67 / 84
66 勇者パーティ決定
しおりを挟む
「ふむ、わしらはここに出てくるつもりはなかったのだ。二階の部屋から眺めておったのだが、もう、試験は終わったようだし、どうするかのう」
ボーゼス王国のオルセン侯爵が、とぼけた様子で言った。
「まだ、終わってはおりません、侯爵様」
ブレンダ・ボーグがそう言ってリオンとロナンに目を向けた。
「ロナン殿のあの攻撃を防げなければ、私も勇者パーティに加わる資格はありません。ロナン殿、お願いいたす」
「はい、こちらこそ、よろしくお願いします」
「うむ、それでこそ、ブレンダだ。健闘を祈るぞ」
侯爵はそう言うと、セドル伯爵とともに二階の部屋へ去っていった。一人残ったガーランド王国第二王子トーラスは、リオンに問いかけた。
「リオン殿、妹のイリスにも何か試験があるのか? イリスがこの場に呼ばれた理由が分からぬのだが……」
王子の問いにリオンは頷いて答えた。
「はい、あります。もちろん戦闘ではありません。試験というより、課題と言った方が良いでしょうか。ブレンダさんの試験の後、お話します」
「分かりました。お兄様、心配なさらないで。私は大丈夫です」
「うむ、そうか。では、また後でな」
トーラス王子は、安心したように微笑むと、侯爵たちの後を追って去っていった。
♢♢♢
「では、始めます。内容はガーネットさんの時と同じです。ブレンダさん、よろしいですか?」
鍛錬場の中央で向かい合った二人の間で、リオンが問いかける。
「うむ、相分かった」
ブレンダ・ボーグは頷いて、携えていた奇妙な形の盾を前に出した。その盾は、大きなX字型の金属の板の中央に丸く膨らんだ盾を取り付けたものだった。
(なるほど…よく考えられた盾だな。槍や飛んでくる岩、矢などは、あの中央の膨らんだ部分で受け流し、剣はV字の部分で受けてひねるのか。もしかしたら、あの盾を回転させて武器にするのかもしれない……厄介だな)
ロナンは、ブレンダの盾を見て心の中で感心していた。
「では、双方、構えっ……始めっ!」
リオンの声とともに戦いは始まった。だが、ガーネットの時のように、ロナンはいきなり動き出すことはしなかった。まずは、ブレンダの出方を見ようと思ったのである。
「ふ…来ないか……ならば……」
ブレンダは、ロナンの動きを見ながら小さくつぶやいた。そして、一瞬その長身の体を深く沈めると、次の瞬間、信じられない身軽さで高く跳躍したのである。
「うわっ」
片手で軽々と振り下ろされた木製の大剣を、ロナンは危うくかわして横に移動した。ズドンッ、という音とともに、ロナンがいた場所の土が大きくえぐられ、穴が開いた。恐らく、剣に何か〝闘気〟のようなものを纏(まと)わせていたのだろう、普通なら木剣が折れてしまうほどの威力だった。
(なんという身体能力とパワーだ……これがS級冒険者の力か)
審判役のリオンは、驚くとともに、心が沸き立つような喜びも感じていた。
ロナンも同じ気持ちなのか、楽しげな顔で再び動き出した。右に左に、上に下に、得意のスピードと身体能力で動き回り、ブレンダの防御の隙を狙って木剣をふるった。しかし、ブレンダの反射神経も、やはり人間の能力を超えていた。体勢を崩されながらも、何とかロナンの剣を間一髪でかわし、盾で弾いていた。
(くっ……なんという速さだ…いかん、このままでは、そのうちやられる)
ブレンダも必死だった。これほど動きの速い敵に対したのは初めてだった。ブレンダは、ここで、とっておきの防御兼攻撃の必殺技を繰り出した。これこそが、彼女を十年間闘技場のチャンピオンとして君臨させ、S級冒険者たらしめたオリジナル技だった。
ブレンダの盾がゆっくりと回転を始める。やがて、それは彼女の体の周囲を囲うように回り始め、彼女自身も大剣を横に突き出したまま回り始めたのである。そして、その危険な回転体は鍛錬場の中を縦横無尽に移動し始めたのだ。
これには、リオンも逃げ惑うしかなかった。当然、ロナンも手の出しようがなく、ただぶつからないように逃げるのが精いっぱいだった。
「勝負ありっ!」
リオンは、鍛錬場の施設が破壊される前に、大きな声で宣言した。
