反主流派の公爵令嬢ですが何か?【完】

mako

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襲来1

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アナベルから衝撃な事実を知らされたマリーナであるが一介の侍女にはどうする事も出来ず、カサンドラ王国王宮では平穏な毎日が過ぎていた。


そんな時王宮を揺るがす早馬が朝早く王宮に入った。


『申し上げます!トォモルデン帝国から遣いが参ります!』


カインは口角をギュイーンと上げると


『思ったより遅かったね。そう慌てる事では無い。遣いが到着したらすぐに通せ。』


カインは窓から遠くを見渡し遣いが来るのをまるで心待ちにしているかのように微笑んだ。



遣いの者が待つ広間に足をゆっくりと踏み入れるとカイン・カサンドラは大げさに手を広げ遣いの者を歓迎してみせた。


『これはこれは遠度はるばるご苦労であった。して?どうされた?』


頭を垂れる遣いの礼を解くと遣いはゆっくりと頭を上げた。


『妃殿下はご無事ですか?』


余裕を見せるカインは

『言葉は慎重にね。ご無事ですか?では我が国がアナベル嬢に手荒な真似をしているみたいではないか?』


『…。』



『それにね、妃殿下でない。アナベル嬢だ。彼女はもともと私の婚約者だからね?それを拉致ったのはトゥモルデンの方だ。君は知らないかも知れないけれど君の国はね、帝国が混乱の中乗っ取りを企てるような国だ。私の妃を拉致ってもおかしくはないよね?全く。』


『アナベル嬢に会わせて下さいますか?』


『何故?』


『…。』


『…彼女はここでの生活を楽しんでいるからね。君と会う事なんてしないと思うけど?』


そう言うとカイン・カサンドラは衛兵に命を出しすぐにアナベルがその後方にマリーナを伴い広間に姿を現した。


『!』


広間に現れたアナベルは驚き、皇太子妃とは思えぬ声を上げた。


『こんな所で、な、何をなさっているのですか!』


遣いはニヤリと笑うと

『おやおや、皇太子妃がそんなはしたない声を上げるではありません。』


怪訝そうに見つめるカインはアナベルに


『ねえ、こんな所って事はないんじゃないの?』


アナベルはカインを相手にしている余裕はなく

『ミハエル様!貴方がどうして!』

…。


黙って状況を見つめるカインにアピールするかのようにアナベルは再度


『殿下!ミハエル殿下!何とかおっしゃってください!』


驚いたカインを横目にミハエルは首を鳴らしながら


『あのね?私だってこう見えて結構忙しいんだ。君の失態のせいで尻ぬぐいは御免だよ!にしても今回はえらく面倒事に巻き込んでくれちゃったよね?』


ミハエルはため息をつきながら先ほどまで跪いていた絨毯を軽やかに立ち上がると横に置かれているソファへ腰を下ろし足を組んだ。


『で?カイン殿。義姉は連れて帰るが良いな?』


…。


カインは苦虫を噛み潰したようにミハエルを見るとアナベルの後ろのマリーナを睨みつけた。


カインは常日頃監視の為にアナベルにマリーナを付けていた。侍女の中でも王国への忠誠が本物であり且つ仕事もできる。マリーナの報告からすれば既にアナベルは洗脳済みだと言う話であった。

マリーナはアナベルへ洗脳の薬を毎食盛り既に効き目は十分だと伝えていたのである。


カインの鋭い視線をマリーナは一身に受け真っ直ぐ凛とその場に立っている。覚悟は十分だ。


『マリーナ。君は妹が居たよね?』


その一言に思わずマリーナは顔を顰めた。

これがカイン・カサンドラのやり口なのだ。多くは語らないが短く相手をけん制する。


アナベルは2人の様子を伺いながらミハエルに目配せをするもミハエルはまたも大きくため息を付くと


『ダァめんどくせぇ。ってかもうすぐ兄上が着くから兄上に言ってくれ。その方が早いよ。義姉上。』




カイン・カサンドラは驚いたように目を見開くとすぐに踵を返して広間を出ていった。その後すぐに衛兵によりマリーナも拘束され部屋を後にした。


『マリーナ!』


アナベルの呼びかけにマリーナは小さく微笑むと1つ頷き扉が閉められたのである。



 

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