26 / 70
目まぐるしく変化を遂げる王国
しおりを挟む
王宮と公爵邸を行き来するだけのアナベルには知る由もない社交界の渦がようやくアナベルの下までやってきた。
アナベルは珍しく公爵邸の執務室に籠もる父親であるショーンと兄のユリウスに呼ばれソファに腰を下ろした。重い空気を感じながら2人を見るとショーンは口を開いた。
『帝国皇太子が亡くなられた。』
流石のアナベルでも帝国の組織図は分かる。
皇太子には幼い弟が居るだけで後は継承権を持つ者は限られている。
『皇帝陛下はどうなさるのでしょうかね…』
当たり障りのない言葉にショーンは
『お前も知っての通り皇太子の次の後継者はまだ幼い。そうなると外戚関係から目星を付けて養子縁組となるだろうな。』
『なるほど…。それはまた多くなりすぎて混乱しそうですが。』
ショーンは頷きながらも
『だからこそ、こうゆう時こそ、血が優先されるのだ。』
『血?外戚関係ならば血は問題なさそうですが?』
アナベルの問に隣のユリウスが首を横に振りながら答える。
『そうではなく、より高貴な血を求められるのだよ。』
『高貴?』
頭を悩ませるアナベルを待つことなくショーンは
『我が国第3王子ミハエル殿下は亡くなられた皇太子とは従兄弟となる。そして今は我がトゥモルデン王国の王子だ。即ち帝国の血を待ちながら王家の人間だ。これに勝る者は無いだろうな。』
!
アナベルは驚いたように目を見開くとショーンの次の言葉を待った。
『ミハエル殿下に帝国から話しがあった。』
『帝国に入られるのですか?』
『それはまだ分からん。がしかしそうなるとどうなるかだ。』
『どうなるのですか?』
前のめりになるアナベルにユリウスは優しく丁寧に、説明を始めた。
『まず殿下が帝国に入られた場合、我が国はどうなる?』
『普通に考えて、誰もが急ぎ今のうちに第3王子妃の椅子に座らせようと動きますでしょうね。未来の皇后陛下ですもの。』
『それもあるね。他には?』
『王太子派は安泰ですが、帝国からの内政干渉から逃れる手立てを探るとか?』
『それも大事だね。でもミハエル殿下が帝国に行かせない動きもあるんだよ。』
『何故…?』
『第3王子派からしたら今まで担いで来た主が帝国に出て行けば、どうなる?まさか一緒に付いて行けるわけもなく。反主流派には未来が閉ざされる訳だ。』
『行かせないってそんな事が出来るのですか?』
『ミハエル殿下が立太子すれば行けないよね?』
アナベルばまたも目を見開くと
『立太子って!我が国には既に王太子はいらっしゃいますわ!』
『だから居なくなってもらうしかないよね?』
『お兄様!』
思わず声を上げるアナベルにショーンが制すると
『待て待て、ユリウスはあらゆる可能性を話しているだけだ。現にライド殿下の足を引っ張る動きも有るのは事実だ。その足を引っ張っているのはお前でもある。』
…?