回転していたブレンダが動きを止め、その場に片膝をついてハアハアと肩で息をし始める。彼女にとっても、スタミナ勝負、やるかやられるかという一か八かの技だったのである。
「すごいや……手も足も出なかった。ブレンダさん、僕の完敗です」
ロナンの言葉に、ブレンダは汗の滴る顔を上げて嬉し気に微笑んだ。
「いや、こちらこそ、礼を言わせてもらおう。ここまで追い詰められたのは、まだ剣闘士になって間もない頃以来だ。勝ちを譲ってもらったが、あのままだったら、私が先に体力を使い果たして負けていたはずだ……」
ロナンはその言葉を肯定も否定もせず、微笑むだけだった。
「……もう一つ訊いてもよいか?」
「え、あ、はい、何でもどうぞ」
「そなたは、私の〝盾(シールド)スクランブル〟を止める手段を持っているのではないか?」
ブレンダの真剣な目に射すくめられたように、ロナンは逃げることができず、小さく頷いた。
「はい。止められるかどうかは分かりませんが、もし、実戦であったなら、水魔法で対抗していたと思います」
ブレンダは、あっと小さく叫んで目を見開いたが、すぐに額に手を置いて苦笑し始めた。
「あはは……やれやれ、魔法まで使えるのか。適うはずがないな」
「いや、そんなことはありませんよ……」
リオンが歩み寄りながらブレンダの言葉を否定した。
「……ブレンダさん、あなたも何か魔法のようなものを使っていましたね? あれで攻撃されたら、たぶんロナンは負けていたと思います」
ブレンダはますます楽し気に笑いながら、右手に持った木製の大剣を肩に担いだ。
「あははは……そこまで見抜かれていたか。ああ、あれは魔法じゃないと自分では思っているんだが……いつの間にか身についていたものなのだ。私は〝闘気〟と呼んでいるがね」
「闘気……不思議な感じですね。もっと調べて見たくなりました」
「うん、リオンも教えてもらいなよ。同じ大剣使いだから、きっとできるようになるよ」
三人がそうやって和気あいあいと話をしていると、二階からセドル伯爵たちが降りてきて、三人のそばに歩み寄った。
「見事な戦いであった。ブレンダ、誇りに思うぞ」
オルセン侯爵の言葉に、ブレンダは片膝をついて頭を下げ礼を言った。他の二人は拍手をしてそれを讃えた。
「リオン、これでメンバーの一人は決まったな?」
父親の問いに、リオンはしっかりと頷いてこう言った。
「はい。ブレンダさん、あなたを正式に勇者パーティの一人としてお迎えします。あなたには、主にイリスさんの護衛をしていただきます」
リオンの言葉に、ロナン以外の者たちは、少なからず驚きの表情を浮かべた。当のブレンダが戸惑ったようにリオンに尋ねた。
「リオン殿…イリス殿の護衛はもちろんやるつもりだが、私は主に勇者殿の護衛役だと思っていたぞ」
「ええ、その理由は、今は詳しくは話せませんが、後でお話します。簡単に言うと、私とロナンは〝もう一つの防御法〟を持っているということです。そしてそれは、あなたもイリスさんも鍛錬で使えるようになるかもしれない、ということです。今はこれだけしか話せません。どうか、お許しください」
セドル伯爵以外の二人の要人たちは、その理由を聞きたがったが、ある人物の命を守るためだと言われて、仕方なく引き下がった。
「そして、イリスさん……」
「は、はい、何でしょう?」
リオンは、微笑みながら続けた。
「あなたには、戦闘の試験はしませんでしたが、これから言う《課題》を三日以内にクリアしていただきます」
イリスは、初めて真剣な表情を見せて頷いた。
「分かりました」
リオンは微笑んだまま、こう告げた。
「その《課題》とは、《無詠唱魔法》の習得です」
ボーゼス王国のオルセン侯爵が、とぼけた様子で言った。
「まだ、終わってはおりません、侯爵様」
ブレンダ・ボーグがそう言ってリオンとロナンに目を向けた。
「ロナン殿のあの攻撃を防げなければ、私も勇者パーティに加わる資格はありません。ロナン殿、お願いいたす」
「はい、こちらこそ、よろしくお願いします」
「うむ、それでこそ、ブレンダだ。健闘を祈るぞ」
侯爵はそう言うと、セドル伯爵とともに二階の部屋へ去っていった。一人残ったガーランド王国第二王子トーラスは、リオンに問いかけた。
