蟻地獄

月詠嗣苑

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夜の営みは、妻の務め?

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    カレンダーに可愛いハートのシールが貼られてる。

「ふふっ。あと少しだぁ。今年は、何を贈ろうかな?」毎月のサブアニバーサリーは、ふたりでご飯を食べに行くし、お誕生日にはふたりでプレゼントを選びつつ贈りあってるし。去年の結婚記念日は、和歌山県へパンダを見に旅行行ったんだ。

    今年は、恭平さんの仕事が忙しくて、旅行には行けないけど…

『たまには、遠出しないか?箱根山あたりに』と言われたのが、先月末。

「箱根かぁ!行ったことなーい。あっ!お義母さんなら、行ったことあるかな?いるかな?」

    壁の時計を見ると、時刻はそろそろお昼。

    目と鼻の先の実家へ電話してから、出掛ける。歩いて、数分の恭平さんの実家。

「お邪魔しまーす!」と声を掛けると、キッチンから美味しそうな匂いと共に、お義母さんの「あがってー」の声に、お腹の虫が鳴る。

    リビングに入ると、お義母さんお得意のお煮しめや卵焼き、お漬け物、お味噌汁が、キチンと用意され、空腹なお腹に収まるのを待っていた。

「さぁさ、食べましょ食べましょ!」
「はーい」揃って席に着き、食べ始める。

「お義母さんのお料理って、いつも美味しい。失敗とかしたこととかあるんですか?」
「あるわよー。」と卵焼きを口に放り込んで、私を見る。

「この間なんかもね…」

暫くお義母さんのお料理失敗話やお稽古事の話に夢中になる。

「…そしたらね、赤ちゃんが出来てたんですって!!」
「まぁ、そうなんですか?!」どうやら、お友達の娘さん夫婦の喧嘩の最中に、妊娠がわかったとか…。ちょっと、羨ましいけど…
「ところで…」あ、またか…。
「一応、頑張ってるんですけどねー」と言葉尻を濁す。
「今年こそ、孫の顔をみたいわ。ふふ」お義母さんに悪意はないと思うんだけど、結婚して1年目から続く『孫はまだか?』コールには、うんざりする。

    ミャァッ…

    お義母さんが、飼ってる三毛猫のクロスが、足元にきた。

「クロスちゃん。ダメよ、そんなとこでおねんねしちゃ。めっ」と、まるで人間の子供に言い聞かせるように話す。

    ミャァッ…

    クロスは、私の膝に身体を伸ばして、乗ろうとしたが、ぷいと他の所へ行ってしまった。

「まだ、嫁いで3年だからね。新婚さんだもん…」新婚かどうかもわからないが、ある意味、プレッシャーだ。

    その事を恭平さんに言うと、また嫌な顔をするから。コウノトリが来てくれるのを我慢するしかないのかな。

「さっ、片付けてお買い物しないと」お義母さんが、キッチンで汚れた食器を洗う音を耳にしながら、取り込まれた洗濯物を畳む。

「万里ちゃん、いいのよー。そんなことしなくてもー」と言われるが、食べるだけ食べて、何もしないのは、気が気でない。

『わっ!!凄い…。こんなの履いてるの?』

    手にしたお義母さんのショーツをジッと見る。真っ赤なレースのショーツ。

「も、やーだ!!恥ずかしい」お義母さんは、手で口を隠しながら、真っ赤なショーツを隠した。私には、恥ずかしくて履けないや。

「万里ちゃんは、こういうの履かないの?」
「え、はい。なんか、恥ずかしくて」自分が、そんな派手なのを履いたら、きっと恭平さんは、驚くし。そしたら、またコウノトリが…

「たまには、履いてみたら?」
「…。」お義母さんが、ニコニコ笑って言う。
「じゃ、ついでに買いにいきましょ!」
「え?え?」

    お義母さんの『突然行動』は、今に始まった事でないにしろ…

「…。」
「んー、どれがいいかしらねー?」
「あの…お義母さん?」お義母さんが、手にしているショーツは、さっき見たのよりも派手で一人だったら絶対に選ばない紫だし、紐だし。

「万里ちゃん…ちょっとちょっと」と手招きされ、「今夜あたりこれ履いて…ね」と言われても、ね。紫は、かなり派手では?

    仕方なく、濃いピンクのにして、自宅に戻ったものの…

「どうしたもんだか…」赤、ピンク、濃いピンク、黒、紫のカラフルなショーツを前に項垂れる私。

「そう言えば、今日って…」再び、カレンダーに目をやると、小さく丸がついていた。

「排卵日、か…。履いて、みようかな?」


    で、お風呂に入ったあとに、この真新しい紫のショーツを履いて、イザッ!

「…。」
「派手…かな?」明るい寝室の中、パジャマを脱がされあと少しって時に、恭平さんの手が…止まった。

「いや。好きだよ」いつもの笑顔を見せてくれて、キス…
「愛してる…万里」
「恭平さん…」

    この日の夜の恭平さんは、いつもと違って逞しく感じた。もしかしたら、我が家にもコウノトリが来てくれるかも!

