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前立腺編
2-4
岳がブジーにローションを纏わせる。左手でカリ首を固定し、先端を尿道口に押し当てる。それで、奥をいじられたら。ほんとうに疼く場所に触れられたなら。未知の恐怖と期待が混じり合い、まだ始まってもないのに頭がのぼせたようにくらくらとする。
「岳っ……」
「大丈夫。ゆっくりするから」
つぷ、と先端が差し込まれ、
「……んッ、く……!」
「颯介。あんま動かないで」
「ぅ、うんっ、ッ……」
予想していた痛みは我慢の範疇にあった。しかし異物感の方は細さに見合わない程に強烈で、岳は宣言通りゆっくりとしてくれたが、普段閉じている場所をこじ開けられる感覚に何度も制止の声を上げそうになり、颯介は奥歯を噛みしめて耐えた。
「痛かったら止めるから、ちゃんと言えよ」
「……あっ、だ、だいじょうぶ……ッ、は!」
酷い圧迫感に晒されながら、押し進む切っ先を意識していた。ぬぐ、ぬぐ、とブジーは少しずつ陰茎のなかに埋まっていく。先端が確かに疼きの源泉に近づいていってる。ジリジリと進むにつれてその感覚は鋭くなり、伝達した内側の粘膜まで擦られるたびに妙な疼きを覚えはじめていた。
「あっ、岳、もう……っ」
「いやまだ。もうちょっと、たぶん、この辺まで……」
「ひぐっ、ッ───!!?」
ぐち、とブジーの先がその場所に触れた瞬間、颯介の腰が強く震えた。顕著な反応に岳が目を瞬かせて顔を上げたが、颯介の表情をみてから、またブジーに視線を落とした。
「ここか?」
再度その場所をブジーで突かれると、ぶわっと汗が噴き出した。目の前が白く染まる。タンマ、と早々に根を上げたくても、呼吸すらうまくできない。
「っ~~~~~♡♡!!!」
「なあ、ここだろ? 疼いてたとこ」
「い゛ッ……ぅ、ま゛って……!」
「ちがう?」
「そこっ、そこだけどッ」
「お、よかったな」
「よか、った……ア゛ッ♡!? ちが、待って、一回とめてっ、まじで、変になる……!」
震える手で岳の腕にすがると、うごきを止めてくれた。視線を下げた先、勃起した陰茎の、広がった尿道口からブジーの先端だけが飛びだしている。異様な光景にくらりと眩暈を感じるのに、視覚で認識してしまうと余計になかのものを意識してしまって、尿道口がぎゅっと締まりブジーの形を粘膜で捉える。
「……ふっ、っ、ぁッ……」
「もう馴染んだ? ゆっくり動かすな」
「ぅ、う、うんっ……、うん」
岳の手を放す。しかしなにかに縋りついていたくて、その二の腕に触れた。きゅ、と握ると岳は一瞬むずりとした表情をみせた。
「や、がく、岳っ……な、ほ、ほんとに、ゆっくり……」
ずる、とブジーを引き出されて、粘膜を擦りあげられる刺激に情けない声が漏れた。かと思えばすぐにまた奥まで挿しこまれて、疼く部分を先端に突かれた。
「……ッ、あ゛───!!」
疼いて疼いて仕方なかった場所を直接に抉られて、強烈な刺激に腰が逃げる。しかし背の壁に阻まれてそれ以上後ろには下がれない。岳はとても慎重だった。尿道を傷つけまいとする丁寧な動きだとわかるけれど、快楽神経が密集した前立腺をずりずりと直接擦りあげられては、うわ言のような懇願の言葉が口を突くのを止められない。
「あ゛あ゛ぁアッ、……ッ、~~が、がくっ♡ もうちょっと、ゆっくりぃ゛……!」
「これ以上はむりだって」