「リオン殿、妹のイリスにも何か試験があるのか? イリスがこの場に呼ばれた理由が分からぬのだが……」
王子の問いにリオンは頷いて答えた。
「はい、あります。もちろん戦闘ではありません。試験というより、課題と言った方が良いでしょうか。ブレンダさんの試験の後、お話します」
「分かりました。お兄様、心配なさらないで。私は大丈夫です」
「うむ、そうか。では、また後でな」
トーラス王子は、安心したように微笑むと、侯爵たちの後を追って去っていった。
♢♢♢
「では、始めます。内容はガーネットさんの時と同じです。ブレンダさん、よろしいですか?」
鍛錬場の中央で向かい合った二人の間で、リオンが問いかける。
「うむ、相分かった」
ブレンダ・ボーグは頷いて、携えていた奇妙な形の盾を前に出した。その盾は、大きなX字型の金属の板の中央に丸く膨らんだ盾を取り付けたものだった。
(なるほど…よく考えられた盾だな。槍や飛んでくる岩、矢などは、あの中央の膨らんだ部分で受け流し、剣はV字の部分で受けてひねるのか。もしかしたら、あの盾を回転させて武器にするのかもしれない……厄介だな)
ロナンは、ブレンダの盾を見て心の中で感心していた。
「では、双方、構えっ……始めっ!」
リオンの声とともに戦いは始まった。だが、ガーネットの時のように、ロナンはいきなり動き出すことはしなかった。まずは、ブレンダの出方を見ようと思ったのである。
「ふ…来ないか……ならば……」
ブレンダは、ロナンの動きを見ながら小さくつぶやいた。そして、一瞬その長身の体を深く沈めると、次の瞬間、信じられない身軽さで高く跳躍したのである。
「うわっ」
片手で軽々と振り下ろされた木製の大剣を、ロナンは危うくかわして横に移動した。ズドンッ、という音とともに、ロナンがいた場所の土が大きくえぐられ、穴が開いた。恐らく、剣に何か〝闘気〟のようなものを纏(まと)わせていたのだろう、普通なら木剣が折れてしまうほどの威力だった。
(なんという身体能力とパワーだ……これがS級冒険者の力か)
審判役のリオンは、驚くとともに、心が沸き立つような喜びも感じていた。
ロナンも同じ気持ちなのか、楽しげな顔で再び動き出した。右に左に、上に下に、得意のスピードと身体能力で動き回り、ブレンダの防御の隙を狙って木剣をふるった。しかし、ブレンダの反射神経も、やはり人間の能力を超えていた。体勢を崩されながらも、何とかロナンの剣を間一髪でかわし、盾で弾いていた。
(くっ……なんという速さだ…いかん、このままでは、そのうちやられる)
ブレンダも必死だった。これほど動きの速い敵に対したのは初めてだった。ブレンダは、ここで、とっておきの防御兼攻撃の必殺技を繰り出した。これこそが、彼女を十年間闘技場のチャンピオンとして君臨させ、S級冒険者たらしめたオリジナル技だった。
ブレンダの盾がゆっくりと回転を始める。やがて、それは彼女の体の周囲を囲うように回り始め、彼女自身も大剣を横に突き出したまま回り始めたのである。そして、その危険な回転体は鍛錬場の中を縦横無尽に移動し始めたのだ。
これには、リオンも逃げ惑うしかなかった。当然、ロナンも手の出しようがなく、ただぶつからないように逃げるのが精いっぱいだった。
「勝負ありっ!」
リオンは、鍛錬場の施設が破壊される前に、大きな声で宣言した。
回転していたブレンダが動きを止め、その場に片膝をついてハアハアと肩で息をし始める。彼女にとっても、スタミナ勝負、やるかやられるかという一か八かの技だったのである。
「すごいや……手も足も出なかった。ブレンダさん、僕の完敗です」
ロナンの言葉に、ブレンダは汗の滴る顔を上げて嬉し気に微笑んだ。
「いや、こちらこそ、礼を言わせてもらおう。ここまで追い詰められたのは、まだ剣闘士になって間もない頃以来だ。勝ちを譲ってもらったが、あのままだったら、私が先に体力を使い果たして負けていたはずだ……」
ロナンはその言葉を肯定も否定もせず、微笑むだけだった。
「……もう一つ訊いてもよいか?」
「え、あ、はい、何でもどうぞ」
「そなたは、私の〝盾(シールド)スクランブル〟を止める手段を持っているのではないか?」
ブレンダの真剣な目に射すくめられたように、ロナンは逃げることができず、小さく頷いた。
「はい。止められるかどうかは分かりませんが、もし、実戦であったなら、水魔法で対抗していたと思います」
ブレンダは、あっと小さく叫んで目を見開いたが、すぐに額に手を置いて苦笑し始めた。
「あはは……やれやれ、魔法まで使えるのか。適うはずがないな」
「いや、そんなことはありませんよ……」
リオンが歩み寄りながらブレンダの言葉を否定した。
「……ブレンダさん、あなたも何か魔法のようなものを使っていましたね? あれで攻撃されたら、たぶんロナンは負けていたと思います」
ブレンダはますます楽し気に笑いながら、右手に持った木製の大剣を肩に担いだ。
「あははは……そこまで見抜かれていたか。ああ、あれは魔法じゃないと自分では思っているんだが……いつの間にか身についていたものなのだ。私は〝闘気〟と呼んでいるがね」
「闘気……不思議な感じですね。もっと調べて見たくなりました」
「うん、リオンも教えてもらいなよ。同じ大剣使いだから、きっとできるようになるよ」
三人がそうやって和気あいあいと話をしていると、二階からセドル伯爵たちが降りてきて、三人のそばに歩み寄った。
「見事な戦いであった。ブレンダ、誇りに思うぞ」
オルセン侯爵の言葉に、ブレンダは片膝をついて頭を下げ礼を言った。他の二人は拍手をしてそれを讃えた。
「リオン、これでメンバーの一人は決まったな?」
父親の問いに、リオンはしっかりと頷いてこう言った。
「はい。ブレンダさん、あなたを正式に勇者パーティの一人としてお迎えします。あなたには、主にイリスさんの護衛をしていただきます」
リオンの言葉に、ロナン以外の者たちは、少なからず驚きの表情を浮かべた。当のブレンダが戸惑ったようにリオンに尋ねた。
「リオン殿…イリス殿の護衛はもちろんやるつもりだが、私は主に勇者殿の護衛役だと思っていたぞ」
「ええ、その理由は、今は詳しくは話せませんが、後でお話します。簡単に言うと、私とロナンは〝もう一つの防御法〟を持っているということです。そしてそれは、あなたもイリスさんも鍛錬で使えるようになるかもしれない、ということです。今はこれだけしか話せません。どうか、お許しください」
セドル伯爵以外の二人の要人たちは、その理由を聞きたがったが、ある人物の命を守るためだと言われて、仕方なく引き下がった。
「そして、イリスさん……」
「は、はい、何でしょう?」
リオンは、微笑みながら続けた。
「あなたには、戦闘の試験はしませんでしたが、これから言う《課題》を三日以内にクリアしていただきます」
イリスは、初めて真剣な表情を見せて頷いた。
「分かりました」
リオンは微笑んだまま、こう告げた。
「その《課題》とは、《無詠唱魔法》の習得です」
311
あなたにおすすめの小説
オバちゃんだからこそ ~45歳の異世界珍道中~
鉄 主水
ファンタジー
子育ても一段落した40過ぎの訳あり主婦、里子。
そんなオバちゃん主人公が、突然……異世界へ――。
そこで里子を待ち構えていたのは……今まで見たことのない奇抜な珍獣であった。
「何がどうして、なぜこうなった! でも……せっかくの異世界だ! 思いっ切り楽しんじゃうぞ!」
オバちゃんパワーとオタクパワーを武器に、オバちゃんは我が道を行く!
ラブはないけど……笑いあり、涙ありの異世界ドタバタ珍道中。
いざ……はじまり、はじまり……。
※この作品は、エブリスタ様、小説家になろう様でも投稿しています。
巻き込まれて異世界召喚? よくわからないけど頑張ります。 〜JKヒロインにおばさん呼ばわりされたけど、28才はお姉さんです〜
トイダノリコ
ファンタジー
会社帰りにJKと一緒に異世界へ――!?
婚活のために「料理の基本」本を買った帰り道、28歳の篠原亜子は、通りすがりの女子高生・星野美咲とともに突然まぶしい光に包まれる。
気がつけばそこは、海と神殿の国〈アズーリア王国〉。
美咲は「聖乙女」として大歓迎される一方、亜子は「予定外に混ざった人」として放置されてしまう。
けれど世界意識(※神?)からのお詫びとして特殊能力を授かった。
食材や魔物の食用可否、毒の有無、調理法までわかるスキル――〈料理眼〉!
