ハチ切れ令嬢は、笑みを浮かべながら復讐する。

晴海りく

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作戦

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アイナは部屋で、グレイとオリビアに手紙と花を贈る準備をする。
手紙に、
【グレイへ
私は、婚約者失格ね。ごめんなさい、反省をしています。兄からの怪我は、大丈夫?それにオリビアの事も寛容じゃなかったわね…あなたは、モテるもの。仕方のないことだわ…これからは、良き婚約者として、頑張るつもりよ?庭に綺麗なお花が咲いていたから贈らせて貰うわね?愛している。

アイナより】  

【オリビアへ
その…私、大声を出したりあなたに手をあげたりごめんなさいね?許してくれるかしら?
また、あなたの作ったサンドイッチやクッキーが食べたいわ!グレイには、内緒にしてね?
私達、まだ友達でいたいわ!
返事を待ってる。庭のお花を贈らせて貰うわ。

アイナより】

「ふぅ~我ながら、こんな嘘を書いてしまって…私ったら!」
とアイナが言うとサブリナが後ろから
「そんなこと思ってないのに!お嬢様ったら!!」
アイナは手紙の封をとじながら
「さて…罠に、はまってくれるのかしら?」
と言いながら手紙をサブリナに渡し、手配してもらった。

夕食の時間になりアイナとサブリナは、食事をとっていた。
するとバイロンとレイモンドが帰ってきて…なぜかボロボロになっていた。二人は、無言で椅子に座った。


ドカッ


アイナは、
「お兄様、レイモンド、大丈夫?お食事は?」
バイロンとレイモンドは口を揃えて
「「とりあえず酒で」」
と言った。

サブリナは、ウイスキーのボトルと氷と熱々のウインナーとナッツとチーズを置く。
「もしよろしかったら、どうぞお食べください」
バイロンが
「サブリナ、ありがとう!」
レイモンドはウイスキーを一気に飲み、落ち着いてからアイナに
「アイナ!!グレイに一泡ふかせることができるから、楽しみにしておいてくれ!!」
アイナは、ポカンとした顔で
「えぇ…わかったわ!レイモンド」

“最近、レイモンドの顔を見ると…安心する…ダメダメ!!何、考えてるの!!たるんでるわね!私!”

サブリナはワインを持ってきて、アイナに
「お嬢様!!今日は、水ではなく…お酒を飲みましょう!!」
アイナは、
「えぇ…今日は、頑張ったもの!!赤ワインを開けましょう!!」
バイロンは、ニヤリとしながら
「グレイの尻尾を掴んだか?」
アイナは、ワインを一飲みして
「私とサブリナにしては、頑張った方だと…」
ウイスキーグラスを持ち上げバイロンが
「今日の勝利に!!」
三人は、それぞれグラスを持ち
「「「勝利に!」」」
「「「「乾杯!!!!」」」」

カラン

と鳴った。





翌日、手紙の効果が思ったよりも早かった。

ドンドン  ドンドン

「アイナ~?オリビアよ~!!開けてちょうだい!!」
なんとオリビアが現れたのだ。
アイナとサブリナは、ニヤリとする。
玄関の扉を開けると、泣いたのか目の周りが黒くなったオリビアが現れ
「アイナ!…お手紙受け取ったわ!!私、あなたとサブリナに酷いことをした!!…うぅっ…ごめんなさい!本当に、許して!!」
アイナは、心の中でニヤリと笑った。


“かかったな!!”


そして、手を口にあて
「オリビア!!私の手紙を読んでくれたのね!!嬉しい!!」
そっとオリビアの手をとり
「これからも、お友達でいましょうね?」
オリビアは、アイナに
「その…グレイ様との関係なのだけど…たまに服を買ってもらったり、お茶を飲んでるだけで…それにグレイ様とアイナのことを知ってるから、断ったのだけど…断れないじゃない?爵位のこともあって…」

“あら?二人でミルク風呂を入る仲なのに?”

と思ったがアイナは、慈しんだ顔で
「わかってるから…」
「アイナ…またお友達になれて、嬉しい…」
「私もよ」
オリビアの手を引いて
「さあ…庭でお茶でもどう?」
「えぇ…頂くわ!」
アイナの笑顔は、完璧だった。
サブリナと目が合う。
“サブリナ!!とことん、やるわよ!”
とウインクをした。

サブリナは、その光景を見ながら
“お嬢様!!完璧な演技力です!!”
と心の中で大盛り上がりだった。



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