反主流派の公爵令嬢ですが何か?【完】

mako

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晴れる心

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アナベルが重い瞼を開けると、毎度の如くミハエルが呆れた表情でアナベルを見ている。


…。


アナベルは思わず再び目を閉じると


『狸寝入りか?今度は!』


ミハエルの声にアナベルはおとなしく目を開けた。


…また嫌味ぶっこまれるわ。


『っとに、何かにつけて倒れるね、君は。きちんと食べてるの?』


…。


『ミハエル、無理も無いさ。本当にアナベルは覚えてなかったんだから。』


…!


『殿下、ここのシチュエーションはきちんと覚えていますわ!ただ…』


『ただ?』


『その…ランドルフ殿下が遊んでらした相手の1人が…私だと思って忘れる事にしてたのです。』


黙って聞いていたランドルフは頭を巡らせながら


『ねえ、私だと悲観的になるのかな?ってか私はグリーンの瞳の令嬢しか相手にしないんだ。』


『じゃなくて、相手に出来なかったんだろ?アレンジ出来ないから(笑)』


ミハエルは肩を揺らして笑いを堪えている。



恨めしそうにミハエルを睨見つけるとランドルフは

『まあ、幼き頃の事だからな。兄上?』

助けをライドに求めるとライドは小さく笑い


『そうだな。でも私はきちんとアナベルを覚えていたからね?だから引きこもりも大歓迎だったんだ。』


『自分との約束の為に婚約者など不要だと社交界にも出ず引きこもり令嬢やってるのかと思ってたもんね兄上は。どこまで頭に花咲かせてんだか(笑)』



バツの悪そうにミハエルを睨見つけるとライドはアナベルに苦笑いを送った。
真っ赤になるアナベルは表情に花を咲かせ

『では、殿下は私を駒として求められたのでは無かったのですね?』


今度は頭に花を咲かせるアナベルに

『当たり前だろ?わが国公爵令嬢がだ、社交もせず引きもってんのが普通許される訳ないだろう?義務も果たさずのうのうと…それだってな?一国の王太子の公私混同だけどな?』


ライドは気にせず微笑んでいるがミハエルの言葉は至極当然である。


『でも王太子妃選考を開催されましたわ。』


ミハエルはめんどくさそうに髪をかきあげると


『わからん奴だな。どっかの誰かがいつまで経っても引きこもりをやめないからだろ?』


…思い当たる節しかないアナベルは苦笑いを浮かべながらも幸せそうに微笑んだ。


『さあ、我々の宮へ帰ろう。次は我らの結婚式だからね。』


ライドの差し出した手にアナベルはそっと手を重ねた。


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