「よし、こうなったら食堂でも開いて生きていくしかない!」
港町の小さな店〈潮風亭〉を拠点に、亜子は料理修行と新生活をスタート。
気のいい夫婦、誠実な騎士、皮肉屋の魔法使い、王子様や留学生、眼帯の怪しい男……そして、彼女を慕う男爵令嬢など個性豊かな仲間たちに囲まれて、"聖乙女イベントの裏側”で、静かに、そしてたくましく人生を切り拓く異世界スローライフ開幕。
――はい。静かに、ひっそり生きていこうと思っていたんです。私も.....(アコ談)
*AIと一緒に書いています*
【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~
きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。
前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。
元公爵令嬢は年下騎士たちに「用済みのおばさん」と捨てられる 〜今更戻ってこいと泣きつかれても献身的な美少年に溺愛されているのでもう遅いです〜
日々埋没。
ファンタジー
「新しい従者を雇うことにした。おばさんはもう用済みだ。今すぐ消えてくれ」
かつて婚約破棄され、実家を追放された元公爵令嬢のレアーヌ。
その身分を隠し、年下の冒険者たちの身の回りを世話する『メイド』として献身的に尽くしてきた彼女に突きつけられたのは、あまりに非情な追放宣告だった。
レアーヌがこれまで教育し、支えてきた若い男たちは、新しく現れた他人の物を欲しがり子悪魔メイドに骨抜きにされ、彼女を「加齢臭のする汚いおばさん」と蔑み、笑いながら追い出したのだ。
地位も、居場所も、信じていた絆も……すべてを失い、絶望する彼女の前に現れたのは、一人の美少年だった。
「僕とパーティーを組んでくれませんか? 貴方が必要なんです」
新米ながら将来の可能性を感じさせる彼は、レアーヌを「おばさん」ではなく「一人の女性」として、甘く狂おしく溺愛し始める。
一方でレアーヌという『真の支柱』を失った元パーティーは、自分たちがどれほど愚かな選択をしたかを知る由もなかった。
やがて彼らが地獄の淵で「戻ってきてくれ」と泣きついてきても、もう遅い。
レアーヌの隣には、彼女を離さないと誓った執着愛の化身が微笑んでいるのだから。
水精姫の選択
六道イオリ/剣崎月
ファンタジー
見た目が美しくも奇異な小国の王女パルヴィは、財政難から大国に身売りすることになったのだが、道中で買うと言った王が死亡したと聞かされる。
買われ故国を救いたいと願う王女は引き返さずに大国へと赴き
勝手に召喚され捨てられた聖女さま。~よっしゃここから本当のセカンドライフの始まりだ!~
楠ノ木雫
ファンタジー
IT企業に勤めていた25歳独身彼氏無しの立花菫は、勝手に異世界に召喚され勝手に聖女として称えられた。確かにステータスには一応〈聖女〉と記されているのだが、しばらくして偽物扱いされ国を追放される。まぁ仕方ない、と森に移り住み神様の助けの元セカンドライフを満喫するのだった。だが、彼女を追いだした国はその日を境に天気が大荒れになり始めていき……
※他の投稿サイトにも掲載しています。
派手にしない工房は、今日もちゃんと続いている
ふわふわ
恋愛
名門でも、流行でもない。
選ばなかったからこそ、残った場所がある。
街の片隅で、小さな工房を営む職人シオンと、帳簿と現実を見つめ続けるリリカ。
派手な宣伝も、無理な拡大もせず、ただ「ちゃんと作る」ことを選び続けてきた二人の工房は、いつの間にか人々の日常の一部になっていた。
しかし、再開発と条件変更という現実が、その場所を静かに揺さぶる。
移るか、変えるか、終わらせるか――
迫られる選択の中で、二人が選んだのは「何も変えない」という、最も難しい決断だった。
特別にならなくていい。
成功と呼ばれなくてもいい。
ただ、今日も続いていることに意味がある。
これは、成り上がらない。
ざまぁもしない。
けれど確かに「生き方」を選びきった人たちの物語。
終わらせなかったからこそ辿り着いた、
静かで、確かな完結。
アワセワザ! ~異世界乳幼女と父は、二人で強く生きていく~
eggy
ファンタジー
もと魔狩人《まかりびと》ライナルトは大雪の中、乳飲み子を抱いて村に入った。
村では魔獣や獣に被害を受けることが多く、村人たちが生活と育児に協力する代わりとして、害獣狩りを依頼される。
ライナルトは村人たちの威力の低い攻撃魔法と協力して大剣を振るうことで、害獣狩りに挑む。
しかし年々増加、凶暴化してくる害獣に、低威力の魔法では対処しきれなくなってくる。
まだ赤ん坊の娘イェッタは何処からか降りてくる『知識』に従い、魔法の威力増加、複数合わせた使用法を工夫して、父親を援助しようと考えた。
幼い娘と父親が力を合わせて害獣や強敵に挑む、冒険ファンタジー。
「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる