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「おいしぃーーーのぉ!」

ノエルはそう言ってだされた料理を一口食べてご満悦の表情を浮かべている。

長い金色の尻尾が嬉しそうにゆらゆらと揺れている。

「カナタ、このご飯美味しい!美味しいのー!」

興奮しているため瞳孔が開いており、いつもより瞳が大きく見えていつもよりさらに可愛く見える。

「そんなに美味しいの?一口くれるかな?」

ノエルの食べている様子が可愛くて、またあまりにも美味しそうにパクついているものだからオレも一口食べてみたくなる。

「ふふっ。同じものを出しましょうか?新鮮な食材だけで作っているから貴方も安心して食べれますよ。でも、味付けはしてないから貴方には薄味かもしれませんが。」

ノエルのはしゃぐ姿に目元を綻ばせながら料理を運んできた店員の女性がそう言ってきた。

確かに美味しそうなのだ。

味付けをしていないというが、鼻をくすぐるような良い匂いがする。

「これ、なんの魚なんですか?」

「アーフィッシュという魚よ。このアーニャン町では流通しているお魚よ。今朝とれたばかりだから新鮮よ。」

ノエルのご飯を見ると、白身魚とパプリカだろうか、赤みのある野菜の姿が見える。それに、少しお肉も入っているのか・・・?

「猫もね、少量のお野菜はとった方がいいのよ。でも、猫の場合は食べれない食材のものもあるから注意が必要よ。」

「おいしーの。でも、カナタにはあげないのーーーっ!!」

もぐもぐもぐもぐとご飯にかぶりつきながら、ノエルは両手でご飯のお皿をオレから隠すようにする。

「はいはい。わかった。とらないから。ゆっくり食べて。」

そう言うとノエルは安心したかのように、また食べ始めた。

本当に美味しそうに食べるなぁ。ノエルは。

さて、ノエルが美味しそうに食べているから、オレの前に出された食事も期待していいのかな?

オレの前に出されたのはシチューだった。

真っ白なシチューの中にゴロゴロとした野菜とお肉が見える。

それに、少し固めのパンがついていた。

このパン。堅そうだけど、シチューにつけて食べたら美味しそうだな。

「パンはシチューに浸しながら食べると美味しいですよ。よかったら試してみてくださいね。ではごゆっくり。お食事が終わったころにまた来ますね。」

そう言って店員さんはオレたちの席から離れていった。

どうやら、パンはシチューに浸すのがお勧めの食べ方のようだ。

オレはまず最初にシチューから楽しむことにした。

スプーンでシチューを一口口に運ぶ。

「・・・ん?んん?」

そして、シチューを口にいれたところでオレは首を傾げた。

そうして確かめるようにもう一口、さらにもう一口と口に運ぶ。

「あー、パンと食べると美味しいってことなのかな?」

オレはそう思って、パンを手に取ると一口大にちぎってシチューに浸して食べてみた。

「・・・うん?」

おかしいな。

オレの口がおかしいのかな?

ノエルはあんなに美味しそうに食べているのに、なんだかオレのはあまり・・・美味しくないんだけど。

まずくはないんだけど、美味しくもない。

食べれなくはないけど、好んで食べるような味ではない。

そんな感じだ。

だから、この店は空いていたのかと妙に納得してしまった。

でも、ノエルはとっても美味しそうに食べているんだけどなぁ・・・。

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