俺を好きになるな、お前を愛していない、極道の目覚めた独占欲

第七章 加子の妊娠

②

「人聞きの悪い事を言わないでください、私は純粋にあなたとの生活を楽しみたかったんです、蓮也さんとの行為も、たまたまの結果です」

「離婚はしない、僕の子供として生んでもらう、君は僕の側を離れることは許さない」

加子は林田から逃れることは出来ないと観念した。

「加子、流産しないように十分に気をつけるんだな」

加子は背筋が凍る思いがした。

その頃、蓮也は加子のことを考えていた。

こんなにも、引きずるとは夢にも思ってはいなかった。

あいつは俺と組員のことを考えて林田の元に行った。

俺はあいつを守ってやれなかった。

何をしているんだ。

蓮也は仕事に打ち込んだ。

これでいいんだ、加子は堅気だ、極道の世界に引き摺り込むわけにいかない。

蓮也は自分に言い聞かせていた。

加子は定期的に産婦人科へ通っていた。

たまたま、ケンが加子の姿をとらえた。

「加子さん、産婦人科って、林田の子供を妊娠したのか」

ケンは組長が裏切られた気分になった。

加子と林田は夫婦になったんだから、子供が出来て当たり前だが、

あんなに嫌がっていたけど、林田とセックスしてるんだと思うと、

腹が立ってきた。