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17 黒幕
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「今回は、全員が公文書偽造、出入国管理法違反で逮捕できる。僕たちの仕事は、あくま
でも突発的な事態への備えだ。ただし┅┅」
鹿島優士郎は、険しい表情で続けた。
「主犯の男がいなかった、あるいは逃走した場合、これを速やかに探し出して処理する。
また、住人に多大な被害が出ると予測される場合も、これに準ずる」
「了解っ!」
酒井と礼奈は力強く返事すると、防弾チョッキを着て、サングラス、耐熱ブーツを身に
つける。そして、打ち合わせ通りにそれぞれの配置場所へと出て行く。
優士郎も愛用のライフルケースを肩にかけて、目標の団地へ向かった。
三つの特捜班の隊員たちは黒田の指揮の下、慎重に団地の一棟を包囲した上で、いつで
も突入できる準備ができていた。例の老女がこの団地の建物に入っていく姿も確認されて
いた。今なら、確実に主犯以下、テロリストたちを全員逮捕できる。
黒田は、優士郎が目標団地の屋上に到着するのを待って、突入の合図を出す予定だった。
ところが、ここで思いがけない事態が起こった。いや、予想の範囲ではあったが、あま
りに短絡的だった。
突然、サイレンが鳴り響き、猛スピードの覆面パトカーが三台、目標の団地の前に突っ
込んできて止まると、中から公安部の私服警官たちが降りてきた。
「よし、二階の5号室だ。三人が中、後は二ヶ所の出口を抑えろ」
黒田は、植え込みの陰から出て行って、リーダーらしき刑事のそばへ近づいていった。
「吉田君、これはどういうことかね?」
吉田と呼ばれた刑事は予想していたように、直立不動で敬礼し、答えた。
「黒田警部補、ご苦労様であります。われわれ公安部の捜査へのご協力、大変感謝いたし
ます。ですが、ここからはわれわれ公安部の仕事です。どうかお引き取り下さい」
「それは、上からの指令かね?」
「はっ、当然そうであります」
「それは、おかしいね。われわれ特捜隊は、官房長官からの指令で来ているんだが┅┅」
「っ!┅┅そ、それは、何かの行き違いかと┅┅とにかく、これは公安部が解決すべき┅┅」
吉田がそこまで言ったとき、突然銃声が響き、数人のわめき声や怒号が聞こえてきた。
「馬鹿めが┅┅」
黒田は舌打ちすると、周囲の部下たちに手を上げて合図を送った。周囲の物陰から、防
護服に身を固めた隊員たちが一斉に飛び出して、それぞれの配置へ移動を始める。
「┅┅悪い予想が当たったようだな┅┅」
優士郎は屋上から事態の推移を眺めていたが、そうつぶやくと、愛用のアサートライフ
ルを取り出し、裏口が見える側へ走った。そこには異常な光景が繰り広げられていた。
二人の公安部の刑事が、銃を構えたまま裏口に立っていたが、そこへ雪崩のようにレバ
ノン人たちが走り出てくると、彼らを片手で外へ誘導しながら、空に向かって銃を何発か
発射したのである。
「こちらコードK、二人とも今の見ていたか?」
〝こちらコードS、はい、見ましたとも〟
〝コードI、ばっちりです。写真に納めました〟
「よし、じゃあ、連中の捕縛は頼んだ。俺は、主犯を処理する┅┅」
〝了解っ〟
〝了解┅┅あの、コードK┅┅くれぐれも注意して┅┅〟
「┅┅了解」
優士郎は通信を切ると、公安の刑事たちの動きに目を凝らした。すでに、主犯の仲間た
ちは、ちりじりになって逃走を始めていたが、待機していた特捜隊が次々に捕縛していっ
た。皆の注意がそちらに集中する中、公安部の吉田刑事が辺りをうかがいながら裏口から
出てきた。そして、彼の後ろから、特捜隊員の服を着た男もついてきた。彼らは、騒ぎか
ら逃れるように団地の奥へ向かって、平然とした態度で歩き出した。
優士郎は、特捜隊員の服を着た男が主犯の男に間違いないと睨んだが、吉田が側にいる
ことは想定外だった。今、狙撃することは簡単だが、そうすれば、警官としての職務を逸
脱した行為として罰せられるばかりか、特殊処理班の存在そのものが公の場にさらされて、
警察機構そのものを問う大問題に発展しかねないのだ。
