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第ニ章 彼の秘密
彼の人生に何が起こっているのか想像がつかなかった
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「ごめん、騙していたわけじゃない、ホストって言ったらあゆみが一緒に居てくれないと思って」
彼は何度も謝っていた。
「大丈夫です、そんなに謝らなくても」
全然大丈夫じゃないのに、私は平常心を装った。
「じゃあ、今まで通りずっと俺と一緒に居てくれるって事だよな」
彼は安心したような表情で私を見つめた。
どうしよう、全然大丈夫じゃないよ~、だってホストって、お客さんと、無理だよ。
私はふっと時計に目をやった。えっ、時計の針が深夜零時を回っていた。仕事、麻生さん仕事は?
「麻生さん、仕事は?もうこんな時間になって、どうしよう」
彼は驚きもせず、私の手を引き寄せ抱きしめた。
「大丈夫だよ、今日は仕事を休んだから」
彼は優しく微笑んで答えた。
仕事を休んだって私のせい?どうしよう。
「ごめんなさい、私のせいですよね」
動揺している私に、彼はゆっくりと話を始めた。
「あゆみ、聞いて?俺はあゆみが大切だから、心配するのは当たり前だけど、仕事は大事だから、お客さんには迷惑かけられない、
でもあゆみに嫌な思いや、悲しい思いはさせたくない、あゆみとはずっと一緒にいたいって言うのが俺の本音、だけどホストの仕事は辞められない、だから理解してほしい」
彼は真っすぐ私の眼を見て、気持ちを話してくれた。
「分かりましたけど、ただちょっと時間ください」
私はどうしていいのか分からなかった。
今、はっきり分かっている事は、麻生さんの事大好きなのだと、もう離れたくないって事だけ分かった。
だからお客さんに嫉妬している自分がいると確信した。
彼は私の腕を引き寄せ抱きしめた。
「俺、絶対あゆみと離れないから」
彼は唇を重ねようとした。
彼と私の唇が重なる瞬間、私は顔を背けた
どうしよう、違うのに。
彼は哀しそうな表情で私に問いかけた。
「俺の事嫌いになった?」
「違います、そんな事ないです」
慌てて否定した自分がいた。
確かに嫌いになったわけではない、寧ろ大好きである気持ちが大きくなった。
彼は、私を再度引き寄せ、手で頬を撫でて唇を重ねようとした。一度顔を背けられたらすぐにキスしようと思わないと思った。
ところが彼は、躊躇せずに実行に移す。
私はこの展開をどこかで望んでいたかのように、彼の唇を受け入れた。
一瞬唇が離れて、二人は見つめ合い、また唇を重ねた。
彼は何事にも迷わない。
まるで人生に限られた時間があるかのように・・・この時彼の人生に何が起きているか想像もつかなかった。
彼は何度も謝っていた。
「大丈夫です、そんなに謝らなくても」
全然大丈夫じゃないのに、私は平常心を装った。
「じゃあ、今まで通りずっと俺と一緒に居てくれるって事だよな」
彼は安心したような表情で私を見つめた。
どうしよう、全然大丈夫じゃないよ~、だってホストって、お客さんと、無理だよ。
私はふっと時計に目をやった。えっ、時計の針が深夜零時を回っていた。仕事、麻生さん仕事は?
「麻生さん、仕事は?もうこんな時間になって、どうしよう」
彼は驚きもせず、私の手を引き寄せ抱きしめた。
「大丈夫だよ、今日は仕事を休んだから」
彼は優しく微笑んで答えた。
仕事を休んだって私のせい?どうしよう。
「ごめんなさい、私のせいですよね」
動揺している私に、彼はゆっくりと話を始めた。
「あゆみ、聞いて?俺はあゆみが大切だから、心配するのは当たり前だけど、仕事は大事だから、お客さんには迷惑かけられない、
でもあゆみに嫌な思いや、悲しい思いはさせたくない、あゆみとはずっと一緒にいたいって言うのが俺の本音、だけどホストの仕事は辞められない、だから理解してほしい」
彼は真っすぐ私の眼を見て、気持ちを話してくれた。
「分かりましたけど、ただちょっと時間ください」
私はどうしていいのか分からなかった。
今、はっきり分かっている事は、麻生さんの事大好きなのだと、もう離れたくないって事だけ分かった。
だからお客さんに嫉妬している自分がいると確信した。
彼は私の腕を引き寄せ抱きしめた。
「俺、絶対あゆみと離れないから」
彼は唇を重ねようとした。
彼と私の唇が重なる瞬間、私は顔を背けた
どうしよう、違うのに。
彼は哀しそうな表情で私に問いかけた。
「俺の事嫌いになった?」
「違います、そんな事ないです」
慌てて否定した自分がいた。
確かに嫌いになったわけではない、寧ろ大好きである気持ちが大きくなった。
彼は、私を再度引き寄せ、手で頬を撫でて唇を重ねようとした。一度顔を背けられたらすぐにキスしようと思わないと思った。
ところが彼は、躊躇せずに実行に移す。
私はこの展開をどこかで望んでいたかのように、彼の唇を受け入れた。
一瞬唇が離れて、二人は見つめ合い、また唇を重ねた。
彼は何事にも迷わない。
まるで人生に限られた時間があるかのように・・・この時彼の人生に何が起きているか想像もつかなかった。
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