神様にお願いを…

晴海りく

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幼き夢

更科透子単語さらしなとうこの家族は、複雑だった。
当時、透子が六歳の時に、父・当馬単語とうまが再婚をして、継母・先子単語さきこと姉の実紀子単語みきこが家へ来た。
最初は、仲がよかったが…だんだんと継母と姉が本性を見せ始めた。

透子は先子と実紀子の我儘を受け入れ、尽くしていた。
それでも、気に入らないと

バシャッ


「熱っ!!」
と湯呑みが透子に向かって飛んできた。
透子の薄緑色のワンピースは、濡れていた。

先子は、水色の着物の胸元からハンカチを取り出し
「ぐっ…熱すぎる!!私は、猫舌よ!!いい加減、覚えなさいよ!!あんたは、馬鹿なの!!私が、この家のあんたの母親よ!!もう一度!!」
透子は湯呑みを、おぼんにのせ、部屋を出ようとすると
「透子!!私に礼をしなさい!!」

バシッ

と頬を叩かれた。
透子は、頬が腫れるまで殴られて泣いた。


限界になって、ある日父・当馬の部屋へ入ろうとすると声が聞こえた。
先子が
「早く!!透子を追い出して!私と実紀子がいるから、いいでしょ?前の女の子供なんて、いらないわ!!」
透子は心の中で思った。

“お父さんは、私のこといらないって言わないもん!私のこと大好きだもん!!”

すると当馬は、言う。
「透子のことは、私がなんとかするから…お前は、なにもするな…」

透子は、後ろから鈍器を殴られたような気がした。

“…私のこと…いらないんだ…どうでも…いいんだ…”

グッ

小さな手を握りしめて、外へ出た。







走って…走って…走って…


気づくと、森の中の神社にいた。
透子は、石段に座って泣いていた。


ガサガサガサガサ  ガサガサガサガサ


透子は、音がした方へ視線をうつす。
すると狐が血を流しながら、透子の目の前に倒れる。
震える透子は、恐る恐る狐をみながら
「きっ狐さん…怪我をしているの?…わっ私、…あっ…えっと…」
薄緑色のワンピースの端を裂いて怪我の部分を巻き付ける。
「ごっごめんね?前足、痛いよね?あなたの血を止めているから…痛…痛いだろうけど、がんばってね?」
狐は、ずっと透子をみていた。

透子は、狐に水を飲ませようと神社の方へ走る。
そしてお参りする時に心の中で
“狐さんに、お水を飲ませたいので…手水舎単語ちょうずやのお水を貰います!!本来の使い方じゃなくて、ごめんなさい!”
そういってから、柄杓単語ひしゃくに水を入れ狐に飲ませた。
透子は、狐に
「がんばれ!がんばれ!」


疲れて、いつのまにか寝ていた。


ペロッ


頬を舐められた感じがした。
目を開けると、狐が二匹増えていた。
透子は、驚いて
「あれ?ケガした狐さんの家族?友達?いいな~!私も、家族が欲しい!家族はね、私のことなんて…な~んにも思ってないんだ!!だから、羨ましい!は~どうしよ~これから…って!アハハハハ!
ごめんね?三匹で、楽しく暮らしなよ~」
そういってから、手を振りながら見送った。



“なつかしい夢だな…
あの狐さん達、どうしているかな?
幸せに暮らしているといいな~”







ペロッ

“ん?”

ペロッ


“え?私、死んでるよね?”


ペロペロペロペロペロペロ


「うわぁー!!!!!!やめっ…やめっ…」

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