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ミハエルの覚悟
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『とにかく君の意志は理解した。』
ミハエルは安堵の笑みを浮かべながらソファへと腰を下ろした。アナベルはベッドからおりるとすかさずミハエルの腰を下ろしたソファの対面にやって来ると
『殿下、まだ私の問のお答えを頂いておりませんわ。』
ミハエルはぎょっとした面持ちでアナベルを見ると両手を開いて大袈裟にため息をついた。
『何だか急に勢いづいたようだね(笑)分かった分かった。まぁ落ち着いて、ね?』
ミハエルはアナベルをソファに座らせると侍従らを下げゆっくりとソファに腰を下ろした。
『今から話す事は公爵令嬢としてではなく、あくまで兄上の婚約者もどきとして聞いて欲しい。』
要は口外禁止という事だ。ミハエルの忠告を真っ赤になって固まるアナベル。
『大事なのはそこじゃないよ…。』
目の前の顔を赤らめるアナベルに対してミハエルは釘を刺すと
『私はどこへも行かないし、これまて通り兄上をお支えしていくよ。』
先ほどまで婚約者という言葉に頭にお花を咲かせていたアナベルであったがいきなり現実に戻され瞬きを繰り返した。
『あの。帝国へは行かれないと言う事ですか?』
『そう言ったね。』
『とても良いチャンスではないのですか?』
『君は、私が邪魔なの?』
『いやいやいや、誰もがそう思うでしょう?』
ミハエルは静かに首を横に振った。
『私はね、自分の血をひけらかした事も無いし、寧ろ邪魔だと思ってたんだ。だってそうだろ?幼い頃からランドルフ兄は自由に遊び回ってたのに私は兄上と同じように帝王学を学び自由な時間なんて無かったさ。だけど兄上が居てくれたからこそ頑張れもしたし、今の私があるんだ。』
…。
『そんな環境でもね、我が王家は他国の王家と比べ絆は深いと思うんだ。国王はもちろん王妃もそして私の母もランドルフ兄の母上も、皆からの愛情を分け隔てなく注がれていたよ。だからね実際に帝国からの話があった時、誰も何も言わなかった。だからこそ私は今後の事も踏まえて私の帝国との混血は争いの元になると考え帝国に行く決意をしていたんだ。』
…。
『だけどね、皆私の意志を尊重する中、1人だけ私を止めた人間が居た…。それが兄上さ。兄上は私の本当の気持ちを分かってたんだ。父上も王妃も、そして母上でさえ私がどこかで統率者となる事を望んでいると思ってたんだと思う。私自身はそんな思いなど微塵も無かったけどね。兄上は言った。私の為ではなく兄上の為に残って欲しいと。兄上は私に野心があればそんな事は言わないさ。本当の私の思いを知ってるからこそそういう言い方をするんだ。あの人は。だからその時に悟ったよ。この人には勝てないってね。』
嬉しそうに思い出しながら話すミハエルにアナベルは真顔で問うた。
『殿下、それならば殿下は私と同じではないですか?』
ミハエルはガクッと肩を落とすと
『どこがだよ!話し聞いてた?王家の絆をこれほどまでに話した事は初めてなんだけど?』
『王家の絆はよく分かりましたわ。素晴らしい絆。で、ですが…殿下はこの国の為に、未来の争いの種を自ら刈り取る為に、本当は大好きな家族と一緒に歩んで行きたいのに帝国へ行かれる決意をされたのですよね?』
『若干のニュアンスは異なるけれど…そうだね。』
苦虫を噛み潰したようなミハエルを前にアナベルはニッコリと破顔させ納得の表情で言い切った。
『同じですわ。何かの為に己の意志を後回しにしようとした。言い方を悲観的にすると犠牲にしようとした。ね?
