28 / 47
28
しおりを挟む
「急に暑くなって少し食欲落ちたから」
「だったらなおさら必要だよ。食欲ない時はお茶漬けにして食べたらいいよ」
桃色おにぎりのお茶漬けか。想像しただけで食欲が失せるような。
でも、なにを言っても無駄そうなので諦めた。限界まで冷凍庫にためこむしかない。
僕は紙コップに冷水をついで、パイプ椅子に腰かけた。このあと炎天下で自転車を漕ぐから、たっぷり水分補給しとかないと。
「カレーモーニング、うまくいってよかったよね。でも来週からスイーツに変わるから、男性客が離れないかなぁ」
お客は正直だから、目当てのものがなくなったら来なくなるんじゃないだろうか。
そうだよね、と柳子はこくんと頷く。
「私もそう思ったから、店長に頼んでみたんだ。今後もカレーをモーニングメニューに入れておけないかって。考えてみてくれるってよ」
「本当?」
さすが柳子。抜け目がない。
「うん。今後も評判がよかったメニューは残した方がいいと思うんだ」
「ほんとだ。そのほうがいいよ。ただ料理スタッフは大変だよね」
「小鹿さんは最後だし頑張るって言ってくれてたよ」
「へえ、心強いな。この勢いでスイーツも成功するといいなぁ」
スイーツのモーニングは三段重ねのパンケーキが目玉だ。そこにオレンジ、アイスクリーム、生クリームをトッピングする。ドリンクバー付きで三百九十円。
「私、オレンジじゃなくてメロンがよかったんだけどね、ほんとは」
「それだと赤字になるよ」
柳子は果物が好きらしく、夏になってからはよく正子さんから西瓜をもらっている。このまえは僕にもおすそわけしてくれた。
彼女の誕生日にはメロンをあげようかな。
「柳子さんて誕生日いつなの?」
「十二月だよ。なに、お祝いしてくれるの?」
十二月ならメロンは時期じゃないか。
「いや……」
「いやってなに。お祝いしてよ。良ちゃんはいつなの?」
「三月」
「ふうん。今年の誕生日は彼女と過ごしたの?」
彼女?
それは嫌味か。あきらかに彼女がいない僕に対する。
「このまえの樹奈ちゃんて子、良ちゃんの彼女?」
あの距離感で彼女のわけないでしょうが。
「なわけないでしょ。だったらそう言ってるし」
自慢してるし。
僕は水をぐいぐい飲んで口を拭った。腰を上げてリュックサックを背負う。
「もしかして、ふられたの?」
黙っていたらそうだと認めるようなものだけど、咄嗟にいい返しが思い浮かばなかった。
「ふうん、そうだったんだ。残念だったね」
せっかく忘れかけてきていた心の傷をまた思い出してしまった。
「じゃ、おつかれ……」
「あ、良ちゃん。明日、『旋律』にモーニング食べに行かない?」
行ったら、この話の続きをすることになるんじゃないだろうか。そんなことはご免だ。
「明日は用事があるから」
「そう……」
「じゃ」
ちょっとそっけなかったかな。
でも、ふられた時のことは本当に早く忘れてしまいたいのだ。
*
土曜日の朝。
いつも通り、早く目が覚めた。二度寝したいところだけど、やっぱりドアの外が気になる。
そっと音をたてないように玄関のドアを開けると、廊下に箱が置いてあった。
クーラーボックス?
