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しおりを挟む「モ、モモモ、モモラビッ!?」
僕にぶつかってきたのは、薄いピンク色の毛皮のモモラビという魔物だった。
この魔物、逃げ足が速くなかなか捕まらないことで有名だ。でも、倒したところで素材は大した金額にもならず、小さいため食用とする肉もないため買い取り価格も底値という魔物である。
僕の両手に乗るくらいの大きさのため、観賞用やペットとしては需要があるとは思われるものの、懐かないことで有名かつ気を抜くとその素早さですぐにどっかにいなくなってしまうということから、もふもふしていて可愛いがとても飼い難いという観点からペットとしての人気もほとんどなかった。
攻撃力もほぼなく、すぐに逃げて行ってしまうため人間の脅威にもなり得ない。
つまり、狩っても誰も得をしない魔物なのだ。
「モモラビ、可愛い。ふわふわ。」
「あらぁ。ほんとねぇ。こんなに近くで見たのは初めてだけれども、とても可愛いわぁ。」
流石女性。ミコトもロレインちゃんもモモラビに視線が釘付けである。
モモラビは警戒するように、僕のパンを小さな口で咥えながら唸り声をあげている。
「……お腹は空いたけど、可愛い。」
なんだか、パンを取り返すのも忍びない。というか、モモラビは小さいからパンを取り返すのは難しいだろう。
「いいよ。お腹いっぱい食べてね。でも、人間の調味料が使われているからモモラビにとって毒にならないといいんだけど……。」
ちょっと心配になる。
人間の食べる物は総じて味が濃い。
魔物が食べても大丈夫なのだろうか。
嫌だな。僕のパンを食べてモモラビが病気になったりしたら。
「……ねぇ。そのパンは味付けが濃いから君の身体にはあまり良くないかもしれない。僕たち、これからここで釣りをするんだ。釣った魚の方がいいんじゃないかな?もちろん、君が食べやすいように魚を捌くよ。どうかな?」
なんとなくモモラビが病気になるのが嫌だったので、釣ったばかりの魚はどうか?とモモラビに伝えた。
まだ魚釣ってないからもうちょっと先にはなってしまうけど。
病気になるよりはいいかもしんない。
モモラビは迷っているのか身体をピタッと固まらせている。
それから、おずおずと僕に近づいてくると僕の手の上にポトッとパンを乗せた。
どうやら返してくれるらしい。
「わかった。じゃあ、今から魚を釣るから待っててね。ああ、ロレインちゃんとミコトは先に食べていていいからね。僕はモモラビ用の魚を釣ってくるよ。」
僕はモモラビに返してもらったパンを元の包み紙に包むと、釣り竿を手に立ち上がった。
「待っているわよ。どうせなら、モモラビちゃんとも一緒に食べたいし。」
「アルフレッド、シヴァ、待ってる。」
「二人とも、ありがとう。」
ロレインちゃんもミコトもとっても優しい。お腹が空いているだろうに、僕が魚を釣るのを待っててくれるだなんて。
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