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第七章 私を覚えていない彼
目が覚めた彼は、私のことだけ覚えていなかった
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その彼が今私を愛してくれている、でも彼と踏み出す勇気がない。
そう、彼は脳腫瘍を患い、生存率を上げるため手術を行なった。
しかし、後遺症で認知機能障害が起きたのである
そう、彼は私との過去の記憶がない。
術後、目が覚めた彼は、私のことだけ覚えていなかった。
わかってはいたが、その時のショックは計り知れない。
目一杯の愛情を捧げてくれた彼が、目が覚めると冷たい眼差しで私を見つめる、誰?俺はあなたを知らないと言う表情で私を見る、冷ややかな瞳に見つめられるといたたまれない気持ちになる、気にせず、また、彼と初めから付き合えれば良いが私はそんなに強くない。
彼が愛してくれればくれる程、記憶を無くした時のギャップに耐えられないのである。
しかも一年前の別れは二回目、彼からの告白は奇跡だと思っている。
今回で三回目の彼からの告白、奇跡が起きるのは一回だけだろう、だから受け入れる勇気はない。
「あゆみ?どうかした?」
「いいえ、どうもしません」
「明日七時に出発するよ、支度手伝うから」
「大丈夫です、そんなことまでしていただくわけにはいきません」
「平気、俺がしたいから」
彼は微笑みながら私を見つめた、心臓がドキドキしてもう平常心じゃいられない。
彼は本当にかっこいい、甘いマスクに優しい笑顔、顔の一つ一つのパーツが整っている総合的にも最高の出来と言える。
真顔になるとキリッとしてまるで漫画に出てくる主人公の様である、しかも若いイケメンホスト。
本当に不思議、こんな完璧な男性が私みたいな四十代のアラフォーを好きだなんてありえない。
そうか、だから幸せが続かない?これは神様のご褒美?彼と初めて会った時もそう思った。
高望みしちゃいけない。
私はやっと気づいた、遅いよ、あゆみのバカ!
次の日の朝、彼は支度を手伝ってくれた。
「行くよ、あゆみ」
「はい、お願いします」
彼は私を抱きかかえて、部屋を後にした。
ロビーに降りて行くとコンシェルジュの宮田さんが挨拶してくれた。
「おはようございます、あゆみ様お仕事ですか」
「はい、こんな状態で恥ずかしいです」
「そんなことはございません、麻生様に感謝ですね」
「はい」
「あゆみ、挨拶はその辺にして、行くよ」
「はい、すみません、お願いします」
彼は車で仕事場に連れて行ってくれた。
仕事場では一緒に働いている友梨ちゃんがすでに入荷を済ませ、開店準備をしてくれていた。
「友梨ちゃん、おはよう」
「店長、おは・・・」
私は彼に抱き上げられて、店に入ったから友梨ちゃんはびっくりしたらしく、目を丸くした。
「ここでいいのかな」
そう、彼は脳腫瘍を患い、生存率を上げるため手術を行なった。
しかし、後遺症で認知機能障害が起きたのである
そう、彼は私との過去の記憶がない。
術後、目が覚めた彼は、私のことだけ覚えていなかった。
わかってはいたが、その時のショックは計り知れない。
目一杯の愛情を捧げてくれた彼が、目が覚めると冷たい眼差しで私を見つめる、誰?俺はあなたを知らないと言う表情で私を見る、冷ややかな瞳に見つめられるといたたまれない気持ちになる、気にせず、また、彼と初めから付き合えれば良いが私はそんなに強くない。
彼が愛してくれればくれる程、記憶を無くした時のギャップに耐えられないのである。
しかも一年前の別れは二回目、彼からの告白は奇跡だと思っている。
今回で三回目の彼からの告白、奇跡が起きるのは一回だけだろう、だから受け入れる勇気はない。
「あゆみ?どうかした?」
「いいえ、どうもしません」
「明日七時に出発するよ、支度手伝うから」
「大丈夫です、そんなことまでしていただくわけにはいきません」
「平気、俺がしたいから」
彼は微笑みながら私を見つめた、心臓がドキドキしてもう平常心じゃいられない。
彼は本当にかっこいい、甘いマスクに優しい笑顔、顔の一つ一つのパーツが整っている総合的にも最高の出来と言える。
真顔になるとキリッとしてまるで漫画に出てくる主人公の様である、しかも若いイケメンホスト。
本当に不思議、こんな完璧な男性が私みたいな四十代のアラフォーを好きだなんてありえない。
そうか、だから幸せが続かない?これは神様のご褒美?彼と初めて会った時もそう思った。
高望みしちゃいけない。
私はやっと気づいた、遅いよ、あゆみのバカ!
次の日の朝、彼は支度を手伝ってくれた。
「行くよ、あゆみ」
「はい、お願いします」
彼は私を抱きかかえて、部屋を後にした。
ロビーに降りて行くとコンシェルジュの宮田さんが挨拶してくれた。
「おはようございます、あゆみ様お仕事ですか」
「はい、こんな状態で恥ずかしいです」
「そんなことはございません、麻生様に感謝ですね」
「はい」
「あゆみ、挨拶はその辺にして、行くよ」
「はい、すみません、お願いします」
彼は車で仕事場に連れて行ってくれた。
仕事場では一緒に働いている友梨ちゃんがすでに入荷を済ませ、開店準備をしてくれていた。
「友梨ちゃん、おはよう」
「店長、おは・・・」
私は彼に抱き上げられて、店に入ったから友梨ちゃんはびっくりしたらしく、目を丸くした。
「ここでいいのかな」
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