お前は俺の指示に従え〜意地悪な外科医との契約結婚

ラヴ KAZU

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「俺のメリットは黙って俺の生活スタイルに忠実に従う妻が欲しい」

その女は目を丸くした。

「いいか、普通に男女が付き合って結婚するとわがままが出る、俺が疲れて帰って来ても話相手をしろだの、休みにデートしろだのうるさくて仕方ねえ、でも契約なら俺の生活スタイルに忠実に従って貰う事が出来るだろ」

「あのう、それならずっと一人でいればいいんじゃないですか」

「あのな、俺は親父に結婚を急かされてる、だから結婚しないといけないんだ」

「そう言う事ですか」

「お前に取ってこんないい話はないだろう、ただで最高の治療が受けられるんだからな」

「それはそうですけど……」
「お前は俺の指示に従っていればいい、簡単だろ」

その女はしばらく考えていたが、俺の話に頷いた。

「そのお話をお受けします」

「そうか、決まりだな」

「契約結婚ですよね、ただの契約の関係ですよね」

「そうだ、何が言いたい」

「だから、夜はベッドは別ですよね」



「ああ、でもどうしても抱いて欲しいなら、抱いてやっても構わないぞ」

「結構です、こちらからお断りします」

全く、なんなのこの人、これじゃ誰も着いてこないのは当たり前だよね。

私はこのままじゃ、ずっと一人寂しく人生を終えることになっちゃうから、契約でもいいから結婚したほうがいいかもしれないと思った。

それにとにかくこの骨折を治さないと、どうすることも出来ない。

「あのう、先生の名前教えてください、私は鶴巻梨花です」

「俺は最上丈一郎だ」

えっ、最上って、先生のお父さんってこの病院の医院長?

「先生、先生はこの病院を将来継ぐんですか」

「そうだ、梨花は将来医院長夫人だな」

「私に務まりますか」
「どうかな、わかんねえな、梨花がどんな女かまだ分からないからな」

「それなのに、プロポーズしたんですか」

「プロポーズ?俺達は契約結婚だ、忘れるな」

分かってます、なんなの?本当に契約上の妻だけ欲しいんだ。

私にだって夢はある。



好きな男性にプロポーズされて、結婚して、毎日「いってらっしゃい」そしてキスして、

「ただいま」「お帰りなさい」そしてキス。

私は唇を尖らせて最上さんに近づいた。

「おい、なんの真似だ」

「えっ」

「そう言う面倒な事が嫌だからお前と契約したんだ、勘弁してくれ」

「ごめんなさい」

「なんだ、素直なところもあるんだな」

私は恥ずかしくなって俯いた。

「じゃ、契約成立だな」

私は入院して手術を受けることになった。

それからまもなくして退院の許可が降りた。

「もう退院して構わない、明日退院の手続きを済ませておく、お前は手配しておくタクシーで俺のマンションへ迎え」

「私、一人ですか」

「当たり前だ、俺は仕事があるからな、退院の手続きもタクシーの手配も済ませておくからありがたいと思え」

「私、いま、最上さんの婚約者ですよね、婚約者が退院する日位、お休み取ってくれてもいいのに……」

「はあ?何を甘えた事言ってるんだ、俺達は契約の関係だ、自分の立場を弁えろ」

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