルトスは大陸で王国として建ってゆくのは難しいだろう。』



バルトス国王は覚悟をしていたのか、静かに頷いた。

『お父様!』


マリアは思わず声を上げたが誰も耳を貸す者は居ない。



『我が国がバルトスを統治する事になるか…』


ジルベルトが躊躇するとすかさずヨハネスは


『王女を切るか。』





マリアは驚き目を見開き、国王も同じく目を見開いている。


『切るって別に首を切るわけじゃないよ?バルトス王国の王族からの追放。リア王国かマドリン王国の平民として生きていくのさ。修道院に入って心を悔い改めるのだ。』

ヨハネスから笑顔は消え、国王を凝視する。





『王女の追放でお願いしたい。』


口を開くはバルトス王国王太子、サイモンであった。

『ちょっと!お兄様、妹を売るおつもり?それにお兄様が勝手に決めて言い訳ないでしょう?』


サイモンはマリアを見る事もなく


『我らが守るべきはバルトス王国の民でございます。王族の不祥事で我が国を無くす事を思えば致し方ない事。』


国王は隣で放心している。


『お父様!何とか言って下さいまし!』



ジルベルトは大きくため息を付くと


『何とか言えないのは君のせいであろう?1度ならまだしも2度までも。責任を持つという条件で放免されたはずがこれだ。国王でなくても言葉は出ないよ…』


『だって模倣印が重罪だなんて知らなかったもの!』


『バルトス王国でも重罪なのだ。それを知らないなんて通らない。』

ジルベルトはもはやお手上げである。


キャンキャン吠えるマリアにエミリアは不思議そうに


『マリア様、貴女はどの程度の罪ならば許容だと思っていらっしゃるのかしら?』


マリアはエミリアを睨みつけると


『偉そうに…高々公爵令嬢上がりが…』 


その言葉にリア王国護衛騎士らが一斉に反応するもエミリアはそれを制した。


『はい、私はマドリン王国公爵令嬢でしたわ。生まれながらの王族ではありませんが、王族印の模倣など有り得ない…考えたことも無かったですし、そんな事小説の中だけのミステリーかと思ってましたわよ?』



『…。』



『それにマリア様。貴女はニコル様の生命をどうお考えでしたの?あのままでしたらニコル様の生命は危ぶまれましたわよ?その上でお伺いしたいのです。バルトス王国王女の貴女ならどの罰を与えますか?』



『…。噂通りの冷たい女ね。流石絶世の悪女だわ。貴方の育った公爵家の生い立ちは知ってるわ。家族バラバラの個人主義よね?だからかしら、そんな残酷な事を言えるのは。』



エミリアもまたジルベルトと同じようにお手上げであった。


『バルトス国王、よろしいですね?』


ジルベルトは国王を凝視すると

『王女の追放でお願いしたい…マリアを頼みます。』


ジルベルトは黙って頷いた。



『お父様!どうして?お父様!』


『黙りなさい!貴女にはわからないかしら?

貴女なんかよりも国王は今、身が引きちぎられる思いをなさっておられるわ。

王太子殿下に至っては貴女の顔も見れない程、心を痛めておられる。

お二人の想いは貴女に伝わらないかしら?』


マグヌスは久々に見た妹の絶世の悪女と呼ばれて居た頃の表情を懐かしそうに眺めていた。


マリアは恐る恐る国王と王太子を見ると2人は苦しそうに瞳いっぱいに涙を溜めて小さく微笑んでいた。



…。


マリアは今まで王女として生きてきた日常を走馬燈の如く浮かべていると、自然に涙が流れて止まらなかった。








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