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「でも私、諦めません。もう一度チャレンジします」
柳子がそう宣言したので、当然僕は唖然とした。まだ続けるつもりか。
「またメニュー変えるつもり?」
さすがに美帆さんもちょっと呆れている。
「店長、許してくれるかなぁ?」
「まだ麺類を試してませんし」
正子さん案のうどんか。
「うどん? それなら、もう暑くなってきたし冷製のほうがいいかもね」
美帆さんが手で顔を仰ぎながら言う。梅雨に入ったので最近ムシムシしている。
「店はクーラーが効いてるので温かいのも必要ですよ。それともビュッフェにしちゃったほうがいいのかな?」
「ビュッフェ? それだと大がかりになってくるから、小鹿さんに相談しないとだめなんじゃない」
僕がそう言うと、柳子は「相談してみる」と頷いた。
麺類にビュッフェ。混迷を極めてきている。
モーニングの種類をいくら増やしても、お客は増えないんじゃないんだろうか。
思ったとおりにうまくいかなくて焦るのはわかるけど、ここはちょっと立ち止まってみたほうがいい気がする。
だってあと四ヶ月でこの店は閉店するのだ。
あまりおかしなことをして、店のみんなやお客さんたちを困惑させてはよろしくないだろう。
*
あれからも樹奈はころころと髪色や髪型を変え、服装も完全にストリート系になってしまった。
そんな樹奈の姿にもやがて僕も慣れ、最初は呆れていた巧もいまでは元通りに接している。
ただ茉美だけが、新しい樹奈をどうしても受け入れられないようで、距離を取るようになっていた。
最近では他の子たちと一緒にいることが増えて、僕らの方から声をかけてやっと話をする程度だ。
「私のせいでごめんね」
一度だけ、樹奈はそう僕と巧に謝った。
「別に謝ることないって」
僕と巧はそう言ったけれど、樹奈もバイトで忙しくて、最近では僕らと一緒にいる時間がほとんどない。
結果、僕と巧の二人きりでいることが多くなり、正直少しだけ寂しさは感じはじめていた。
「彼女でも作るかなぁ」
巧と二人で学食で昼ご飯を食べている時、彼がぽつりと呟いた。
視線は楽しそうに盛り上がっている女子グループに注がれている。
「当てあんの?」
「ない」
きっぱり言った巧はため息をついて、残りのカレーをかきこんだ。
「良は? 気になる子とかできた?」
「できるわけないだろ」
樹奈にふられてまだそんなにたってない。あれからいろいろあって、体感的にはすごく昔のことのようにも思えるけれど。
「バイト先の子といい感じじゃないの?」
「は?」
「樹奈が前に言ってたよ。デートしてるみたいとか」
柳子のことか。近所を案内することをちらっと樹奈に話したんだった。
「してないよ」
「その子可愛いの?」
「だから……」
僕はため息をついた。巧はじっと僕を見ている。
「可愛いの?」
「可愛いかどうか関係あんの?」
「可愛くないの」
「は?」
可愛いの、可愛くないの、を巧は呪文のようにしつこく繰り返してくる。
面倒臭くなって「可愛いよ」と僕が言ったら、巧はぴたりと口を閉じた。そして目を細める。
「……よ」
「え?」
「俺より先に彼女作んなよ」
知らないよ。
そのあと午後の授業を無事にすますと、帰りに『旋律』に寄った。
コーヒーを飲みながらアンさんたちと話をして、漫画日記も少し描く。
店を出たのは日が傾きはじめた頃。
正子さんの家の前に通りかかった時、ピアノの音色が聞こえてきた。
ぎこちない音色。柳子がまた子供に教えてるみたいだ。
正子さんが夕飯の用意をしているのか、煮魚のようないい匂いが漂ってくる。
腹が減ったな。
一度家に帰ると、猫の餌を取ってまたすぐに出た。
地域猫がいる駐車場に向かう。
たぶん猫たちもお腹を空かせる頃だろう。というのは言い訳で、ただなんとなくトラ吉の顔が見たかった。
夕日が射す駐車場には白いものがうずくまっていた。よく見ると、白いワンピースを着た柳子だった。トラ吉を撫でている。
「トラ吉」
自分以外の人になついているトラ吉を見て、なんだかちょっと複雑な気持ちになった。
「良ちゃんおかえり」
振り返った柳子はそう言って笑顔になる。トラ吉も振り返ったが、大あくびをした。
「ただいま。餌あげた?」
「うん、さっき」
僕は驚かさないようにそっと近づいていくと、トラ吉が好きなカツオ味の猫缶を取り出した。
「トラ吉がエコバッグでも取り出して、『じゃ、持ち帰ってあとで食べますわ』とか言ってくれたらな」
トラ吉は餌を見ても興味なさげにごろんと横になると、手をなめはじめた。
「さっき、正子さんちからへたくそなピアノの音が聞こえてきたんだよね。あれって、近所の子供が勝手に弾いてるの?」
「あぁ、たぶん正子さんだよ」
「正子さんにも教えてるの?」
「ちょっとだけね」
正子さんがピアノとは意外だ。
「そういえば、子供に教える話はどうなったの?」
「断ったよ。遊びに来た時にちょっと教えるぐらいはするけど」
「ふうん」
正子さん、がっかりしてないかな。
「そうそう、明日、小鹿さんに時間作ってもらってモーニングの相談をするんだけど、良ちゃん一緒にいてくれない?」
明日は水曜日で休みだ。でも、予定はない。
「いいけど、何時ごろ?」
「一時頃。お昼休憩の時にお願いしてあるんだ」
「ファミレスで?」
「うん。どう?」
「いいけど、僕いる?」
「いるいる。小鹿さんとはほとんど話したことないから、ちょっと不安なんだよね」
小鹿さんは普段口数が少ないし、年もかなり離れているので緊張するのはわかる。僕だってほとんど話をしたことはない。
手を伸ばしてトラ吉の体を撫でると、彼は気持ちよさそうに手足を伸ばした。
可愛い。このまま部屋に連れて帰れたらな。
いつの間にかあたりは暗く沈み、街灯が灯っている。やがてトラ吉もおもむろに身を起こすと、尻尾をピンと立ててどこかへ立ち去った。
「僕たちもそろそろ帰るか。もうご飯でしょ?」
「そうだね。良ちゃんも正子さんちで食べる?」
煮魚らしきいい匂いがしてたよな。でも空腹過ぎるからがっつり肉が食べたい。
「僕は牛丼食べに行くよ」
「牛丼かぁ。おいしそう。でも一人で食べるの寂しくない?」
「大丈夫」
「ふうん、そう」
ばいばいと別れて少ししてから振り返ると、柳子の白いワンピースが暗闇を吸ってひらひらと揺れていた。
*
柳子がそう宣言したので、当然僕は唖然とした。まだ続けるつもりか。
「またメニュー変えるつもり?」
さすがに美帆さんもちょっと呆れている。
「店長、許してくれるかなぁ?」
「まだ麺類を試してませんし」
正子さん案のうどんか。
「うどん? それなら、もう暑くなってきたし冷製のほうがいいかもね」
美帆さんが手で顔を仰ぎながら言う。梅雨に入ったので最近ムシムシしている。
「店はクーラーが効いてるので温かいのも必要ですよ。それともビュッフェにしちゃったほうがいいのかな?」
「ビュッフェ? それだと大がかりになってくるから、小鹿さんに相談しないとだめなんじゃない」
僕がそう言うと、柳子は「相談してみる」と頷いた。
麺類にビュッフェ。混迷を極めてきている。
モーニングの種類をいくら増やしても、お客は増えないんじゃないんだろうか。
思ったとおりにうまくいかなくて焦るのはわかるけど、ここはちょっと立ち止まってみたほうがいい気がする。
だってあと四ヶ月でこの店は閉店するのだ。
あまりおかしなことをして、店のみんなやお客さんたちを困惑させてはよろしくないだろう。
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あれからも樹奈はころころと髪色や髪型を変え、服装も完全にストリート系になってしまった。
そんな樹奈の姿にもやがて僕も慣れ、最初は呆れていた巧もいまでは元通りに接している。
ただ茉美だけが、新しい樹奈をどうしても受け入れられないようで、距離を取るようになっていた。
最近では他の子たちと一緒にいることが増えて、僕らの方から声をかけてやっと話をする程度だ。
「私のせいでごめんね」
一度だけ、樹奈はそう僕と巧に謝った。
「別に謝ることないって」
僕と巧はそう言ったけれど、樹奈もバイトで忙しくて、最近では僕らと一緒にいる時間がほとんどない。
結果、僕と巧の二人きりでいることが多くなり、正直少しだけ寂しさは感じはじめていた。
「彼女でも作るかなぁ」