まさか、と思って蓋を開けてみると、桃色おにぎりがやっぱり入っていた。
ここまで来ると恐怖だ。
桃色おにぎりを取り出して、クーラーボックスを廊下の端っこに置く。
冷凍庫に余ってるって言ったのに、なんで話が通じないんだろう。お茶漬けにしろ? わかった。秋以降にそうしますよ。
おにぎりを冷凍庫に放り込むと、すぐに布団に潜った。
たまっていくおにぎりのことを考えてすぐには眠れなかったが、なんとか二度寝には成功した。起きた時は昼前になっていた。
寝ぐせをなおして着替えをし、『旋律』に向かう。
柳子が待ち構えてたら嫌だなぁと思っていたら、ちょうど店から彼女が出てくるところだった。
咄嗟に電柱の陰に隠れる。
すると、彼女のあとからすぐに男性も出てきた。二人は肩を並べて歩きだす。
誰だと思って目をこらすと、灰野さんの元教え子の島時蔵だった。
あの二人、知り合いだったのか。
灰野さんに誘われて、彼が正子さんちでご飯を食べているのなら、柳子と顔見知りになっていても不思議ではない。
でも、灰野さんが一緒ならともかく、時蔵さんと柳子だけの組み合わせは意外だ。
「あら……いらっしゃい」
僕が『旋律』に入っていくと、アンさんとマークさんはちらりと目を見合わせた。なんだろう。
「いま柳子ちゃん帰ったところよ」
「そうなんですか」
知らないふりをして、いつもの席に座る。
「いつもの?」
「はい、お願いします」
柳子と時蔵さん、どこへ行くんだろう。どんな話してるんだろう。
「もうすぐ夏休みでしょ? 帰省するの?」
水を持ってきてくれたアンさんが、扇子でぱたぱた顔を仰ぎながら訊ねる。
「いえ……帰ってもやることないんで、バイトしようと思ってます」
どうせ家でぐーたら寝てるだけだし。クーラー代が怖いから、働いてたほうがマシだ。お金もたまるし。
「偉いと言いたいところだけど、つまんない夏休みね。せっかくの長期休暇なんだから、もっと特別なことしたら?」
「特別な?」
「一人旅とか、彼女とデートするとか」
一人旅はともかく後者は今からは無理だ。
「旅ですか……」
時蔵さんが前にここで、灰野さんをスケッチ旅行に誘っていたことを思い出す。東北だっけ。そういうのならやってみたいけど、お金かかりそうだ。野宿はやだしな。
「うーん」
考え込んだ僕を見て、アンさんはぴしゃりと閉じた扇子で軽く僕の肩を打った。
「それなら、せっせと働くがいいわ」
働くことがまるで悪いかのような口ぶりだ。別にいいじゃないか。青春らしい夏休みを送らなくたって。みんながみんなきらきらした夏を過ごせるわけじゃない。
ピザトーストを食べながら、僕はその日も漫画日記をせっせと描いた。カレーモーニングに沸くファミレス、クーラーボックスの中の桃色おにぎり。
つまらない子、みたいな視線を背中に感じながら店をあとにして、コインランドリーで洗濯物をピックアップした。
確かに、今日だってつまらない休日を過ごしてはいる。でも平日はバイトに大学と忙しいので、週末ぐらいはだらだらしないと体がもたない。帰ったら昼寝しよ。
アパートの近くまで来た時、二階に人影が見えた。
柳子の部屋に短髪黒髪の男が入っていく。安っぽいグレーのスウェットの上下という恰好の。
え、誰?
柳子の彼氏?
それとも、空き巣か強盗?
これは防犯上の確認、と自分に言い聞かせながら、速足で階段を上がっていくと、柳子の部屋をノックした。
「はい」といつもと変わらない柳子の声がする。でも少し声の調子がおかしいような気もした。
「あの、柳子さん……」
いつもならすぐにドアを開けてくれるのだが、今日はなぜか閉じたままだ。
「良ちゃん? どうしたの?」
えーと、なんて言えばいいんだ?
