神様にお願いを…

晴海りく

文字の大きさ
2 / 14

幼き夢

しおりを挟む
更科透子単語さらしなとうこの家族は、複雑だった。
当時、透子が六歳の時に、父・当馬単語とうまが再婚をして、継母・先子単語さきこと姉の実紀子単語みきこが家へ来た。
最初は、仲がよかったが…だんだんと継母と姉が本性を見せ始めた。

透子は先子と実紀子の我儘を受け入れ、尽くしていた。
それでも、気に入らないと

バシャッ


「熱っ!!」
と湯呑みが透子に向かって飛んできた。
透子の薄緑色のワンピースは、濡れていた。

先子は、水色の着物の胸元からハンカチを取り出し
「ぐっ…熱すぎる!!私は、猫舌よ!!いい加減、覚えなさいよ!!あんたは、馬鹿なの!!私が、この家のあんたの母親よ!!もう一度!!」
透子は湯呑みを、おぼんにのせ、部屋を出ようとすると
「透子!!私に礼をしなさい!!」

バシッ

と頬を叩かれた。
透子は、頬が腫れるまで殴られて泣いた。


限界になって、ある日父・当馬の部屋へ入ろうとすると声が聞こえた。
先子が
「早く!!透子を追い出して!私と実紀子がいるから、いいでしょ?前の女の子供なんて、いらないわ!!」
透子は心の中で思った。

“お父さんは、私のこといらないって言わないもん!私のこと大好きだもん!!”

すると当馬は、言う。
「透子のことは、私がなんとかするから…お前は、なにもするな…」

透子は、後ろから鈍器を殴られたような気がした。

“…私のこと…いらないんだ…どうでも…いいんだ…”

グッ

小さな手を握りしめて、外へ出た。







走って…走って…走って…


気づくと、森の中の神社にいた。
透子は、石段に座って泣いていた。


ガサガサガサガサ  ガサガサガサガサ


透子は、音がした方へ視線をうつす。
すると狐が血を流しながら、透子の目の前に倒れる。
震える透子は、恐る恐る狐をみながら
「きっ狐さん…怪我をしているの?…わっ私、…あっ…えっと…」
薄緑色のワンピースの端を裂いて怪我の部分を巻き付ける。
「ごっごめんね?前足、痛いよね?あなたの血を止めているから…痛…痛いだろうけど、がんばってね?」
狐は、ずっと透子をみていた。

透子は、狐に水を飲ませようと神社の方へ走る。
そしてお参りする時に心の中で
“狐さんに、お水を飲ませたいので…手水舎単語ちょうずやのお水を貰います!!本来の使い方じゃなくて、ごめんなさい!”
そういってから、柄杓単語ひしゃくに水を入れ狐に飲ませた。
透子は、狐に
「がんばれ!がんばれ!」


疲れて、いつのまにか寝ていた。


ペロッ


頬を舐められた感じがした。
目を開けると、狐が二匹増えていた。
透子は、驚いて
「あれ?ケガした狐さんの家族?友達?いいな~!私も、家族が欲しい!家族はね、私のことなんて…な~んにも思ってないんだ!!だから、羨ましい!は~どうしよ~これから…って!アハハハハ!
ごめんね?三匹で、楽しく暮らしなよ~」
そういってから、手を振りながら見送った。



“なつかしい夢だな…
あの狐さん達、どうしているかな?
幸せに暮らしているといいな~”







ペロッ

“ん?”

ペロッ


“え?私、死んでるよね?”


ペロペロペロペロペロペロ


「うわぁー!!!!!!やめっ…やめっ…」

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

診察室の午後<菜の花の丘編>その1

スピカナ
恋愛
神的イケメン医師・北原春樹と、病弱で天才的なアーティストである妻・莉子。 そして二人を愛してしまったイケメン御曹司・浅田夏輝。 「菜の花クリニック」と「サテライトセンター」を舞台に、三人の愛と日常が描かれます。 時に泣けて、時に笑える――溺愛とBL要素を含む、ほのぼの愛の物語。 多くのスタッフの人生がここで楽しく花開いていきます。 この小説は「医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語」の1000話以降の続編です。 ※医学描写はすべて架空です。

裏切りの代償

中岡 始
キャラ文芸
かつて夫と共に立ち上げたベンチャー企業「ネクサスラボ」。奏は結婚を機に経営の第一線を退き、専業主婦として家庭を支えてきた。しかし、平穏だった生活は夫・尚紀の裏切りによって一変する。彼の部下であり不倫相手の優美が、会社を混乱に陥れつつあったのだ。 尚紀の冷たい態度と優美の挑発に苦しむ中、奏は再び経営者としての力を取り戻す決意をする。裏切りの証拠を集め、かつての仲間や信頼できる協力者たちと連携しながら、会社を立て直すための計画を進める奏。だが、それは尚紀と優美の野望を徹底的に打ち砕く覚悟でもあった。 取締役会での対決、揺れる社内外の信頼、そして壊れた夫婦の絆の果てに待つのは――。 自分の誇りと未来を取り戻すため、すべてを賭けて挑む奏の闘い。復讐の果てに見える新たな希望と、繊細な人間ドラマが交錯する物語がここに。

処理中です...