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しおりを挟む「いらっしゃいませ~。」
ニャーニャー亭はかなり繁盛をしていた。
店の前には長蛇の列ができている。
やはり味の保証があるというのは大きいのだろうか。
まあ、安定してそれなりに美味しいものを食べたいしね。
「カナタ、ここすっごく並んでるの-。」
「ああ。そうだな。」
「ノエル、お腹ペコペコなの-。あっちの空いているとこがいいのー。」
「えっ!?」
どうやらノエルのお腹は限界のようだ。
ニャーニャー亭の隣にあるお店に入ろうと提案してきた。
ニャーニャー亭の隣にあるお店は人がまばらなようで、すぐに店内に案内されているようだ。
ただ、お店から出てくる人の顔は微妙である。
顔をしかめて出てくる人はいないのだが、首を傾げて出てくる人が多いのだ。
満足した表情で出てくるお客はいない。
可も無く不可も無くといった味なのだろうか。
「にゃんか良い匂いがするのー。」
ノエルがご機嫌な様子でニャーニャー亭の隣の店に向かって歩いていく。
「あ。ノエル、待って!」
オレはノエルの後を追いかけるようにニャーニャー亭の隣のお店
に向かった。
「あ、いらっしゃいませー。」
ニャーニャー亭の隣のお店はニャー亭というらしい。
年を召したおばさんが出てきて、すぐに席へと案内してくれた。
店内は綺麗に掃除されており清潔感にあふれている。
店内を見る限り、お客の数は少ないようだけれどもそれでも店の半分ほどの席は埋まっていた。
「日替わり定食でよろしいでしょうか。」
席に座るとすぐに注文を取りに店員さんがきた。
こちらも年を召したおばさんだった。
清潔感があるので見苦しくはない。
むしろ好感がもてる。
「日替わり定食と・・・猫が食べれるようなものはありますか?」
この店にもメニューというものは存在していなかった。
なので直接ノエルが食べれるようなものがないかと確認をする。
すると女性は目を輝かせた。
「まあ!この可愛い猫ちゃんはお魚とお肉どちらが好きかしら?」
「あれ?そういえば、ノエル。好き嫌いあるのか?」
ノエルの好き嫌いなんて考えたこともなかった。
ノエルがお魚とお肉どちらが好きなのかもオレはまだ知らない。
「ノエルはねー。お魚が好きなの-。白身のお魚-。」
「そっか。ノエルはお魚が好きだったんだな。じゃあ、白身魚のご飯があればお願いします。」
「まあ!まあ!あなた猫ちゃんとお話ができるのね!すごいわ。」
「え、ええ。」
女性はオレがノエルと会話ができるということを知って目をキラキラと瞬かせた。
その勢いに思わず後ずさりそうになってしまう。
「ねえ。猫ちゃんとお話ができる貴方にお願いがあるの。聞いてもらえないかしら?」
「その前にノエルのご飯-。お腹すいたのー。」
てしてしと尻尾を椅子に打ち付けてノエルがご飯を要求した。
「あはは。すみません。ノエルがお腹が空いているのでご飯を食べた後にお伺いしてもよろしいですか?」
「まあ。そうよね。ごめんなさいね。私ったら。すぐに用意するわね。」
女性はそう言うと厨房の方に戻っていった。
それにしても、女性の言うお願いとはなんだろうか。
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