アナベルは怪訝そうにショーンを見るとショーンは静かに頷くと葉巻を手に持ちトントンとデスクに打ち付けた。
『アナベルどうするつもりだ?』
…。
『我が公爵家の立ち位置は第3王子派だ。先ほどの話にもあったが本来ならばいち早くミハエル殿下の妃となるべく動くのが筋。』
アナベルは身体から血の気が引くのを感じた。己の人生を呪ってみても仕方がない。駒ならば駒なりにと覚悟を決めたあの日。でもそれはいつもライド殿下との覚悟であった。それがいつの間にか今度はミハエル殿下の妃となるべく動くのが公爵令嬢としての務めとなれば、いくらなんでもあんまりではないのか?アナベルのキャパは既に超えていた。
『父上、アナベルはまた頭が追いついてないようですのでこの辺で…』
ショーンが頷く様子をアナベルは視線の先に映しながらそのまま意識を手放した。
アナベルは珍しく公爵邸の執務室に籠もる父親であるショーンと兄のユリウスに呼ばれソファに腰を下ろした。重い空気を感じながら2人を見るとショーンは口を開いた。
『帝国皇太子が亡くなられた。』
流石のアナベルでも帝国の組織図は分かる。
皇太子には幼い弟が居るだけで後は継承権を持つ者は限られている。
『皇帝陛下はどうなさるのでしょうかね…』
当たり障りのない言葉にショーンは
『お前も知っての通り皇太子の次の後継者はまだ幼い。そうなると外戚関係から目星を付けて養子縁組となるだろうな。』
『なるほど…。それはまた多くなりすぎて混乱しそうですが。』
ショーンは頷きながらも
『だからこそ、こうゆう時こそ、血が優先されるのだ。』
『血?外戚関係ならば血は問題なさそうですが?』
アナベルの問に隣のユリウスが首を横に振りながら答える。
『そうではなく、より高貴な血を求められるのだよ。』
『高貴?』
頭を悩ませるアナベルを待つことなくショーンは
『我が国第3王子ミハエル殿下は亡くなられた皇太子とは従兄弟となる。そして今は我がトゥモルデン王国の王子だ。即ち帝国の血を待ちながら王家の人間だ。これに勝る者は無いだろうな。』
!
アナベルは驚いたように目を見開くとショーンの次の言葉を待った。
『ミハエル殿下に帝国から話しがあった。』
『帝国に入られるのですか?』
『それはまだ分からん。がしかしそうなるとどうなるかだ。』
『どうなるのですか?』
前のめりになるアナベルにユリウスは優しく丁寧に、説明を始めた。
『まず殿下が帝国に入られた場合、我が国はどうなる?』
『普通に考えて、誰もが急ぎ今のうちに第3王子妃の椅子に座らせようと動きますでしょうね。未来の皇后陛下ですもの。』
『それもあるね。他には?』
『王太子派は安泰ですが、帝国からの内政干渉から逃れる手立てを探るとか?』
『それも大事だね。でもミハエル殿下が帝国に行かせない動きもあるんだよ。』
『何故…?』
『第3王子派からしたら今まで担いで来た主が帝国に出て行けば、どうなる?まさか一緒に付いて行けるわけもなく。反主流派には未来が閉ざされる訳だ。』
『行かせないってそんな事が出来るのですか?』
『ミハエル殿下が立太子すれば行けないよね?』
アナベルばまたも目を見開くと
『立太子って!我が国には既に王太子はいらっしゃいますわ!』
『だから居なくなってもらうしかないよね?』
『お兄様!』
思わず声を上げるアナベルにショーンが制すると
『待て待て、ユリウスはあらゆる可能性を話しているだけだ。現にライド殿下の足を引っ張る動きも有るのは事実だ。その足を引っ張っているのはお前でもある。』
…?
アナベルは怪訝そうにショーンを見るとショーンは静かに頷くと葉巻を手に持ちトントンとデスクに打ち付けた。
『アナベルどうするつもりだ?』
…。
『我が公爵家の立ち位置は第3王子派だ。先ほどの話にもあったが本来ならばいち早くミハエル殿下の妃となるべく動くのが筋。』
アナベルは身体から血の気が引くのを感じた。己の人生を呪ってみても仕方がない。駒ならば駒なりにと覚悟を決めたあの日。でもそれはいつもライド殿下との覚悟であった。それがいつの間にか今度はミハエル殿下の妃となるべく動くのが公爵令嬢としての務めとなれば、いくらなんでもあんまりではないのか?アナベルのキャパは既に超えていた。
『父上、アナベルはまた頭が追いついてないようですのでこの辺で…』
ショーンが頷く様子をアナベルは視線の先に映しながらそのまま意識を手放した。
12
あなたにおすすめの小説
『婚約破棄された悪役令嬢ですが、嫁ぎ先で“連れ子三人”の母になりました ~三人の「ママ」が聞けるまで、私は絶対に逃げません~』
放浪人
恋愛
「母はいりません」と拒絶された悪役令嬢が、最強の“ママ”になるまでの物語。
「君のような可愛げのない女は、王妃にふさわしくない」
身に覚えのない罪で婚約破棄され、“悪役令嬢”の汚名を着せられたクラリス。 彼女が新たに嫁いだのは、北方の辺境を守る「氷の公爵」ことレオンハルト・フォン・グレイフだった。
冷え切った屋敷で彼女を待っていたのは、無表情な夫と、心に傷を負った三人の連れ子たち。 「僕たちに、母はいりません」 初対面で突きつけられた三つの拒絶。しかし、クラリスは諦めなかった。
「称号はいりません。私が欲しいのは――あなたたち三人の『ママ』になれる日だけです」
得意の生活魔法『灯(ともしび)』で凍えた部屋を温め、『鎮(しずめ)』の歌で夜泣きを癒やし、家政手腕で荒れた食卓を立て直す。 クラリスの献身的な愛情は、頑なだった子供たちの心を解きほぐし、やがて不器用な夫の氷の心さえも熱く溶かしていく。
これは、不遇な悪役令嬢が「最強の母」となり、家族を脅かす元婚約者や魔獣たちを華麗に撃退し、最愛の家族から「ママ」と呼ばれるその日までを綴った物語。
働かないつもりでしたのに、気づけば全部うまくいっていました ――自由に生きる貴族夫人と溺愛旦那様』
鷹 綾
恋愛
前世では、仕事に追われるだけの人生を送り、恋も自由も知らないまま終わった私。
だからこそ転生後に誓った――
「今度こそ、働かずに優雅に生きる!」 と。
気づけば貴族夫人、しかも結婚相手は冷静沈着な名門貴族リチャード様。
「君は何もしなくていい。自由に過ごしてくれ」
――理想的すぎる条件に、これは勝ち確人生だと思ったのに。
なぜか気づけば、
・屋敷の管理を改善して使用人の待遇が激変
・夫の仕事を手伝ったら経理改革が大成功
・興味本位で教えた簿記と珠算が商業界に革命を起こす
・商人ギルドの顧問にまで祭り上げられる始末
「あれ? 私、働かない予定でしたよね???」
自分から出世街道を爆走するつもりはなかったはずなのに、
“やりたいことをやっていただけ”で、世界のほうが勝手に変わっていく。
一方、そんな彼女を静かに見守り続けていた夫・リチャードは、
実は昔から彼女を想い続けていた溺愛系旦那様で――。
「君が選ぶなら、私はずっとそばにいる」
働かないつもりだった貴族夫人が、
自由・仕事・愛情のすべてを“自分で選ぶ”人生に辿り着く物語。
これは、
何もしないはずだったのに、幸せだけは全部手に入れてしまった女性の物語。
裏切られた令嬢は、30歳も年上の伯爵さまに嫁ぎましたが、白い結婚ですわ。
夏生 羽都
恋愛
王太子の婚約者で公爵令嬢でもあったローゼリアは敵対派閥の策略によって生家が没落してしまい、婚約も破棄されてしまう。家は子爵にまで落とされてしまうが、それは名ばかりの爵位で、実際には平民と変わらない生活を強いられていた。
辛い生活の中で母親のナタリーは体調を崩してしまい、ナタリーの実家がある隣国のエルランドへ行き、一家で亡命をしようと考えるのだが、安全に国を出るには貴族の身分を捨てなければいけない。しかし、ローゼリアを王太子の側妃にしたい国王が爵位を返す事を許さなかった。