「えっと、朝、クーラーボックスにおにぎり入れといてくれたみたいで……」
「そうだよ。暑いから悪くならないように。正子さんに借りたの」
「あぁ、そうだったんだ。ありがとう」
「どういたしまして」
話が終わってしまった。
「あの……お客さま?」
不自然な話題転換。だがしかたない。
一瞬の間を置いてから、「え? ああ……」と柳子は曖昧な声を出した。
「さっき、男の人が入ってくのが見えたから……大丈夫かなって思って」
「あぁ、心配してくれてありがとう。大丈夫だよ」
大丈夫なんだ。そうか。お邪魔だったのだろうか。
「あ、そっか。ごめん。じゃ……」
慌てて自分の部屋に逃げ帰った。
なんで動揺してるんだ、僕は。
別に柳子とはなんでもないのに。
*
「だったらなおさら必要だよ。食欲ない時はお茶漬けにして食べたらいいよ」
桃色おにぎりのお茶漬けか。想像しただけで食欲が失せるような。
でも、なにを言っても無駄そうなので諦めた。限界まで冷凍庫にためこむしかない。
僕は紙コップに冷水をついで、パイプ椅子に腰かけた。このあと炎天下で自転車を漕ぐから、たっぷり水分補給しとかないと。
「カレーモーニング、うまくいってよかったよね。でも来週からスイーツに変わるから、男性客が離れないかなぁ」
お客は正直だから、目当てのものがなくなったら来なくなるんじゃないだろうか。
そうだよね、と柳子はこくんと頷く。
「私もそう思ったから、店長に頼んでみたんだ。今後もカレーをモーニングメニューに入れておけないかって。考えてみてくれるってよ」
「本当?」
さすが柳子。抜け目がない。
「うん。今後も評判がよかったメニューは残した方がいいと思うんだ」
「ほんとだ。そのほうがいいよ。ただ料理スタッフは大変だよね」
「小鹿さんは最後だし頑張るって言ってくれてたよ」
「へえ、心強いな。この勢いでスイーツも成功するといいなぁ」
スイーツのモーニングは三段重ねのパンケーキが目玉だ。そこにオレンジ、アイスクリーム、生クリームをトッピングする。ドリンクバー付きで三百九十円。
「私、オレンジじゃなくてメロンがよかったんだけどね、ほんとは」
「それだと赤字になるよ」
柳子は果物が好きらしく、夏になってからはよく正子さんから西瓜をもらっている。このまえは僕にもおすそわけしてくれた。
彼女の誕生日にはメロンをあげようかな。
「柳子さんて誕生日いつなの?」
「十二月だよ。なに、お祝いしてくれるの?」
十二月ならメロンは時期じゃないか。
「いや……」
「いやってなに。お祝いしてよ。良ちゃんはいつなの?」
「三月」
「ふうん。今年の誕生日は彼女と過ごしたの?」
彼女?
それは嫌味か。あきらかに彼女がいない僕に対する。
「このまえの樹奈ちゃんて子、良ちゃんの彼女?」
あの距離感で彼女のわけないでしょうが。
「なわけないでしょ。だったらそう言ってるし」
自慢してるし。
僕は水をぐいぐい飲んで口を拭った。腰を上げてリュックサックを背負う。
「もしかして、ふられたの?」
黙っていたらそうだと認めるようなものだけど、咄嗟にいい返しが思い浮かばなかった。
「ふうん、そうだったんだ。残念だったね」
せっかく忘れかけてきていた心の傷をまた思い出してしまった。
「じゃ、おつかれ……」
「あ、良ちゃん。明日、『旋律』にモーニング食べに行かない?」
行ったら、この話の続きをすることになるんじゃないだろうか。そんなことはご免だ。
「明日は用事があるから」
「そう……」
「じゃ」
ちょっとそっけなかったかな。
でも、ふられた時のことは本当に早く忘れてしまいたいのだ。
*
土曜日の朝。
いつも通り、早く目が覚めた。二度寝したいところだけど、やっぱりドアの外が気になる。
そっと音をたてないように玄関のドアを開けると、廊下に箱が置いてあった。
クーラーボックス?
まさか、と思って蓋を開けてみると、桃色おにぎりがやっぱり入っていた。
ここまで来ると恐怖だ。
桃色おにぎりを取り出して、クーラーボックスを廊下の端っこに置く。
冷凍庫に余ってるって言ったのに、なんで話が通じないんだろう。お茶漬けにしろ? わかった。秋以降にそうしますよ。
おにぎりを冷凍庫に放り込むと、すぐに布団に潜った。
たまっていくおにぎりのことを考えてすぐには眠れなかったが、なんとか二度寝には成功した。起きた時は昼前になっていた。
寝ぐせをなおして着替えをし、『旋律』に向かう。
柳子が待ち構えてたら嫌だなぁと思っていたら、ちょうど店から彼女が出てくるところだった。
咄嗟に電柱の陰に隠れる。
すると、彼女のあとからすぐに男性も出てきた。二人は肩を並べて歩きだす。
誰だと思って目をこらすと、灰野さんの元教え子の島時蔵だった。
あの二人、知り合いだったのか。
灰野さんに誘われて、彼が正子さんちでご飯を食べているのなら、柳子と顔見知りになっていても不思議ではない。
でも、灰野さんが一緒ならともかく、時蔵さんと柳子だけの組み合わせは意外だ。
「あら……いらっしゃい」
僕が『旋律』に入っていくと、アンさんとマークさんはちらりと目を見合わせた。なんだろう。
「いま柳子ちゃん帰ったところよ」
「そうなんですか」
知らないふりをして、いつもの席に座る。
「いつもの?」
「はい、お願いします」
柳子と時蔵さん、どこへ行くんだろう。どんな話してるんだろう。
「もうすぐ夏休みでしょ? 帰省するの?」
水を持ってきてくれたアンさんが、扇子でぱたぱた顔を仰ぎながら訊ねる。
「いえ……帰ってもやることないんで、バイトしようと思ってます」
どうせ家でぐーたら寝てるだけだし。クーラー代が怖いから、働いてたほうがマシだ。お金もたまるし。
「偉いと言いたいところだけど、つまんない夏休みね。せっかくの長期休暇なんだから、もっと特別なことしたら?」
「特別な?」
「一人旅とか、彼女とデートするとか」
一人旅はともかく後者は今からは無理だ。
「旅ですか……」
時蔵さんが前にここで、灰野さんをスケッチ旅行に誘っていたことを思い出す。東北だっけ。そういうのならやってみたいけど、お金かかりそうだ。野宿はやだしな。
「うーん」
考え込んだ僕を見て、アンさんはぴしゃりと閉じた扇子で軽く僕の肩を打った。
「それなら、せっせと働くがいいわ」
働くことがまるで悪いかのような口ぶりだ。別にいいじゃないか。青春らしい夏休みを送らなくたって。みんながみんなきらきらした夏を過ごせるわけじゃない。
ピザトーストを食べながら、僕はその日も漫画日記をせっせと描いた。カレーモーニングに沸くファミレス、クーラーボックスの中の桃色おにぎり。
つまらない子、みたいな視線を背中に感じながら店をあとにして、コインランドリーで洗濯物をピックアップした。
確かに、今日だってつまらない休日を過ごしてはいる。でも平日はバイトに大学と忙しいので、週末ぐらいはだらだらしないと体がもたない。帰ったら昼寝しよ。
アパートの近くまで来た時、二階に人影が見えた。
柳子の部屋に短髪黒髪の男が入っていく。安っぽいグレーのスウェットの上下という恰好の。
え、誰?
柳子の彼氏?
それとも、空き巣か強盗?
これは防犯上の確認、と自分に言い聞かせながら、速足で階段を上がっていくと、柳子の部屋をノックした。
「はい」といつもと変わらない柳子の声がする。でも少し声の調子がおかしいような気もした。
「あの、柳子さん……」
いつもならすぐにドアを開けてくれるのだが、今日はなぜか閉じたままだ。
「良ちゃん? どうしたの?」
えーと、なんて言えばいいんだ?
「えっと、朝、クーラーボックスにおにぎり入れといてくれたみたいで……」
「そうだよ。暑いから悪くならないように。正子さんに借りたの」
「あぁ、そうだったんだ。ありがとう」
「どういたしまして」
話が終わってしまった。
「あの……お客さま?」
不自然な話題転換。だがしかたない。
一瞬の間を置いてから、「え? ああ……」と柳子は曖昧な声を出した。
「さっき、男の人が入ってくのが見えたから……大丈夫かなって思って」
「あぁ、心配してくれてありがとう。大丈夫だよ」
大丈夫なんだ。そうか。お邪魔だったのだろうか。
「あ、そっか。ごめん。じゃ……」
慌てて自分の部屋に逃げ帰った。
なんで動揺してるんだ、僕は。
別に柳子とはなんでもないのに。
*
0
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
美味しいコーヒーの愉しみ方 Acidity and Bitterness
碧井夢夏
ライト文芸
<第五回ライト文芸大賞 最終選考・奨励賞>
住宅街とオフィスビルが共存するとある下町にある定食屋「まなべ」。
看板娘の利津(りつ)は毎日忙しくお店を手伝っている。
最近隣にできたコーヒーショップ「The Coffee Stand Natsu」。
どうやら、店長は有名なクリエイティブ・ディレクターで、脱サラして始めたお店らしく……?
神の舌を持つ定食屋の娘×クリエイティブ界の神と呼ばれた男 2人の出会いはやがて下町を変えていく――?
定食屋とコーヒーショップ、時々美容室、を中心に繰り広げられる出会いと挫折の物語。
過激表現はありませんが、重めの過去が出ることがあります。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる