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第九章 戻れない後悔

葉月を見守る

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「葉月は」

「ここへは戻らず、アパートに引っ越しました」

冨樫はヤスシの胸ぐらを掴んで「なんでここに連れてこなかったんだ」と怒鳴った。

「若頭、葉月さんの気持ちを考えてあげてください」

「アパートの住所は聞いたか」

「はい」

「そうか」

「若頭、食事にしましょう、今日からまた俺が若頭の側にいますから」

「ヤスシ、葉月のアパートの住所、俺のスマホに送ってくれ、ちょっと行ってくる」

冨樫は車の鍵を持ってマンションを出ようとした。

「若頭、葉月さんを連れ戻すつもりですか」

冨樫は振り向いてこう言った。

「心配するな、謝りに行くだけだ」

冨樫は車を走らせた。

ナビに葉月のアパートの住所を入れた。

以外と近いな、これなら様子も見に行けるな。

冨樫はアパートに着くと、インターホンを鳴らした。

「はい、どなたですか」




インターホン越しに葉月の声が聞こえた。

「冨樫です、謝りたくて、開けてもらうことは可能ですか」

「すみません、ドア越しでもいいですか」

葉月の声はちょっと震えていた。

「構いません、本当に申し訳ありませんでした」

葉月の返事は聞こえなかった。

「葉月、もし困ったことがあったら、連絡してくれ、いつでも駆けつける」

やはり葉月は黙ったままだった。

「葉月、すぐに許してもらえるなんて思ってはいない、でも俺は諦めないから、
明日もくる」

冨樫はアパートを後にした。

心配なのはあのDV野郎だな。

俺は葉月に密かに護衛をつけた。





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