「……ア、アァあ゛ッ♡ っ──、だめ……ぇ゛、だめっ、なかやばい、やばい゛っ……!!」
その一点から溢れるものはたしかに快楽だったが、あまりに鮮烈でもはや苦痛に近かった。じっとしていられずに身を捩ると余計になかで擦れて自分を追い詰めた。
「……っひぐ、あっ、ア゛ッ……♡」
ツンと先端が微かに触れるだけでもたまらないのに、そのままちゅこちゅこと小刻みで穿られて、たまらずに足裏でシーツを引っ掻き回す。
「ン゛ン゛ン゛~~~~♡♡!!!」
「どう? これならイケそう?」
「……ん゛ぅうう゛、うっ、ッ──♡!!」
颯介はわけもわからずに首を振った。岳はまだむりか、とぼやいて竿を支えるように掴み、ちゅくちゅくと尿道をいじくるのに集中した。
「~~~ん、っぐ!! んんん゛ん゛♡♡」
「な、こうやってギリギリまで抜いてから、またゆっくり入れていくのと」
「アァアア゛ッ♡ あっ♡ っはひ、ぃい゛ッ~~~~~!!」
「小刻みにはやくすんのだったらどっちがいい?」
「ッッッあ゛♡♡ ……っ、ひん゛っ♡ あっ♡ あァアあッ♡ ど、っちも、」
「どっちも?」
「どっちも、むり゛……ィ゛!!」
「……は。それじゃわかんねーよ」
岳が吐息交じりに笑う。学校で、レッサーパンダで笑ってたときの顔とぜんぜん違う。興奮で上擦るような笑みを前にして、どうしてか体温が上昇していく。その理由に触れようとも快感に思考を乱されては纏まらず、的確に前立腺を責め立てられて快楽の痺れが下半身に溜まっていった。
「っは、岳っ、むりっ、む、り゛……も、くるぅ♡」
「お、イけそう?」
「わ゛、かんな、ッ、いぃ゛……!?」
「すげー力入ってる。なあ、ちゃんと気持ちいいか?」
「あ゛あっ、あっ───♡♡!!」
「なあって。言えよ。ほら、これでいいのか? 合ってんのか?」
「いい゛っ♡♡ きもちいいっ♡♡ きもちぃ゛、っ、あっ、だめ、もうだめ……ぇ゛!!」
全身に力が入って、きつく強張る。そうでもしていないとだめになりそうだった。それなのに、不意に岳の手が頬を撫でる。あまりに優しいその触れ方に力が抜けてしまった。
「ア゛っ、」
同時にぐり、と前立腺を先端に突かれて、奥の方に溜まった快感がどぷりと弾けた。
「……あ゛あぁああ゛ッ───♡♡♡ い゛、ぐ、い゛ってる!!!」
内腿がガクガクと痙攣する。溢れだした快感の電流が全身を駆け抜ける。頭の中でバチバチと閃光が弾けた。なのにまだブジーの先端は前立腺を捉えたまま、動かされなくても勝手に尿道がそれをギュウギュウに締めつけて敏感な場所に押しつける。その刺激に颯介はまた達した。それでもなお止まらず畳みかけてくる刺激の連続に必死に岳の腕にすがりつく。
「颯介、イけた?」
「イってる゛、ずっと、イッてる……ぅ゛♡!」
「よかったな。ずっとイけてなかったんだろ」
「……ッ、あ゛───!!? がくっ、岳、まって、もッ、ッ~~~~♡♡♡」
指先がまたブジーを揺り動かして、颯介はがくんと背を反らしてそのまま壁に頭を打ちつけた。
「……ひぐっ、ッ~~~~~♡♡♡」
すぐに昇りつめる快感に、天井を向いたまま引きつった声で鳴いた。岳が耳元で「溜めてたぶん、たくさんイッとけよ」と囁く。その低く鼓膜をくすぐる声はもはや追い打ちだった。ぞくぞくと快感が駆け抜けて直接的な刺激と掛け合わされたそれに強烈な絶頂を叩きこまれる。
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