側妃にはなりたくないが、自分がいては家族が国を出る事が出来ないと思ったローゼリアは、家族を出国させる為に30歳も年上である伯爵の元へ後妻として一人で嫁ぐ事を自分の意思で決めるのだった。
※作者独自の世界観によって創作された物語です。細かな設定やストーリー展開等が気になってしまうという方はブラウザバッグをお願い致します。
残念な顔だとバカにされていた私が隣国の王子様に見初められました
月(ユエ)/久瀬まりか
恋愛
公爵令嬢アンジェリカは六歳の誕生日までは天使のように可愛らしい子供だった。ところが突然、ロバのような顔になってしまう。残念な姿に成長した『残念姫』と呼ばれるアンジェリカ。友達は男爵家のウォルターただ一人。そんなある日、隣国から素敵な王子様が留学してきて……
【短編】記憶を失っていても
あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
7年以上前の記憶のない平民出身のラチェルは、6年前に娘のハリエットを生んでからグリオス国のアンギュロスの森付近の修道院で働きながら暮らしていた。
そんなある日ハリエットは見たことのない白銀色の大樹を見つけたと、母ラチェルに話すのだが……。
これは記憶の全てを失ったラチェル──シェシュティナが全てを取り戻すまでのお話。
※氷雨そら先生、キムラましゅろう先生のシークレットベビー企画開催作品です( ´艸`)
【完】出来損ない令嬢は、双子の娘を持つ公爵様と契約結婚する~いつの間にか公爵様と7歳のかわいい双子たちに、めいっぱい溺愛されていました~
夏芽空
恋愛
子爵令嬢のエレナは、常に優秀な妹と比較され家族からひどい扱いを受けてきた。
しかし彼女は7歳の双子の娘を持つ公爵――ジオルトと契約結婚したことで、最低な家族の元を離れることができた。
しかも、条件は最高。公の場で妻を演じる以外は自由に過ごしていい上に、さらには給料までも出してくてれるという。
夢のような生活を手に入れた――と、思ったのもつかの間。
いきなり事件が発生してしまう。
結婚したその翌日に、双子の姉が令嬢教育の教育係をやめさせてしまった。
しかもジオルトは仕事で出かけていて、帰ってくるのはなんと一週間後だ。
(こうなったら、私がなんとかするしかないわ!)
腹をくくったエレナは、おもいきった行動を起こす。
それがきっかけとなり、ちょっと癖のある美少女双子義娘と、彼女たちよりもさらに癖の強いジオルトとの距離が縮まっていくのだった――。
王子様とずっと一緒にいる方法
秋月真鳥
恋愛
五歳のわたくし、フィーネは姉と共に王宮へ。
そこで出会ったのは、襲われていた六歳の王太子殿下。
「フィーネ・エルネスト、助太刀します! お覚悟ー!」
身長を超える大剣で暗殺者を一掃したら、王子様の学友になっちゃった!
「フィーネ嬢、わたしと過ごしませんか?」
「王子様と一緒にいられるの!?」
毎日お茶して、一緒にお勉強して。
姉の恋の応援もして。
王子様は優しくて賢くて、まるで絵本の王子様みたい。
でも、王子様はいつか誰かと結婚してしまう。
そうしたら、わたくしは王子様のそばにいられなくなっちゃうの……?
「ずっとわたしと一緒にいる方法があると言ったら、フィーネ嬢はどうしますか?」
え? ずっと一緒にいられる方法があるの!?
――これは、五歳で出会った二人が、時間をかけて育む初恋の物語。
彼女はまだ「恋」を知らない。けれど、彼はもう決めている――。
※貧乏子爵家の天真爛漫少女×策略王子の、ほのぼのラブコメです。
※ノベルアップ+、小説家になろうでも掲載しています。
料理がマズいと言われ続けて限界がきたので、もっとマズいものを作って差し上げたら旦那様に泣かれてしまいました
九条 雛
恋愛
和平の証として魔族の元へと嫁がされたエルネットは、作った料理が不味いと毎日なじられ続けていた。
それでも魔族の慣わしとして、家族の口へと入る料理は彼女が作らねばならないらしい。
侯爵家の令嬢で、料理をしたことがなかった自分が悪いのだと努力を続けるエルネットだったが、それでも夫は彼女の料理を不味いと言い捨て、愛人の元へ通いに行くと公言する。
ほとんど限界を迎えていた彼女の中で、ついに何かがプツリと切れた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる