夜の帝王の一途な愛

ラヴ KAZU

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第八章 嫉妬

おへそが曲がったあゆみ

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その時お店の前に朝とは違う高級車が横付けされた。 
車のドアが開き彼がホストの時のスーツに身を包み降りてきた。 
「ごめん、遅くなった、お客さんとデートしていたから」 
彼はダークグレーのスーツに身を包み、派手になり過ぎない程度のアクセサリーを身につけ、朝と別人のようなカッコ良さである。 
元々顔立ちが整っている彼はスタイルもいいのでどんな格好でもステキである。 
友梨ちゃんは彼に見惚れて固まっている。 
「友梨ちゃん遅くなってごめんね」 
「だ、大丈夫です、麻生さんかっこいいですね」 
「ありがとう」 
「お店のお客さんになると、麻生さんとデート出来るのですか」 
「うん、俺を指名してくれて、特別なお客さんと俺が判断したらね」 
この時私は二人の会話を聞いて、嫌な気持ちになった、そう私は彼と仲良く話をしている友梨ちゃんに嫉妬したのだ。 
この時彼は私をちらっと見て、友梨ちゃんと会話をしていた、私の様子を気にかけながら、友梨ちゃんにも嫌な思いをさせないように気遣いをしていた、そう私が働きにくい状態にならないように配慮してくれていたのである。 
私は彼のそんな気持ちに気づくことが出来なかった。 
若くてかわいい友梨ちゃんとデートすればと、彼から目を逸らしていた。 
「あゆみ、帰ろうか」
彼は私を抱き抱えるため近づいてきた。 
私は返事をしなかった、だって彼と友梨ちゃんがデートすることになったら、彼の顔をまともに見られなかった。 

「あゆみ?」 
「店長?大丈夫ですか」 
「あっ、大丈夫」 
彼は私に近づきあっと言う間に私を抱き上げて、車へ運び、私に耳打ちをした。 
「何、へそ曲げている」 
だって凌が友梨ちゃんと仲良くしているから、友梨ちゃんに取られちゃうよ、また私・・・と心の中で訴えた、声に出して言えないことを。 
涙が溢れてきて堪えるのに必死だった。 
私は顔を見られたくなくて彼の首に回していた両手に力を入れた、小刻みに震えていた身体に彼は気づき、声をかけてくれた。 
「あゆみ、大丈夫?足痛いのか?」 
この状況を切り抜けるのに頷くしかなかった。 
「横になっていろ」 
彼は私を後ろの席に移動させて横にしてくれた。 
私にかけてくれたブランケットで顔を隠した。 
「友梨ちゃん、ごめんね、送って行こうと思っていたけど、また今度ね」 
「いいえ、大丈夫です、明日具合悪いようでしたら休んでも大丈夫なので連絡ください」 
「あ~、わかった」 
「麻生さんの連絡先交換お願いします」 
「俺の?」 
「はい」 
彼と友梨ちゃんは連絡先を交換した。 
「店長、お大事にしてください」 
私は返事が出来なかった。 
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