    終わった後、仕事のメールするとかで、リビングに降りていって、私はそのままベッドに…。

「赤ちゃん、出来るといいな」ベッドライトを消し、恭平さんの匂いのついた布団に潜り込んだ。



「…うん。すっげ、驚いたよ。うん。わかってるって。じゃ、明日。うん。駅でね。おやすみ。愛してるよ…」

    電話を切り、寝室へ向かう。万里は、もう眠ってるだろうか。

    静かに寝室のドアを開けると、万里の安らかな寝息が聞こえてくる。

    ベッドに潜り、万里を抱き締める。

「おやすみ。万里…」



    翌日、午前の得意先周りを早めに切り上げ、駅に向かう。

    プワッ…
    軽くクラクションを鳴らすと、気付いた女が車に駆け寄り、助手席へと乗り込む。

「今日は、そんなにいられないから」とだけ言っても、女は嫌な顔を見せず、ニコニコしている。

「飯は?食った?」と聞くと、「まだ」と返すから、途中のコンビニで弁当や飲み物を買い、ホテルについてから食べ始めた。

「あなた、いつもこういうの食べてるの?」
「たまに、ね。いつもは、弁当作ってくれてるから」女は、嫌な顔をせず、男の口から出る妻の話を黙って聞く。

「はい。おーしーまーい。これからは、私だけのあなたの時間」そう言い、男の目の前で服を脱ぎ、キスをねだる。

「風呂は?」と聞くも、「先に抱いて…あなたの手で…壊れたい」と熱い眼差しで男に抱きつき、男は腰を上げ、女をベッドに押し倒す。

「ふふ。早く…あ…」女は、男の全てが好きだった。
「愛してる」男はそう囁き、女の身に付けてる物を全て、剥ぎ取り乳房に食らいつく。

    あんっ…慌てないで…

「だめだよ。会えると思うと…我慢出来ないんだ」男は、自身を軽くしごくと濡れまくった女の中に、静かに押し込めた。

    んっ…

「あなたが、好き」
「俺…もっ!」言葉尻を強くし、女を突く。

    あんっ!!少し高めの啼き声に、男は悦ぶ。

「いいね。もっと、聞きたい。あなたの声…」

    んっ…あっ…いぃっ…あんっ…

    男は、女の悦んでる声が好きだった。顔も身体も好きだが、何よりもこうして男を受け入れてる時の顔は、妻よりも好きだと感じてる。

    男は、女の方足を肩に掛け、グッと奥まで攻める。

    んぁぁぁっ!!いぃっ…いぃっ…

「どこが?どこが、気持ちいいんだ?」突きながら、聞く。女は、一瞬、言葉を飲み込んだが、「オ、オマンコ」と小さく男の耳元で言った。
「だったら、もっと声出せ」男は、女を突きながら、小さな袋の包みを破り、ニヤリと笑った。
「ほら、これでもくわえてろ」静かに動くバイヴを女にくわえさせ、突く。

    パンッ…

    んぅっ… 

    男が突くと女が声を洩らす。

    パンッ…

「アァッ…可愛いよ。お前…」

    何度も何度も突いていき、ヒクついた女の中に白く濁った汁を放っ…

「ほんと、可愛いなー。お前…。あいつと俺とどっちが好き?」と問うと、女は呼吸を整えながら、「あなた…」と返す。


    暫くの間、余韻に浸りつつ、女を抱き上げながら、風呂へと入る。

「ね、昨日どうだった?」女が、男に絡まりながら聞く。
「驚いたよ。あんたの知恵?」
「まーね。私だって出来るものなら、欲しいけどね…ふふ」
「そうだな。俺も子供は、欲しいさ。毎晩、頑張ってんのに、なっかなか出来ねー」

    バスタブに向かい合って座る男と女。男の足は、自然と女のソノ部分を押している。

「エッチ。ダメよ、もう。そろそろ、戻らないといけないんでしょ?」女は、少し拗ねた感じで言う。
「あぁ。午後は、ほぼ会議だからな。遅刻するとまずい」そう言い、男は立ち上がる。
「タフなのね」女の目線のその先には、また熱をもち天を仰いでる男のモノが見えた。


「じゃぁね。お仕事頑張って!」女が、にこやかに手を降り、駅の中へと消えていく。男は、手についた女の匂いを嗅ぎ、ため息をついてから、車を走らせた。



    ジャーーーッ…

    勢いよく水の流れる音と共に、

「なったかー」という万里の落胆した呟き。数分前からお腹に例の痛みらしき感覚があり、トイレへと駆け込み、ショーツを見ると…

「あーん、いつになったらコウノトリがくるのよーーーっ!!」

    アレになったら、アッチもアレになるじゃないの…。苦手なのに…

    汚れたショーツを履き替え、ソファの上で膝を抱える。

    毎晩、7時になると夫・恭平が、帰宅する。その時間に間に合うように万里は、夕飯の支度をするのだが…

「あれ?飯は?」
「んー、まだ」生理痛が珍しくしんどく、長く起き上がれない。
「そっか。ま、気にするな。いつか、出来るさ」恭平は、万里の腹をさすりながら、優しく言った。
「飯、母さんに頼むか?」
「お願い」

    恭平が、母・洋子に、万里に生理がきたことと生理痛が酷いことを話すと、洋子は嬉しそうに夕飯を用意し、持ってきてくれた。

「ありがとうございます」万里が、義母に言う。
「いいのよぉ。気にしないで。むしろ、嬉しいのよ。こうして、また世話が出来て…」
「母さん、飯。腹減ったんだけど」下の階段から、恭平が、少しふくれて言う。
「はーい。じゃ、万里ちゃん。ここに置いとくからね」簡単に食べれそうなお握りを枕元に置いてから、洋子はイソイソと下に降りていった…
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