巧と二人で学食で昼ご飯を食べている時、彼がぽつりと呟いた。
視線は楽しそうに盛り上がっている女子グループに注がれている。
「当てあんの?」
「ない」
きっぱり言った巧はため息をついて、残りのカレーをかきこんだ。
「良は? 気になる子とかできた?」
「できるわけないだろ」
樹奈にふられてまだそんなにたってない。あれからいろいろあって、体感的にはすごく昔のことのようにも思えるけれど。
「バイト先の子といい感じじゃないの?」
「は?」
「樹奈が前に言ってたよ。デートしてるみたいとか」
柳子のことか。近所を案内することをちらっと樹奈に話したんだった。
「してないよ」
「その子可愛いの?」
「だから……」
僕はため息をついた。巧はじっと僕を見ている。
「可愛いの?」
「可愛いかどうか関係あんの?」
「可愛くないの」
「は?」
可愛いの、可愛くないの、を巧は呪文のようにしつこく繰り返してくる。
面倒臭くなって「可愛いよ」と僕が言ったら、巧はぴたりと口を閉じた。そして目を細める。
「……よ」
「え?」
「俺より先に彼女作んなよ」
知らないよ。
そのあと午後の授業を無事にすますと、帰りに『旋律』に寄った。
コーヒーを飲みながらアンさんたちと話をして、漫画日記も少し描く。
店を出たのは日が傾きはじめた頃。
正子さんの家の前に通りかかった時、ピアノの音色が聞こえてきた。
ぎこちない音色。柳子がまた子供に教えてるみたいだ。
正子さんが夕飯の用意をしているのか、煮魚のようないい匂いが漂ってくる。
腹が減ったな。
一度家に帰ると、猫の餌を取ってまたすぐに出た。
地域猫がいる駐車場に向かう。
たぶん猫たちもお腹を空かせる頃だろう。というのは言い訳で、ただなんとなくトラ吉の顔が見たかった。
夕日が射す駐車場には白いものがうずくまっていた。よく見ると、白いワンピースを着た柳子だった。トラ吉を撫でている。
「トラ吉」
自分以外の人になついているトラ吉を見て、なんだかちょっと複雑な気持ちになった。
「良ちゃんおかえり」
振り返った柳子はそう言って笑顔になる。トラ吉も振り返ったが、大あくびをした。
「ただいま。餌あげた?」
「うん、さっき」
僕は驚かさないようにそっと近づいていくと、トラ吉が好きなカツオ味の猫缶を取り出した。
「トラ吉がエコバッグでも取り出して、『じゃ、持ち帰ってあとで食べますわ』とか言ってくれたらな」
トラ吉は餌を見ても興味なさげにごろんと横になると、手をなめはじめた。
「さっき、正子さんちからへたくそなピアノの音が聞こえてきたんだよね。あれって、近所の子供が勝手に弾いてるの?」
「あぁ、たぶん正子さんだよ」
「正子さんにも教えてるの?」
「ちょっとだけね」
正子さんがピアノとは意外だ。
「そういえば、子供に教える話はどうなったの?」
「断ったよ。遊びに来た時にちょっと教えるぐらいはするけど」
「ふうん」
正子さん、がっかりしてないかな。
「そうそう、明日、小鹿さんに時間作ってもらってモーニングの相談をするんだけど、良ちゃん一緒にいてくれない?」
明日は水曜日で休みだ。でも、予定はない。
「いいけど、何時ごろ?」
「一時頃。お昼休憩の時にお願いしてあるんだ」
「ファミレスで?」
「うん。どう?」
「いいけど、僕いる?」
「いるいる。小鹿さんとはほとんど話したことないから、ちょっと不安なんだよね」
小鹿さんは普段口数が少ないし、年もかなり離れているので緊張するのはわかる。僕だってほとんど話をしたことはない。
手を伸ばしてトラ吉の体を撫でると、彼は気持ちよさそうに手足を伸ばした。
可愛い。このまま部屋に連れて帰れたらな。
いつの間にかあたりは暗く沈み、街灯が灯っている。やがてトラ吉もおもむろに身を起こすと、尻尾をピンと立ててどこかへ立ち去った。
「僕たちもそろそろ帰るか。もうご飯でしょ?」
「そうだね。良ちゃんも正子さんちで食べる?」
煮魚らしきいい匂いがしてたよな。でも空腹過ぎるからがっつり肉が食べたい。
「僕は牛丼食べに行くよ」
「牛丼かぁ。おいしそう。でも一人で食べるの寂しくない?」
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