(さすがにそこまで考えていたか┅┅さて、どうするかな┅┅)
優士郎はライフルをケースにしまうと、二人を追うために一階へと階段を降り始めた。
〝コードK、私だ┅┅〟
ほとんど二回ずつ着地しただけで一つの階段を飛び降りていたとき、ツールバングルの
通信機から、黒田隊長の声が聞こえてきた。
「こちらコードKです」
優士郎は少し荒い息で答えながら、猛スピードで階下に飛び降りていく。
〝吉田と主犯は、今第三棟の横を東に向かっている。おそらくどこかに車を隠していると
思われる。SとIが尾行中だ〟
「了解っ。すぐに二人と合流します。ああ、隊長、すみませんが、またジョーカーにお願
いできませんか?」
〝わかっている┅┅すでに、手は打ってある。思った通りにやれ〟
「ありがとうございます。じゃあ、行ってきます」
優士郎は通信機を切ると、にやりとほくそ笑み、一段とスピードを上げて階段を降りて
いった。
黒田の読み通り、吉田はマンモス団地の中央にある広い貫通道路に面した駐車場に、一
台の覆面パトカーを待たせていた。パトカーから一人の男が降りてきて、歩いてくる吉田
と主犯の男を待ち受けた。
「おっと、ついにボスのお出ましか?」
「あ、あれは、第三課の西浦課長┅┅まじか?」
「┅┅警視庁の闇も深いわね」
携帯で写真を撮りながら、礼奈がつぶやく。
「まあ、僕たちも人のことは言えないがね┅┅」
優士郎はライフルを肩にそう言って、キューブ状のチョコレートを口に放り込む。
「さて、二人は正面に回って、タイヤバーストお願いできるかな?」
「了解、任せて下さい」
「了解です。班長はどうされます?」
「うん┅┅僕は今から突撃してみるよ」
「えっ?と、突撃って┅┅」
「だめですっ、そんな、無茶なこと┅┅」
戸惑う二人に笑いながら、優士郎は立ち上がった。
「あはは┅┅大丈夫┅┅向こうも必死だから、必ず逃げようとする。君たちがタイヤをバース
トさせてくれたら、最後の手段に出るだろう┅┅まあ、その前におとなしく自首してくれれ
ば、助かるんだけどね」
そんな事態には決してならないことを、酒井も礼奈もわかっていた。だが今は、優士郎
のサポートを完璧にやることしかない。
優士郎が動き出すのと同時に、二人も反対方向へと動き出す。
でも突発的な事態への備えだ。ただし┅┅」
鹿島優士郎は、険しい表情で続けた。
「主犯の男がいなかった、あるいは逃走した場合、これを速やかに探し出して処理する。
また、住人に多大な被害が出ると予測される場合も、これに準ずる」
「了解っ!」
酒井と礼奈は力強く返事すると、防弾チョッキを着て、サングラス、耐熱ブーツを身に
つける。そして、打ち合わせ通りにそれぞれの配置場所へと出て行く。
優士郎も愛用のライフルケースを肩にかけて、目標の団地へ向かった。
三つの特捜班の隊員たちは黒田の指揮の下、慎重に団地の一棟を包囲した上で、いつで
も突入できる準備ができていた。例の老女がこの団地の建物に入っていく姿も確認されて
いた。今なら、確実に主犯以下、テロリストたちを全員逮捕できる。
黒田は、優士郎が目標団地の屋上に到着するのを待って、突入の合図を出す予定だった。
ところが、ここで思いがけない事態が起こった。いや、予想の範囲ではあったが、あま
りに短絡的だった。
突然、サイレンが鳴り響き、猛スピードの覆面パトカーが三台、目標の団地の前に突っ
込んできて止まると、中から公安部の私服警官たちが降りてきた。
「よし、二階の5号室だ。三人が中、後は二ヶ所の出口を抑えろ」
黒田は、植え込みの陰から出て行って、リーダーらしき刑事のそばへ近づいていった。
「吉田君、これはどういうことかね?」
吉田と呼ばれた刑事は予想していたように、直立不動で敬礼し、答えた。
「黒田警部補、ご苦労様であります。われわれ公安部の捜査へのご協力、大変感謝いたし
ます。ですが、ここからはわれわれ公安部の仕事です。どうかお引き取り下さい」
「それは、上からの指令かね?」
「はっ、当然そうであります」
「それは、おかしいね。われわれ特捜隊は、官房長官からの指令で来ているんだが┅┅」
「っ!┅┅そ、それは、何かの行き違いかと┅┅とにかく、これは公安部が解決すべき┅┅」
吉田がそこまで言ったとき、突然銃声が響き、数人のわめき声や怒号が聞こえてきた。
「馬鹿めが┅┅」
黒田は舌打ちすると、周囲の部下たちに手を上げて合図を送った。周囲の物陰から、防
護服に身を固めた隊員たちが一斉に飛び出して、それぞれの配置へ移動を始める。
「┅┅悪い予想が当たったようだな┅┅」
優士郎は屋上から事態の推移を眺めていたが、そうつぶやくと、愛用のアサートライフ
ルを取り出し、裏口が見える側へ走った。そこには異常な光景が繰り広げられていた。
二人の公安部の刑事が、銃を構えたまま裏口に立っていたが、そこへ雪崩のようにレバ
ノン人たちが走り出てくると、彼らを片手で外へ誘導しながら、空に向かって銃を何発か
発射したのである。
「こちらコードK、二人とも今の見ていたか?」
〝こちらコードS、はい、見ましたとも〟
〝コードI、ばっちりです。写真に納めました〟
「よし、じゃあ、連中の捕縛は頼んだ。俺は、主犯を処理する┅┅」
〝了解っ〟
〝了解┅┅あの、コードK┅┅くれぐれも注意して┅┅〟
「┅┅了解」
優士郎は通信を切ると、公安の刑事たちの動きに目を凝らした。すでに、主犯の仲間た
ちは、ちりじりになって逃走を始めていたが、待機していた特捜隊が次々に捕縛していっ
た。皆の注意がそちらに集中する中、公安部の吉田刑事が辺りをうかがいながら裏口から
出てきた。そして、彼の後ろから、特捜隊員の服を着た男もついてきた。彼らは、騒ぎか
ら逃れるように団地の奥へ向かって、平然とした態度で歩き出した。
優士郎は、特捜隊員の服を着た男が主犯の男に間違いないと睨んだが、吉田が側にいる
ことは想定外だった。今、狙撃することは簡単だが、そうすれば、警官としての職務を逸
脱した行為として罰せられるばかりか、特殊処理班の存在そのものが公の場にさらされて、
警察機構そのものを問う大問題に発展しかねないのだ。
(さすがにそこまで考えていたか┅┅さて、どうするかな┅┅)
優士郎はライフルをケースにしまうと、二人を追うために一階へと階段を降り始めた。
〝コードK、私だ┅┅〟
ほとんど二回ずつ着地しただけで一つの階段を飛び降りていたとき、ツールバングルの
通信機から、黒田隊長の声が聞こえてきた。
「こちらコードKです」
優士郎は少し荒い息で答えながら、猛スピードで階下に飛び降りていく。
〝吉田と主犯は、今第三棟の横を東に向かっている。おそらくどこかに車を隠していると
思われる。SとIが尾行中だ〟
「了解っ。すぐに二人と合流します。ああ、隊長、すみませんが、またジョーカーにお願
いできませんか?」
〝わかっている┅┅すでに、手は打ってある。思った通りにやれ〟
「ありがとうございます。じゃあ、行ってきます」
優士郎は通信機を切ると、にやりとほくそ笑み、一段とスピードを上げて階段を降りて
いった。
黒田の読み通り、吉田はマンモス団地の中央にある広い貫通道路に面した駐車場に、一
台の覆面パトカーを待たせていた。パトカーから一人の男が降りてきて、歩いてくる吉田
と主犯の男を待ち受けた。
「おっと、ついにボスのお出ましか?」
「あ、あれは、第三課の西浦課長┅┅まじか?」
「┅┅警視庁の闇も深いわね」
携帯で写真を撮りながら、礼奈がつぶやく。
「まあ、僕たちも人のことは言えないがね┅┅」
優士郎はライフルを肩にそう言って、キューブ状のチョコレートを口に放り込む。
「さて、二人は正面に回って、タイヤバーストお願いできるかな?」
「了解、任せて下さい」
「了解です。班長はどうされます?」
「うん┅┅僕は今から突撃してみるよ」
「えっ?と、突撃って┅┅」
「だめですっ、そんな、無茶なこと┅┅」
戸惑う二人に笑いながら、優士郎は立ち上がった。
「あはは┅┅大丈夫┅┅向こうも必死だから、必ず逃げようとする。君たちがタイヤをバース
トさせてくれたら、最後の手段に出るだろう┅┅まあ、その前におとなしく自首してくれれ
ば、助かるんだけどね」
そんな事態には決してならないことを、酒井も礼奈もわかっていた。だが今は、優士郎
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