反主流派の公爵令嬢ですが何か?【完】

mako

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心機一転

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翌朝からアナベルは息を吹き返したかのように今まで以上に執務を勢力的に熟すようになっていた。


…クヨクヨ悩んでないで今出来る事をするのよ。

この日は午後から孤児院へ視察へ向かう予定がありアナベルは一仕事を終えライドに笑顔を作る。

『殿下、これから孤児院への視察へ出かけますので後はお願いいたします。』


いつもと変わら無い言葉ではあるが今日はぎこちないながらも笑顔を添えている。


『あぁ、気を付けて行くんだよ。』

ライドは手短に応答えるとすぐに書類に目を落とした。


…ですよね?


アナベルは苦笑いを浮かべ執務室を後にした。その背中を見送るとライドはペンを置くと思わず口に手を当てた。


…びっくりしたぁ、どうした?


真っ赤になりながらライドはしばらく放心していたのである。




アナベルが孤児院に出向くと必ず読み聞かせを行う。伊達に引きこもり令嬢だけあって、本とは大親友なのである。この年頃の子どもたちが目を輝かせる本を熟知しているのである。


『─おしまい、おしまい。』


にっこりと微笑むアナベルに子どもたちはもっともっととせがむのがデフォであるがこの日はそうはいかなかった。

なぜならアナベルのおしまいおしまいの言葉の後に後方から拍手が送られたのである。その拍手の主は後ろにゾロゾロと従えながらにこやかに微笑んでいる。子どもたちでも見ただけでそれが偉い人だとわかるのである。子どもたちはアナベルにありがとうをすると急いでお庭に元気に駆けていった。



『…また今日はどうされました?』

アナベルは不機嫌に問うとカイン・カサンドラは首を傾げると

『あれ、さっきまでは優しい口語りであったのに…って私はこう見えてカサンドラの王太子だよ?こうして帝国の孤児院の視察もするでしょう?』


…まだ立太子してないくせに!


アナベルは辟易としながら片付けを始めるとカインは


『今日はご立腹なのかな?』


『…特には。』


『あれ?先日の会談で何かしでかしちゃったかな?』


白々しく語るカインをアナベルは怪訝そうに見ながら声を発する事なく立ち上がるとカインに背を向けた。


『なに?皇太子に何か言われた?』


アナベルは振り返るとあからさまに眉間にシワを刻んだ。


『当たり?』


『!ハズレですわ。では。』


言葉短く孤児院を後にするとカインは不適な笑みを浮かべながらその背中を見送った。




アナベルが外に出ると帝国の馬車までの美しく整えられた芝生を歩く。両脇の花壇の花が風になびき心地よいアナベルへ走り込んでくる令嬢1人。


…。懐かし過ぎるんだけど(泣)


アナベルは硬い笑顔を作ると


『アナベル様!こっちこっち!』


手招きするエレナ・シャニオン。


…手招きしてるわ

デジャヴのような光景に目眩がした。


『エレナ様、ごきげんよう。今日はまたどうされました?』


エレナは初めて見た時のようにあどけないまるで小動物のような雰囲気に戻っていた。

『アナベル様朗報がありますのよ!』


心底嬉しいそうに話すエレナにアナベルは耳を傾けた。


『こんな所では話せる内容ではありませんの。何処かに入りませんか?オシャレなカフェがありますの!』


…カフェって。


アナベルは相変わらずなエレナに少し微笑むとエレナの馬車へと乗り込んだ。








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