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惹かれる気持ち②

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「もしかして、春日部拓真社長」

「社員を脅してキャバクラで働かせた罪は重いぞ」

俺はエロ親父に背を向けた。

店の前に車をつけた大館が待機していた。

「若頭、大変なことをしてくれましたね」

「後始末は大館、お前の役目だ、マンションに直行しろ」

「かしこまりました」

俺はユリエを抱き抱えたまま、寝室に向かった。

ベッドにユリエを投げ捨てた。

ユリエのバスローブを剥ぎ取り、一糸纏わぬ姿に俺は欲情した。

俺も全身に着けていたものを脱いだ。

すでに俺自身は熱を持って、大きくなっていた。

「ユリエ、覚悟しろ、俺の言付けを守らなかったらどうなるか、身を持って教えてやる」

俺はいきなりユリエの乳房を舐め回した。

「ああ、健斗さん、うう~ん、気持ちいい」

「当たり前だ、お前を抱いてるのは新堂健斗だ、ユリエ、ユリエ、
お前の全てが欲しい」

俺はユリエを何度も抱いた。



この時、俺は避妊しなかった。

ユリエに気持ちを確かめることなく、ユリエの中に全てを注ぎ込んだ。

私はしっかり、健斗さんに抱きしめられて眠った。

目が覚めると、健斗さんの顔が近くにあって。びっくりした。

「おはよう、ユリエ、よく眠れたか」

「はい、もう、健斗さんったら、何度も求めてくるから、腰がガクガクです」

「言っただろう、俺の言うことを聞かない罰だ」

「山名部長はもう会社には来ないんですか」

「荷物整理くらいは来るだろうが、もうあいつの席はない」

「そうですか」

「ユリエ、店辞めろ、心配で気が気じゃないぞ」

「でも……」

私は、キャバ嬢ユリエだから、健斗さんは抱いてくれると思っていた。

お店辞めたら、相手にして貰えなくなっちゃう。

それに、私が辞めても店にはいくんだろうから、他のキャバ嬢を抱くんだろう。

そんなの耐えられない。

まさか、私に本気で、結婚したいと思っているなんて、考えられないことだった。

「ユリエ、今日は会社が休みだから、一緒に出かけるか」



「本当ですか」

「ああ、今晩もここに泊まれ、いいな」

「でも、お店が……」

「休むと伝えた、いいだろう、ユリエとゆっくり時間を過ごしたい」

「健斗さんもお店には行かないですか」

「当たり前だ、ユリエがここにいるのに、店に行く必要はないだろう」

それなら嬉しい。

私は顔の筋肉が緩んだ。

そして、一緒に出かけた。

「あのう、健斗さん」

「なんだ」

「プライベートでも、皆さん一緒なんですね」

「ごめん、俺、敵が多いからいつでも命を狙われてる」

「そうなんですか」

いつも命を狙われてるなんて、極道の若頭は大変なんだ。

そういえば、健斗さんの彼女ってどんな人だろう。

私、健斗さんの隣にいていいのかな。

いくらキャバ嬢って言ったって、店以外に一緒にいたら、彼女さん嫌だよね。




「あら、健斗、随分と久しぶりね、私をこんなにも放っておいて、浮気しちゃうわよ」

食事をするために入った店のママさんが声をかけてきた。

「そんなに久しぶりか」

「そうよ、しかもこんなにかわいい子連れて、紹介してよ」

「新堂組管轄のキャバクラのキャバ嬢、ユリエだ」

「はじめまして、ユリエです」

「はじめまして、この店のオーナーの理恵です」

「ユリエに飯食わせてやってくれ」

「はいはい」

私と健斗さんは座敷に通された。




「このお店も新堂組管轄ですか」

「いや、ここは違う」

「そうですか」

しばらくして、料理が運ばれてきた。

健斗さんはお酒を飲みはじめた。

隣でお酌をする理恵さん。




もしかして、理恵さんが彼女さんかな。

「おい、ユリエも飲めよ、今日は帰る場所が一緒だから、いいよな」

「あら、お二人は一緒に住んでいるのかしら」

「ああ……」

健斗さんがそこまで言いかけて、私は言葉を遮った。

「違います」

健斗さんはジロっと私を睨んだ。

「なあに、健斗さん、振られちゃったわね」

理恵さんの言葉に私はどうしていいかわからなかった。

「振られてねえよ、こいつは俺の言うことを信じてくれないだけだ」

「はい、はい、わかりました」

健斗さんは不機嫌な顔で私を見つめる。

しばらく料理を頂いて、健斗さんのお酒も進むと、

「若頭、そろそろ引き上げましょう」

大館さんが助け船を出してくれた。

健斗さんはそれから一言も口をきいてくれなかった。

車の中ではずっと無言だった。

でもしっかり私の手を握ってくれていた。

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