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二章

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『それでわぁ~、本日のぉ~オークションはぁ~これにてぇ~解散とぉ~いたしますぅ~。みなさまぁ~ご来場~ありがとうございましたぁ~。』

まだまだ会場内はざわついているが、ベアトリクスさんが場を閉めてしまう。
結局ベアトリクスさんは化粧水を一本も落札することはなかった。
というより、金額的に落札することができなかったんだろう。
肩をがっくりと落としている。
心なしか声にも張りがないようだ。
昨日はあんなに嬉しそうだったのに。

 
 

「はぁ~。結局~、化粧水を~落札できなかったわぁ~。」

 

ベアトリクスさんは化粧水が手に入らなかったことで落ち込んでいたようだ。

でも、まだベアトリクスさんの手の中には納豆味の化粧水があるのだけれども。

てっきり、職権乱用で納豆味の化粧水をオークションに急遽出品しないようにしたのかと思ったんだけれども、違うのかな?

 

「まだ、納豆味の化粧水がありますよ?」

 

「ダメ!これはダメ!!」

 

私がベアトリクスさんが抱え込んでいる納豆味の化粧水を指差すと、ベアトリクスさんは必死になって納豆味の化粧水をぎゅっと硬く抱え込んでしまった。

しかし、何でダメなんだろうか。

効果が絶望的なのだろうか。

 

「どうしてですか?」

 

私がそう尋ねると、ベアトリクスさんは辺りをキョロキョロと見回した。

そうして、私たち以外誰もいないことを確認すると、観念したように大きなため息をついた。

 

「なんでぇ~、こんなものぉ~作っちゃったんですかぁ~。」

 

「えっ?効果がやばかった?」

 

「やばいってぇ~もんじゃないですよぉ~。って~、どんな効果にぃ~なるか知らずにぃ~作ったんですかぁ~?」

 

「・・・うん。まあ。」

 

基本的に私は「美味しくなあれ」としか魔力を込めていない。

だからどんな味になるのかもわからなければ、どんな効果がでるのかもわからないのだ。

その辺はプーちゃんの独断なんだろうか。でも、プーちゃんは人間の世界の食べ物には疎かったはず。コーヒーも牛乳もプーちゃん飲んだことないんだけど。ついでに言えば納豆だって食べたことないし、コーンポタージュもプーちゃんには与えた覚えがない。ということは、一体味は何が決めてになっているのだろうか。

どうなっているんだろうか。

効果については、猫耳だったり尻尾が生えたりする効果だったから、プーちゃんの独断かな。

特に先日はフラフラになりながら魔力を込めていたから煩悩が全面に出たのかしら。

 

「あのぉ~化粧水はぁ~ですねぇ~。なんとぉ~猫化しますぅ~!!」

 

「はあ!?」

 

猫になっちゃうの!?

でも、どうせ期限とかあるんだよね?

猫耳は大丈夫で猫化する化粧水はどうしてオークションに出品できないんだろうか。

 

「びっくりですよねぇ~。しかもぉ~半永久的にぃ~解除されません~。完全にぃ~解除されるときはぁ~、人化する化粧水を~飲むしかありません~。」

 

「なにそれ。怖い。」

 

猫化して人に戻れないなんて、そんな化粧水ってありなの!?

っていうか飲まなくてよかったぁ~。

 

『マユ!それ飲むの!』

 

『クーニャと一緒に猫を極めるの!』

 

『奇跡の薬だねぇ~!』

 

マーニャたち喜んでいるけど、私としてはあまり嬉しくない化粧水である。

人生が変わってしまうような化粧水なのだから。

 

「あとはぁ~水をかぶるとぉ~猫化するけどぉ~お湯を~かければぁ~人化するようにぃ~なりますぅ~。一時的なのでぇ~人化したとしてもぉ~また水を~かぶるとぉ~猫化しちゃうんですぅ~。」

 

「ぶっ!」

 

どっかで聞いたことがあるような話なんだけど!!

でも、迷惑極まりない化粧水だよね。

 

「それにぃ~、人間がぁ~猫化できるぅ~化粧水はぁ~悪用される可能性もぉ~ありますぅ~。この王国はぁ~猫様至上主義ですからねぇ~。混乱のぉ~元になるのでぇ~オークションへのぉ~出品はぁ~NGになりますぅ~。この化粧水のぉ~扱いについてはぁ~上司とぉ~相談してからぁ~報告しますぅ~。化粧水のぉ~対応方法がぁ~決まるまではぁ~宿にぃ~居て下さいねぇ~。帰っちゃダメですよぉ~。」

 

「わ、わかったわ。」

 

どうやら、猫化の化粧水は混乱を引き起こすかもしれないものらしい。

取り扱い注意な感じだ。

しかし、そんな化粧水を作成できることがわかったら、私とプーちゃんどうなっちゃうの!?

 


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