分かります、分かります。そして、その思いに手を差し伸べて下さったのがお兄様であるライド殿下でしたのね。』
腕組みをしうんうんと頷きながら嬉しそうに語るアナベルをミハエルは怪訝そうに眺めていた。
…同じにするなよ。
ミハエルは未来の義姉を呆れ果てた眼差しで見つめていた事はアナベルは知らない(笑)
ミハエルは安堵の笑みを浮かべながらソファへと腰を下ろした。アナベルはベッドからおりるとすかさずミハエルの腰を下ろしたソファの対面にやって来ると
『殿下、まだ私の問のお答えを頂いておりませんわ。』
ミハエルはぎょっとした面持ちでアナベルを見ると両手を開いて大袈裟にため息をついた。
『何だか急に勢いづいたようだね(笑)分かった分かった。まぁ落ち着いて、ね?』
ミハエルはアナベルをソファに座らせると侍従らを下げゆっくりとソファに腰を下ろした。
『今から話す事は公爵令嬢としてではなく、あくまで兄上の婚約者もどきとして聞いて欲しい。』
要は口外禁止という事だ。ミハエルの忠告を真っ赤になって固まるアナベル。
『大事なのはそこじゃないよ…。』
目の前の顔を赤らめるアナベルに対してミハエルは釘を刺すと
『私はどこへも行かないし、これまて通り兄上をお支えしていくよ。』
先ほどまで婚約者という言葉に頭にお花を咲かせていたアナベルであったがいきなり現実に戻され瞬きを繰り返した。
『あの。帝国へは行かれないと言う事ですか?』
『そう言ったね。』
『とても良いチャンスではないのですか?』
『君は、私が邪魔なの?』
『いやいやいや、誰もがそう思うでしょう?』
ミハエルは静かに首を横に振った。
『私はね、自分の血をひけらかした事も無いし、寧ろ邪魔だと思ってたんだ。だってそうだろ?幼い頃からランドルフ兄は自由に遊び回ってたのに私は兄上と同じように帝王学を学び自由な時間なんて無かったさ。だけど兄上が居てくれたからこそ頑張れもしたし、今の私があるんだ。』
…。
『そんな環境でもね、我が王家は他国の王家と比べ絆は深いと思うんだ。国王はもちろん王妃もそして私の母もランドルフ兄の母上も、皆からの愛情を分け隔てなく注がれていたよ。だからね実際に帝国からの話があった時、誰も何も言わなかった。だからこそ私は今後の事も踏まえて私の帝国との混血は争いの元になると考え帝国に行く決意をしていたんだ。』
…。
『だけどね、皆私の意志を尊重する中、1人だけ私を止めた人間が居た…。それが兄上さ。兄上は私の本当の気持ちを分かってたんだ。父上も王妃も、そして母上でさえ私がどこかで統率者となる事を望んでいると思ってたんだと思う。私自身はそんな思いなど微塵も無かったけどね。兄上は言った。私の為ではなく兄上の為に残って欲しいと。兄上は私に野心があればそんな事は言わないさ。本当の私の思いを知ってるからこそそういう言い方をするんだ。あの人は。だからその時に悟ったよ。この人には勝てないってね。』
嬉しそうに思い出しながら話すミハエルにアナベルは真顔で問うた。
『殿下、それならば殿下は私と同じではないですか?』
ミハエルはガクッと肩を落とすと
『どこがだよ!話し聞いてた?王家の絆をこれほどまでに話した事は初めてなんだけど?』
『王家の絆はよく分かりましたわ。素晴らしい絆。で、ですが…殿下はこの国の為に、未来の争いの種を自ら刈り取る為に、本当は大好きな家族と一緒に歩んで行きたいのに帝国へ行かれる決意をされたのですよね?』
『若干のニュアンスは異なるけれど…そうだね。』
苦虫を噛み潰したようなミハエルを前にアナベルはニッコリと破顔させ納得の表情で言い切った。
『同じですわ。何かの為に己の意志を後回しにしようとした。言い方を悲観的にすると犠牲にしようとした。ね?
分かります、分かります。そして、その思いに手を差し伸べて下さったのがお兄様であるライド殿下でしたのね。』
腕組みをしうんうんと頷きながら嬉しそうに語るアナベルをミハエルは怪訝そうに眺めていた。
…同じにするなよ。
ミハエルは未来の義姉を呆れ果てた眼差しで見つめていた事はアナベルは知らない(笑)
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